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しこみ?
「……別人さんだよ。どうしたの」
ぽそぽそトトラに聞いた僕に、ささやきが返る。
「治癒魔法で、お兄さまを助けてくれるかもしれない方だろう。
僕の精一杯で、印象を良くしておかないと。
うちの宰相に言われてるんだ。髪をあげて、背筋を伸ばして、しゃべるなって」
素晴らしく的確な指示をされてる……!
さすが宰相!
「でも、話さないって無理だよ。
嘘つきは、必ず、はがれちゃうんだよ」
大人の余裕を見せようとした僕のように──!
「……そうかな……」
「嘘つきで頑張って、後から、『こんな人だと思わなかった!』って言われちゃうの、さみしくない?」
「さみしい」
こっくりトトラが、うなずいた。
僕は、ちっちゃな両手をにぎる。
「いつもの自分で、精一杯がんばるのがいいんだよ!」
「……そうかな」
「きっと!」
「……もっちもっちが、そう言うなら頑張ってみるよ」
陽の瞳を細めて、トトラが笑う。
顔面は、セゥスさまと戦えるほどの、かっこよさだよ……!
きゃ──!
もだもだしてたら、玄関が、さわさわしました。
「ゆーり、こんにちは。
近くに来たから寄ったんだ」
まるで偶然立ち寄ったように、のーすちゃんが微笑んでくれました。
「もっちもっち!
あいたかった……!」
くーちゃんが、ぎゅむぎゅむしてくれました。
「もしかして仲間……?」
トトラの目が、きらきらしてる。
「わー! これからお茶会なんだよ!
もしよかったら、のーすちゃんと、くーちゃんも、一緒にどうかな?」
「よろこんで」
「おかし、たべる!」
にこにこしてくれる2人を後ろに、僕はにっこり微笑んだ。
「一緒にお茶会してもいいかな?」
ろいやるな2人の圧を背負って言ってみたよ!
「……何この仕組まれたのが丸バレの、白々しい偶然」
さすが転生主人公!
的確に突っ込んでくれました……
「……紹介していただけるかな……?」
不穏を感じたらしいトトラが、引きつってる。
「こちらラゼン王国第11王子、トトラ・11・ラゼン殿下です。
こちらは、一緒に魔法学園に通っている、ロベナ王国の王太子殿下の伴侶(予定)でもあられるアーシェくんです」
「も、もうすでに……!」
トトラには衝撃だったみたいだよ。
クギは早いうちに、さしておかないとね。
お話のとおり、これを乗り越えてくるのは隣国の王太子なんだよ、たぶん!
「こちらはロベナ王国第二王子、ノゥス・ロベナ殿下です。
こちらはロベナ王国第三王子、クゥス・ロベナ殿下です」
僕、やりきった!
胸を張ったら、カイが頭をなでなでしてくれました。
みんなの前なのに、うれしい。
そしてこのお茶会、とっても、ろいやる!
「……どうしてこんなに王族ばっかり呼んでるの……」
可愛いアーシェのお顔が、引きつってる。
「アーシェくんが、国の宝だからだよ。
隣国の人に、さらに王子に、勝手に紹介したら、だめらしい」
「……そうなの……?」
ぴんくの瞳が、まるくなる。
「この世界の主人公なんだよ、アーシェくん!」
「いやその話と混ぜるの?」
「たぶん常に混ざってくる」
「えぇ……!」
泣きそうなアーシェくんも、可愛いです。
「では皆様どうぞお席へ」
ちゃんと5人分が用意されてると、仕込みがバレバレなので、一応3人分の用意から、2人分を急遽出してくれたよ。
さすがカイ!
カイが作ってくれたクリームたっぷりのケーキで、お茶会なのです!
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