159 / 196
ごちん
しおりを挟む「でもカイは、僕よりずっと、頭いーと思うよ」
背のびして、なでなでする僕に、カイの顔がとろけて、ぷっくりしたセゥスも、そうかも? みたいな顔になって、ザイお兄ちゃんが、かわいそうな子を見る目で僕を見てる!
「ま、まあ、カェツァにちょっと厳しくても、おつきが──」
口元がひくひくしてるカェザイに視線を送られたセゥスが、すばやく、つっこんだ。
「おつきじゃない!」
ぷっくりセゥスが、かわいーです!
ぎゅう! してたらお話が進まないから、がまんだよ。
ぷるぷるしちゃう!
「ユィリ、かわいー♡」
ぎゅう
僕が我慢しても、セゥスが抱っこしてくれちゃった!
カェザイとカイの顔が、だんだん、ドリアンの匂いをかいだみたいになってる。
……ごめん、かいだことないから分からないけど、いめーじ!
「まあまあ、話を聞いてくれ。
狙われる心配なく、もっちもっちが、お菓子を食べられるように、もっちもっちの活動拠点を、カェザ大公国にすればいい」
僕のお菓子の心配をしてくれるなんて、ザイお兄ちゃん、なんてやさしい!
たぶん目がきらきらしちゃってる僕の頭を、ザイお兄ちゃんも、カイも、セゥスも、なでなでしてくれる。やさしい。
「いいものがあるんだ」
立ちあがったカェザイが、ちょいちょい手招いてくれる。
僕がついてゆくと、セゥスもカイも、仕方ないなって笑ってくれた。
「新大公殿下、おかえりなさいませ!」
「カェツァさま、おかえりなさいませ!」
大公宮を歩くと、皆がカイに最敬礼してくれる。とっても笑顔だよ!
敬礼を捧げられ慣れていないカイが、引きつってる。
敬礼をされたら、ちょっと手をあげて『敬礼を解いてもいいよ』って示さないと、向こうが敬礼を解けないんだよね。
お手々あげまくりになるのです。セゥスはエレガントに手をあげるんだよ。とってもすごい、自慢の伴侶(予定)なのです。
「新大公殿下、カェツァさま!」
「おかえりなさいませ、カェツァさま!」
大歓迎ムード!
「……変わり身、はやすぎないか……?」
ぼうぜんとするカイに、カェザイが笑った。
「これがカェザ大公国だよ。つよい人が大すきな、脳筋国!」
「たのしそうだな」
カイが、うむうむしてる。
たくさんの扉を抜けた大公宮の最奥に、真白な花の庭に囲まれた、ちいさな白い宮があった。
カェザイに続いて踏み入った瞬間
パキィイン──!
硬い、薄くて、とても、とても硬い何かにぶちあたった感覚が、僕のおでこを打つ。
「いた!」
あわあわ押さえた僕のおでこを、セゥスがなでなでしてくれた。
目に見えないけど、なんか、硬いものがあるよ。
透明な壁?
ガラスじゃなさそう。もっと、硬そう。
「壁があるなら、教えてよー」
涙目な僕をかばうように、セゥスが前に出た。
「攻撃? しにたいの?」
光の魔力を解放しそうなセゥスに、カェザイが引きつってる。
「いや、ごめん、そんなに反応すると思わなかった。平気か、もっちもっち」
痛みで、ちょっとうるうるな僕は、うなずいた。
赤くなって、ちょっと腫れてそう。ちょこっとしたすり傷は治せるみたいな僕だけど、ちょこっとぶつけたのも、治せるのかな?
「ユィリ、今は使ったらだめだからね。痛くてもちょっと我慢ね」
「ゆりさま、だめですから!」
セゥスとカイの制止が、同時でした!
ザイお兄ちゃんを、まだちょっと警戒していて、僕が治癒魔法を使うところを見せたくないみたいです?
おでこを、ごちんさえも、治癒魔法で治してしまいたい僕。
よわよわかも……!
609
あなたにおすすめの小説
姉の聖女召喚に巻き込まれた無能で不要な弟ですが、ほんものの聖女はどうやら僕らしいです。気付いた時には二人の皇子に完全包囲されていました
彩矢
BL
20年ほど昔に書いたお話しです。いろいろと拙いですが、あたたかく見守っていただければ幸いです。
姉の聖女召喚に巻き込まれたサク。無実の罪を着せられ処刑される寸前第4王子、アルドリック殿下に助け出さる。臣籍降下したアルドリック殿下とともに不毛の辺境の地へと旅立つサク。奇跡をおこし、隣国の第2皇子、セドリック殿下から突然プロポーズされる。
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
当て馬だった公爵令息は、隣国の王太子の腕の中で幸せになる
蒼井梨音
BL
箱入り公爵令息のエリアスは王太子妃候補に選ばれる。
キラキラの王太子に初めての恋をするが、王太子にはすでに想い人がいた・・・
僕は当て馬にされたの?
初恋相手とその相手のいる国にはいられないと留学を決意したエリアス。
そして、エリアスは隣国の王太子に見初められる♡
(第一部・完)
第二部・完
『当て馬にされた公爵令息は、今も隣国の王太子に愛されている』
・・・
エリアスとマクシミリアンが結ばれたことで揺らぐ魔獣の封印。再び封印を施すために北へ発つ二人。
しかし迫りくる瘴気に体調を崩してしまうエリアス……
番外編
『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子の胸に抱かれる』
・・・
エリアスを当て馬にした、アンドリューとジュリアンの話です。
『淡き春の夢』の章の裏側あたりです。
第三部
『当て馬にされた公爵令息は、隣国の王太子と精霊の導きのままに旅をします』
・・・
精霊界の入り口を偶然見つけてしまったエリアスとマクシミリアン。今度は旅に出ます。
第四部
『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子といばらの初恋を貫きます』
・・・
ジュリアンとアンドリューの贖罪の旅。
第五部(完)
『当て馬にした僕が、当て馬にされた御子さまに救われ続けている件』
・・・
ジュリアンとアンドリューがついに結婚!
そして、新たな事件が起きる。
ジュリアンとエリアスの物語が一緒になります。
S S
不定期でマクシミとエリアスの話をあげてます。
この2人はきっといつまでもこんな感じなんだと思います。
エリアス・アーデント(公爵令息→王太子妃)
マクシミリアン・ドラヴァール(ドラヴァール王国の王太子)
♢
アンドリュー・リシェル(ルヴァニエール王国の王太子→国王)
ジュリアン・ハートレイ(伯爵令息→補佐官→王妃)
※扉絵のエリアスを描いてもらいました
※本編はしばらくお休みで、今は不定期に短い話をあげてます。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
徒花伐採 ~巻き戻りΩ、二度目の人生は復讐から始めます~
めがねあざらし
BL
【🕊更新予定/毎日更新(夜21〜22時)】
※投稿時間は多少前後する場合があります
火刑台の上で、すべてを失った。
愛も、家も、生まれてくるはずだった命さえも。
王太子の婚約者として生きたセラは、裏切りと冤罪の果てに炎へと沈んだΩ。
だが――目を覚ましたとき、時間は巻き戻っていた。
この世界はもう信じない。
この命は、復讐のために使う。
かつて愛した男を自らの手で裁き、滅んだ家を取り戻す。
裏切りの王太子、歪んだ愛、運命を覆す巻き戻りΩ。
“今度こそ、誰も信じない。
ただ、すべてを終わらせるために。”
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる