悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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ごちん

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「でもカイは、僕よりずっと、頭いーと思うよ」

 背のびして、なでなでする僕に、カイの顔がとろけて、ぷっくりしたセゥスも、そうかも? みたいな顔になって、ザイお兄ちゃんが、かわいそうな子を見る目で僕を見てる!

「ま、まあ、カェツァにちょっと厳しくても、おつきが──」

 口元がひくひくしてるカェザイに視線を送られたセゥスが、すばやく、つっこんだ。

「おつきじゃない!」

 ぷっくりセゥスが、かわいーです!

 ぎゅう! してたらお話が進まないから、がまんだよ。

 ぷるぷるしちゃう!


「ユィリ、かわいー♡」

 ぎゅう

 僕が我慢しても、セゥスが抱っこしてくれちゃった!

 カェザイとカイの顔が、だんだん、ドリアンの匂いをかいだみたいになってる。
 ……ごめん、かいだことないから分からないけど、いめーじ!


「まあまあ、話を聞いてくれ。
 狙われる心配なく、もっちもっちが、お菓子を食べられるように、もっちもっちの活動拠点を、カェザ大公国にすればいい」

 僕のお菓子の心配をしてくれるなんて、ザイお兄ちゃん、なんてやさしい!

 たぶん目がきらきらしちゃってる僕の頭を、ザイお兄ちゃんも、カイも、セゥスも、なでなでしてくれる。やさしい。

「いいものがあるんだ」

 立ちあがったカェザイが、ちょいちょい手招いてくれる。
 僕がついてゆくと、セゥスもカイも、仕方ないなって笑ってくれた。




「新大公殿下、おかえりなさいませ!」
「カェツァさま、おかえりなさいませ!」

 大公宮を歩くと、皆がカイに最敬礼してくれる。とっても笑顔だよ!

 敬礼を捧げられ慣れていないカイが、引きつってる。

 敬礼をされたら、ちょっと手をあげて『敬礼を解いてもいいよ』って示さないと、向こうが敬礼を解けないんだよね。
 お手々あげまくりになるのです。セゥスはエレガントに手をあげるんだよ。とってもすごい、自慢の伴侶(予定)なのです。


「新大公殿下、カェツァさま!」
「おかえりなさいませ、カェツァさま!」

 大歓迎ムード!


「……変わり身、はやすぎないか……?」

 ぼうぜんとするカイに、カェザイが笑った。

「これがカェザ大公国だよ。つよい人が大すきな、脳筋国!」

「たのしそうだな」

 カイが、うむうむしてる。




 たくさんの扉を抜けた大公宮の最奥に、真白な花の庭に囲まれた、ちいさな白い宮があった。

 カェザイに続いて踏み入った瞬間

 パキィイン──!

 硬い、薄くて、とても、とても硬い何かにぶちあたった感覚が、僕のおでこを打つ。

「いた!」

 あわあわ押さえた僕のおでこを、セゥスがなでなでしてくれた。

 目に見えないけど、なんか、硬いものがあるよ。

 透明な壁?
 ガラスじゃなさそう。もっと、硬そう。

「壁があるなら、教えてよー」

 涙目な僕をかばうように、セゥスが前に出た。

「攻撃? しにたいの?」

 光の魔力を解放しそうなセゥスに、カェザイが引きつってる。


「いや、ごめん、そんなに反応すると思わなかった。平気か、もっちもっち」

 痛みで、ちょっとうるうるな僕は、うなずいた。

 赤くなって、ちょっと腫れてそう。ちょこっとしたすり傷は治せるみたいな僕だけど、ちょこっとぶつけたのも、治せるのかな?


「ユィリ、今は使ったらだめだからね。痛くてもちょっと我慢ね」

「ゆりさま、だめですから!」

 セゥスとカイの制止が、同時でした!

 ザイお兄ちゃんを、まだちょっと警戒していて、僕が治癒魔法を使うところを見せたくないみたいです?


 おでこを、ごちんさえも、治癒魔法で治してしまいたい僕。

 よわよわかも……!





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