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またね!
跳びあがった僕とセゥスと、心配そうなカイと、揺れる瞳のノゥスに、ザイお兄ちゃんがすぐに状況を理解してくれた。
「転移門を開く。小国同盟仲間だからな。はやく帰ってやってくれ」
「ザイお兄ちゃん、おいしいお菓子も、お宮のことも、転移門も、ありがとう。
僕、また遊びに来てもいい?」
見あげたら、抱きしめてくれる。
「もちろんだ。ずっと待ってる」
やさしい魔力の青がにじむ瞳で、笑ってくれる。
「つよつよな、もっちもっちゆりさまに付いてゆくから、大公はできない」
カイの宣言に、仕方なさそうにカェザイは肩をすくめた。
「わかったよ。でもカェツァ……カイはもう、ひとりじゃないから。
俺が、カイの兄ちゃんだ。
カェザ大公国が、カイの故郷だ」
お兄ちゃんの腕が、カイを抱きしめる。
「いつでも帰ってこい。
いつでも頼れ」
ちいさなカイの顔が、くしゃりとゆがんで、お兄ちゃんの背を抱きしめた。
「せっかく逢えたから。もうちょっと、ザイお兄ちゃんと一緒にいる?」
心配で見あげる僕に、カイは首をふる。
「ロベナ王国に戻りましょう。クゥスさまが心配です」
「……ありがとう、カイ」
ぎゅ
カイを抱っこした僕は、背伸びする。
「またすぐ逢えるからね。泣かないで」
カイの頭をなでなでしたら、目をぬぐったカイが笑ってくれる。
「はい、ゆりさま」
励ますようにカイのお背なをぽんぽんした僕は、のーすちゃんを振りかえる。
「すぐにロベナ王国に帰ります。くーちゃんのところへ!」
「ありがとう、ゆーり」
のーすちゃんが僕の手を、すがるように握ってくれた。
ちょっとふくれたセゥスに手を引かれた僕を、カイの手をひくザイお兄ちゃんが、転移門まで連れていってくれる。
「……え、いや……手をつながなくても……」
とまどうカイの頬が、ちょこっと赤い。
「はじめて逢った、俺を殺しにこない弟なんだ!」
とってもうれしそうなカェザイが、すっかりお兄ちゃんです。
なでなでされたカイが、くすぐったそうで、すっかり弟くんです。かわいい!
王族と最高位の貴族のみに使用を限定している魔術の結晶、転移門を初対面の僕に開いてくれるザイお兄ちゃんに、僕は胸に手をあてて膝を折る。
胸に手をあてると心からの気もちを表すんだよ。心からの感謝を伝えるのです。
「ありがとう、ザイお兄ちゃん」
僕の頭をわしゃわしゃなでたカェザイは、微笑んだ。
「もっちもっちも、カイも元気で。
心配だから、どうなったか、また知らせてくれ」
「はい!」
僕とカイを抱っこしてくれたザイお兄ちゃんが、手をあげる。
「またな!」
「またね!」
「ありがとう!」
皆で大きく、手をふった。
「参ります!」
たくさんの魔法士たちが魔力を注いでくれて、魔紋に埋めつくされた部屋が輝きはじめる。
転移門が起動してゆく。
キュアァアァア──!
光の渦の向こうで、ザイお兄ちゃんが、ずっと手を振ってくれた。
カイが大きく、手をあげた。
あふれる光が、おさまってゆく。
見えていか景色が、変わってゆく。
風が、変わる。
香りが、変わる。
ちょこっとお久しぶりの、ロベナ王国に帰ってきました!
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
1月5日なので、結果発表です!
いいね
完結がいい 432
のんびり連載 928
Youtube
完結がいい 6票
のんびり連載 26票
インスタ ストーリーズ
完結がいい 3票
のんびり連載 25票
インスタ リール
完結がいい 1票
のんびり連載 12票
合計
完結がいい 432+10×20 = 632 22%
連載がいい 928+63×20 = 2188 78%
というわけで、のんびり連載になりました!
完結をお望みの方には申しわけないのですが、だいたい完結で、ご容赦たまわれたらさいわいです。
できるかぎり頻繁に更新できるようにがんばるので、もっちもっちユィリと皆を、もしよかったら、どうぞよろしくお願いします!
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