もふもふ獣人に転生したら最愛の推しに溺愛されています

  *  ゆるゆ

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1周年、ありあと、ござまし!

でじゃびゅ?




 ジゼの凛々しい眉がつりあがって、ぴょこんと僕は跳びあがる。

「ジゼしゃま、僕、だぃじょぶ、でしあ!」

「……リトが参るたびに、従僕が総入れ替えになっていることを、この者たちは知らぬのですか」

 凍えるジゼの声に、ルァルは首をふる。

「周知している。だから、隠れてこそこそしているんだ。バレないと思ってな。
 差別とは、いやがらせとは、そういうものだろう。
 法で裁こうと、解雇しようと、その者が心から変わりたいと望まなければ、決して変わることはない。
 どんな偉業をなした獣人であろうと──……いや、素晴らしい功績をたてればたてるほど、獣人が憎らしくなるんだ。
 真っ暗な者はな」

 こぼれる吐息が、花の苑を揺らす。

「差別することが、誰かを蔑むことが、はずかしく、情けないことにする国に、一刻もはやく変えてゆきたい。
 それでも時間が掛かるんだ。
 すまない、リト」

 胸に手をあて、膝を折ろうとしてくれる次期帝王に、跳びあがった僕は、首をふる。

「ルァルしゃまが、がんばて、くだしゃゆ、獣人、の、皆、とても、とても、喜び、まし!」

 ぽふぽふ揺れる僕のしっぽの向こうで、アオも笑ってうなずいてくれる。

「ありがとうございます、ルァル殿下」

 動かしたアオの唇を読んだのだろうルァルは、微笑んだ。


「礼を言うのはこちらだ。アオのかっこよさと、リトの愛らしさのおかげで、獣人の評価は上々だ。
 厳しく罰するより、アオとリトが、ぽふぽふしてくれるほうが、きっと、民の心は動く」

 わしゃわしゃ、ルァルのごつごつの手が、頭をなでてくれる。


「ぽふぽふ!」

 レォンしゃまを見習って、ぽふぽふ2倍速にしてみましあ!

 ジゼしゃまとルァルとノァとカィトと周りの騎士さんたちとアオまで、胸を押さえてうずくまってる。





「さあ、リト、皆に優秀さを見せつけるために、茶を淹れてくれ」

 にこにこするルァルが、僕に、ぷれっしゃーを……!

「いつもどおりに淹れたら、だいじょうぶ」

 微笑んでくれるジゼが、とびきりやさしい。


 皆が手をのばしたお菓子と、顔色と、今日の予定を確認した僕のしっぽが、ぽふりと揺れる。

「ルァルしゃま翠舞茶、ノァしゃま静闇茶、カィトしゃま紅火茶、ジゼしゃま緑花茶、いかがでし?」

「……は! 朝一番に飲むお茶を、今の時間に出すとは」

「やはり獣人は、おつむが残念なのではありませんか?」

「これは差別ではなく忌憚なき指摘でございます、ルァル殿下」

 従僕たちが、顎をあげる。

 聞いたことある……! 見たことある……! すばらしい既視感!

 ジゼが眉をあげるよりはやく、ルァルの眉があがる。

「そこの、緑花茶の効能を述べよ」

『おつむが残念』言った従僕を刺したルァルの目に

「ヒ……!」

 息をのんだ従僕がうろたえる。

「……こ、効能とおっしゃいましても……その、朝一番にふさわしい、さわやかなお茶で……朝に淹れるお茶でございます」

「お前たち、他に追加することはあるか」

 帝宮の従僕たちを見渡したルァルに、声があがる。

「ザィグ地区で採れた最上の茶葉でございます」

「次期帝王がお出しになるのにふさわしい茶葉ではございますが、朝のお茶でございます。この時間に淹れるのはふさわしくないかと」

 うやうやしく胸に手をあてる従僕に、ルァルは眉をあげた。

「ふさわしくないお茶を持ってきたのはなぜだ?」

「ルァル殿下は、獣人差別撲滅を掲げておられます。ご立派なお志ではございますが、少々獣人を高く買いかぶりすぎていらっしゃるご様子ですので」

「お目をさましていただこうかと」

「獣人とは、愚かな選択をするものなのです」

「差別ではなく、事実です」

 顎をあげる従僕たちが、とっても既視感──!


 ルァルの陽の瞳が、僕を向く。

「リト、緑花茶をジゼに勧めた理由を述べよ」

 ぽふりと僕のしっぽが揺れる。

「ジゼしゃま、お昼、ごはん、らーめ……鳥麺、でしあ。塩分、多め。ちょと、胃もたれ。帝宮、お菓子、脂、たぷり。ジゼしゃま、ちょと、おこでしあ。ご予定、鍛錬でし。
 食事、の、塩分ぉ、排出、頭を、すきり、疲労感、回復、元気、出ゆ、胃粘膜、修復、増強、胃もたれ、予防、すゆ、緑花茶、ぉすすめ、でし」

「朝に飲む茶だからと、茶の効能を知ることもなく緑花茶を避ける従僕と、あるじのことを思って最適な効能を発揮する緑花茶を淹れてくれる従僕、どちらが従僕にふさわしい?」

 ルァルの睥睨が、帝宮の従僕たちを刺した。

「そ、それは、その獣人はジゼさまの従僕だから、できることであって──!」

「ならお前は、俺にどんな茶を選ぶ?」

「宝玉茶です。次期帝王にふさわしい、帝国最高のお茶でございます」

 ルァルは鼻を鳴らした。

「俺が、大きらいな茶だ。よくもまあ、それで帝宮の従僕を名乗れるものだな」

 従僕の顔から、色が消えた。

「リト、俺に翠舞茶を勧めた理由を述べよ」

 ぽふりと僕のしっぽが揺れる。

「ルァルしゃま、ぉ顔、おちゅかれ。おこでしあ。ぉ菓子、今日のは、あまあま。ご予定、ご公務でし。たぃへん!
 翠舞茶、ストレ……抑圧、軽減、元気、回復、勇気、充填、消化、促進、ルァルしゃま、の、ぉしゅき、なぉ茶、でし」


「どの口で、獣人が愚かだとほざく?」

 ルァルが、嗤う。


「近衛。帝国法違反で、そこのを全員罷免しろ」

「御意」


 やってきた近衛騎士で、従僕がいなくなりました……!

 とっても見たことある気がする……!










────────────────


 ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!

 11月4日の、いい推しの日に、リトを最愛の推しに選んでくださった方のために、ちょこっとはやくなりました!

 キャラ人気投票1位 リトの動画をつくりましたー!
 リトがお茶を淹れます(笑)湯気もあります! 流れるのですが、あふれない!(笑)

 もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!

 リトの夜まで書いたら、また皆のありがとうございます動画をつくれたらいいなと思います。


 お気に入りや、いいね、エールで応援してくださる方に、ずっと読んでくださるあなたさまに、心から、ありがとうございます!




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