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あまやかし?
「むーちゃん! けが、した……!?」
号泣しそうになりながら、あわあわ着換え室に入った僕は、お服がからまって、足をとられて、扉に身体を打ちつけてしまったらしいムニャを見つけた。
耳まで真っ赤なムニャが、もごもごしてる。
「……ちょっと、わかんなかった」
しょんぼりする、ちょっと涙目なムニャの、ちいさな頭に手をのばす。
かがんでくれるムニャのさらさらの髪を、やさしくなでた。
「むーちゃん、よく、がんばり、ました! えらぃ、えらい」
なでなでしたら、はずかしそうに、うれしそうに、笑ってくれる。
「僕、いちおう、がんばったの」
「とっても、えらぃよ、むーちゃん!
ひとりで、しよぅって、がんばゆのが、えらぃの!」
抱っこして、なでなでしたら、とろけるように笑ってくれる。
「……うん。……ぽてなら、きっと、そう言ってくれるんじゃないかと、思って……期待しちゃった……」
もじもじして、上目遣いで、見あげてくれる、むーちゃんが、とっても、とっても、かわいーです!
きゃ──♡
「いぃこ、いぃこ。
むーちゃん、よく、がんばり、ました」
「えへへ」
僕の胸に、おでこをすりつけるむーちゃんが、とびきり、かわいーです!
きゃ──♡
「……ちょっと、あまやかし過ぎじゃないか?」
なかなか出てこないから心配してくれたのだろう、着替え室をのぞきこんだゴナの目が、半分になってる!
「いっぱい、あまやかしゅの!」
胸を張る僕に、ゴナの目がまるくなって、後ろでゴタが肩を揺らして笑ってる。
「ぽて、だいすき」
きゅう
紅い頬で抱きしめてくれたら
「むーちゃん、だいしゅき!」
熱い頬で、とろけて笑ってしまうのです。
「むーちゃん、どこ、わからな、かった?」
ムニャのちいさな顔をのぞきこんだら、赤い顔で、ムニャが下衣のひもを取りだした。
「これ、どうするのか、わからなくて……」
木の輪っかがついた、ひもの意味が分からなかったみたいです。
「なゆほろ。ここ、とおしゅの。くるって! ひっぱゆ、と、とまゆ!」
「おお!」
きゅっと締まって、ずり落ちて来なくなりました!
「な、なるほど……! 引っかけるんだね。着替え室を出ようとしたら、どんどん下がってきて、足が引っかかっちゃって……」
「なゆほろ。ころんじゃって、ぃたかったね。
なかなぃの、えらかったよ、むーちゃん。よく、がんばり、ました!」
ぎゅう
抱っこして、なでなでしたら、紅い頬で、とろけるように笑ってくれる。
ちょっと、よれっとしていた、ムニャのあたらしいお服のすそを、ちょんちょん引っ張って、きれいに着せてあげました!
「これ、で、かんぺき!」
「すごい、ぽて!」
「えへへ」
熱い頬で笑ったら、後ろで、あんぐりしていたゴナの目が遠くなった。
「……すごいのは、ひもを通せないムニャじゃないか……?」
「こりゃ! なんてこと、ゆうの!」
むーちゃんが、泣いちゃうでしょ!
激おこになった僕の頭を、ぽんぽんしたゴナが
「ぽて、かーわいー」
にやけてる。
僕、激おこなのに!
「まあまあ、お貴族さま……じゃなかったけど、でもまあ、そんなもんだろ!」
ゴタが理解してくれました。
「むーちゃん、がんばって、おふく、きれた、よ!」
ちいさなムニャの頭を、なでなでしたら、うれしそうに笑ってくれる。
「ど、どう、かな……?」
心配そうに眉をさげるムニャに、ぽふりと抱きついた。
「むーちゃん、かっこいー!」
ムニャの髪と瞳を映したような夜色のお服も似あうけれど、明るい、やさしい色も、もちろん似あう!
「おお、おそろいになったな。
似合ってるし、かわいいし、いいんじゃねえか?」
得意そうに鼻を擦ったゴナが、反りかえってる。
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