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かわいー
「むーちゃんと、おそろい!」
ぴょこぴょこ跳ねて、くるくる回る僕を抱っこして
「ぽて と、おそろい」
ムニャが、とろけるように笑ってくれる。
一緒に笑ったゴタが、僕とムニャの頭を、わしゃわしゃなでてくれた。
ムニャの瞳が、まるくなる。
「……そ、その、いつもどおりで、いいって言うから……だめだったか……?」
心配そうに眉をさげるゴタに、ムニャは首をふった。
夜の髪が、さらさら揺れる。
「……そ、その……驚いて……あの……僕の髪、きもちわるく、ない、ですか……?」
きょとんとしたゴタが笑う。
「きれいじゃねえか。夜の髪だ」
微塵もためらうことなく、笑ってくれる。
「あんまり見たことねえけど、ムニャには似あってると思うぞ!」
僕よりは、ずっと大きな、でもムニャよりはちいさなゴナが手をのばす。
かがんだムニャの頭をなでなでしたゴナの目が、まるくなる。
「うわ、さらっさら……! すげー!」
ほめられたムニャが、くすぐったそうに、ちいさく笑った。
「あ、あの、ぽて以外の人が、さわってくれたの、はじめてで……」
ふうわり赤いまなじりで、ムニャがほほえむ。
「……ありがとう……」
ぴょこんと、ゴタもゴナも僕も、跳びあがった。
「うわ! めちゃくちゃ、かわいーな!」
「ひゃー!」
「むーちゃん、かわいー!」
ぴょこんと跳びあがって抱きついたら、まるい夜の瞳で、ムニャが抱きしめてくれる。
「かわいいのは、ぽてだよ」
「むーちゃんなの!」
ぎゅうぎゅうムニャを抱っこする僕に、ゴタとゴナが笑う。
「どっちも、めちゃくちゃ、かわいーぞ!」
僕とムニャの頭を、わしゃわしゃなでて、笑ってくれた。
新しいお服! ムニャとおそろいのお服!
うれしくて、ぴょこぴょこ跳ねて、くるくる回ってしまう僕と、微笑んでなでなでしてくれるムニャを、職人の瞳で確かめるように見つめたゴタが、うなずいた。
「動きに問題は、ねえみたいだな。動かしにくいとか、引きつるとかは?」
僕は、腕をあげてみる。
足をあげて、飛び跳ねた。
「なぃよ!」
「ぽてが、かわいい……!」
ムニャが、ちっちゃなお顔を、大きな両手で覆ってる。
「ムニャも、かわいーよ」
笑うゴナと一緒に、こくこくうなずく。
「むーちゃん、かわいー!」
赤いお耳をつんつんしたら、びくんとふるえたムニャが、紅い頬で笑った。
「ムニャは? 動かしにくいところ、ない?」
腕をのばして、かるく歩いたムニャはうなずく。
「とても動きやすいよ、ゴナ。ありがとう」
「お、おう! へへへ」
真っ赤になったゴナが、鼻をこする。
「ふたりとも、ちっと……いや、だいぶ? おっきいみたいだけど……ちょっと、つめて小さくするか?」
ムニャは首をふった。
「時間がかかるでしょう。今すぐ着たいから、このままで」
「そっか。またおっきすぎたら、いつでも、つめるから。まかせとけ!」
ゴナがちいさな、僕よりはずっと大きな胸をたたいてくれる。
「まあちっと縫製はあまいから、ほつれたりしてきたら、直すから寄ってくれ」
ぽんぽん背中をたたかれたムニャがうなずいて、目をむいたゴナが跳びあがる。
「な……! ね、ねえと思う、けど……なんか、縫い残しとか、穴が開いてたり、とか、あったら……持ってきて、くれたら……」
もごもごして、うつむくゴナに、微笑む。
「こっそり、ね!」
ささやいたら、栗色の瞳をまるくして、赤い頬で笑ってくれた。
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