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かんばい!
むーちゃんと、コゾと一緒に、僕は、おにくやさん!
はじめてだけど、がんばるよ!
「いらしゃい、ましぇ! しんしぇん、ぉかね20まぃ、ぉにくでしゅ!」
ぴょこぴょこ跳ねて、お客さんに声をかける。
「かわいー!」
「やっす!」
「ひとつ、もらおうかな」
おかねをじゃらじゃらしながら、お客さんが来てくれました!
「うおりゃあああ──!」
はりきって、さばいたコゾが、ひとかたまりのお肉を切り分けてくれる。
「おかね、20枚です。18まいですね、あと2枚お願いします」
ムニャが、がんばって数えてくれる。
びっくりするほど、おっきい野獣のお肉は、どんどん切り分けられて、どんどん買われて、あぁっという間に完売しました!
「すごぃ! コゾ、がんばった!」
「はい、売りあげ」
にこにこする僕とムニャを、ぼうぜんと見つめたコゾの瞳に涙がにじむ。
「……ありがとう……」
ムニャと僕の手を、にぎってくれた。
「じゃあ、おかね、半分はムニャと、ぽてに──」
分けてくれようとするコゾに、首をふる。
「ぉにく、ひとつでいいの!」
「…………あ……」
コゾが振りかえる。
どんどん売れてしまったから、僕たちの分を取り分けるのを忘れてしまったのだろう。
残ったのは骨と内臓だ。
ムニャと顔を見あわせた僕は、手をあげる。
「コゾ、ほにぇ、ぶつぎり、できゆ?」
「た、たぶん……! すまん、あわてて切り分けたから、残しておくのを忘れちまって──」
「へぃき! ほね、ちゅき、ぉにく、いちばん、おぃしーの!」
「わ、わかった、細かく切ってみるな!」
コゾが剣を構える。
「どぉりゃあぁアア──!」
一瞬で刻まれた骨つき肉ができあがった!
「コゾ、しゅごぃ!」
「い、一瞬だったよ──!」
のけぞって拍手する僕とムニャに、照れくさそうにコゾが笑う。
「骨と内臓と、おかね半分でいいかな」
僕もムニャも、首をふった。
「コゾ、ずっと、がんばて、きたの。ぼくたち、したの、ちょこっと、だけ」
「これからはきっと、露店でお肉屋さんができますよ」
「……で、でも、こ、こんなに……!」
おかねの山に、とまどうコゾに、僕とムニャは顔を見あわせる。
「えと、えと、このあたり、で、やじゅー、でて、あぶにゃい、ところ、おしえて、くだしゃい!」
「もちろんだ!」
近くの露店で木の板を買って、筆記具を借りて、この辺りの地図を描いてくれた。
「わあ、じょーず!」
拍手する僕とムニャに、照れくさそうにコゾが鼻をこする。
「森の奥は危険だな。人間が住んでるところに近いところには、そんなにいない。
あとは、夜だな。危険だから出歩かないほうがいい」
「ありがとぅ」
ムニャとふたりで感謝する。
「……これ、持って帰る?」
心配そうにコゾが眉をさげる。
小山みたいな骨と内臓と、ムニャを見あげる僕に、ムニャは微笑んだ。
「はいる」
こっそりささやいたムニャが、骨の山の下にできた影にふれようとするのを、あわあわ止める。
「こ、こりぇ、はこぶ、だいしゃ、かりゆ!」
「おお、わかった!」
広場の露店のなかにある貸し台車屋さんまで駆けてくれたコゾが大きな荷車を借りてきてくれる。
「あとは僕たちがやるよ。ありがとう、コゾ」
微笑むムニャと一緒に、コゾを見あげる。
「ぉかね、いくら?」
首をかしげる僕に、コゾはぶんぶん首をふった。
「おかねなんて、もらわねえよ! 俺が払うべきなのに!」
「じゃあ今度は、お肉をちゃんと買わせてください」
ムニャが微笑む。
「またにぇ、コゾ!」
笑顔で手をふる僕と、ムニャを見つめたコゾが、心からの気もちを表して胸に手をあてる。
「……ありがとう」
涙の瞳で、笑ってくれた。
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