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ひさく!
しょんぼりな、むーちゃんを励ますための秘策が、僕には、あるのです!
それは!
「ほっかむり、すりゅ!」
ゴタとゴナのお店で、敷布といっしょにお願いして、ムニャが買ってくれたお掃除用のボロがあるのです!
おかね1枚で5枚!
ゴタとゴナが、おおやすうり、してくれたんだよ。
顔に巻きつけたら、ちょこっと、ほこりを防げるかも!
くるくる、お顔に巻いてみた。
「おお!」
目を輝かせたムニャが、拍手してくれた。
うれしい。
「ぼく、かっこぃー?」
ぴょこんと跳ねた。
ほっかむりも、いっしょに、ぴょこんと揺れる。
「とっても、とっても、かっこいーよ、ぽて!」
僕を抱きあげて、むーちゃんが、笑ってくれる。
「えへへ。うれしい、むーちゃん」
ぎゅう
抱きついたら
ぎゅうう
抱っこしてくれる。
あちあちのほっぺで笑った僕は、ほこりで、まっしろに染まった、何が何だか分からないけれど、たぶん、台所っぽいところに足を踏み入れる。
うず高く降りつもる、ほこりが、もわもわしてる……!
「ぽ、ぽて、あぶないよ……!」
心配してくれるムニャに、どんと、ちいさな胸をたたく。
「ぼく、がんばゆ、よ!」
むーちゃんのためなら、僕は、なんだって、できるのです!
あちあちのほっぺで、ちっちゃな拳をかかげる。
「ぽて、とちゅげき!」
ボファアァア──!
舞いあがる、ほこり!
白くなる視界!
「ぴゃー!」
びっくり!
「ぽて──!」
涙目になったムニャが、ほっかむりせずに駆け寄ってくれようとして
「げへがはごは──!」
大変なことになってる!
「むーちゃん、ここ、きけん! むこぅで、ゆくり、してて!」
叫ぶ僕に、ムニャが泣きそうだ。
「で、でも、ぽてが、がんばってくれているのに……!」
「ぼく、つぉいこ!」
どんと、ちいさな胸を叩いた僕は、ほこりの海をかき分けて、奥へと進む。
かまどがあるなら、きっと壁際だ。
その近くに、おなべが置いてある、はず……!
「けほ、こほ、くしゃん!」
「ぽて……!」
ムニャの悲鳴に、ちっちゃな手をあげる。
「へぃき!」
自分のためなら『……なまで、いいや……』思ってしまうけれど。
むーちゃんのためなら、あったかいご飯をつくってあげたいのです。
今までは、しないと殴られた。
それは義務で、痛くて、さみしいことだった。
今は、むーちゃんのために、料理できるなら、わくわくする。
むーちゃんが、よろこんでくれるかな。
思うだけで、胸があったかくて、どきどきして、ほっぺが熱くなるのです。
「ひかり!」
茜のひかりが射しこむのは、きっと、窓だ。
ほこりに、うもれていた窓へと、ほこりの海を進む。
ボッファアァア──!
「ぴゃー!」
「ぽて──!」
「へぃき! ほっかみゅり!」
元気に、手をあげた。
窓っぽいのの近くに来た僕は
「うんしょ、ぅんしょ」
ちいさな手をめいっぱい伸ばして……も無理だったので、近くの台に足をかけて、よじ登ろうとしたら
「わぁあ──!」
台が、落とし穴でした──!
「ぽて──!」
ほこりをかき分けて、突撃してくれたムニャが、僕を抱きあげてくれる。
「げほごほがは──!」
「むーちゃん!」
あわあわ、のばす僕の手を、ムニャの大きな手がにぎってくれる。
「ぽて、ケガは……!?」
「へぃき。むーちゃん、ごめんなしゃい」
しょんぼりする僕に、ムニャは首をふった。
「ぽては、なんにも、わるくない!」
叫んだムニャが、僕の身体からほこりを払って、やさしく腕や足を確かめてくれる。
「どこも痛くない?」
「へぃき!」
そして僕は、たいせつな発見をしたのです!
ちっちゃな胸でそりかえった僕は、教えてあげる。
「むーちゃん、これ、かまどだょ!」
夜の瞳が、瞬いた。
「え?」
「あなに、ぼくの、あし、はまっちゃったの。
たぶん、こりぇ、したに、たきぎ、いれて、ひを、おこす、かまど!」
「そうなんだ」
ふーんという感じにうなずくムニャは、かまどを知らないみたいです?
さすが、むーちゃん!
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