僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

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ほへ?




「このあたりの、くしゃ、ぴかぴか?」

 首をかしげる僕の隣で、きらきら草を差しだすムニャが微笑む。

「とてもきれいですよね。熱さまし草で、間違いありませんか?
 ひと房のお値段は、このあいだ見せていただいた資料では、おかね10枚だったと思います」

 比較的よく生えている草だけれど、欲しがる人も多いので、買い取り価格はお高めの、おかね10枚なのです!

 むーちゃんと、お菓子が食べられるよ!
 はんぶんこ!

 わくわく見あげる僕とムニャに、おしわに、うずもれそうな目をまんまるに見開いていたおじいちゃんが、のけぞった。

「こ、これは、お兄さんが摘んだのか……!?」

 きょとんとしたムニャが首をふる。

「いえ、ぽてが」

「ちっちゃいのが摘んだのか──!」

 僕は、ちいさな手をあげる。

「ちっちゃぃ、ぼく、ぽて」

「ああ、うん、名を覚えられんですまんが、ちっちゃいのが、これを……?」

「あい」

 ホーおじいちゃんが、ぼうぜんと僕を見つめる。



「……緑のきみ……!」



「ほへ?」

 首をかしげる僕と一緒のほうに首をかしげる、むーちゃんが、今日も、とっても、かわいーです!




「緑のきみ?」

 きょとんとするムニャと僕に、ホーおじいちゃんは、そうっときらめく草にふれる。

 緑のひかりが、ちらちら舞って、弱くなる。

「……あぁ、やはり」

「ぴかぴか、ぉわり?」

 首をかしげる僕に、ホーおじいちゃんは、うなずいた。

「言い伝えじゃの。緑のきみが摘むときは、植物が緑のひかりにきらめくと。
 こんなことまで知っておる、わしを、ほめてほしいくらい、あやしい噂じゃ」

「うわさ」

 眉をひそめるムニャに、ホーおじいちゃんは声を落とした。

「緑のひかりは、摘んだ瞬間にしか現れぬという。
 まだ光っておること自体が、異常じゃ。というか、光るというのも伝説じゃぞ!?」

 叫んだホーおじいちゃんは、あわてたように魔導具を起動した。

 キィイイイン──!

 結界の魔法が発動する。
 ムニャの夜の瞳が細くなる。

「……防音と……視界を遮断する結界?」

 重々しく、ホーおじいちゃんは、うなずいた。


「緑にひかる草だなんて、見られたら大変なことになるぞい!」

 僕は首をかしげる。


「このぁたりの、くしゃ、みな、ぴかぴか、じゃ、なぃ?」

「光ってる草を見たことがあるか」

 いかめしくホーおじいちゃんに、のぞきこまれた僕は、こっくりうなずいた。

「ょゆに、なゆと、ひかゆ、くしゃ、あゆ!」

「確かに、夜に光る花は、僕も見たことがあります」

 うなずくムニャと僕に、ホーおじいちゃんは頭を抱えた。

「そんな希少な植物を知っとることも驚きじゃがの、そーじゃない!
 熱さまし草が光っているのを、今まで一度でも見たことがあるか?」

 僕とムニャは顔を見あわせた。

「……僕は草に興味がなかったので、何とも……」

 眉をさげるムニャのおひざを、ぽんぽんした僕は、手をあげる。

「にゃい! と、おもぅ?」

 ほっとしたように、ホーおじいちゃんは吐息した。

「そうだろう、そうだろう。
 あるとか言われたら、じーちゃん、のけぞるよ。お背なが痛いよ」

 つかれたように、背中をさすったホーおじいちゃんは、結界の向こうが見えないことを確かめるように目を細めた。





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