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さいこう?
あふれる闇の奥で、かすかな光が、ちらちらしてる。
むーちゃんの、ちからだ。
うっとり見あげる僕の隣で、ホーおじいちゃんが息をのむ音が聞こえた。
「お、お兄さん、そ、その力は──」
おびえたように、あとじさるホーおじいちゃんに、ムニャはうなずく。
「忌まれる力です。
それでも、ぽてを守ることができるなら、僕はこの力に感謝します」
ムニャと僕を守るように噴きあがる力は、真っ暗で、けれど、その奥に星がひらめくような、あたたかな力だ。
「むーちゃん、の、ちから、やさしぃ。
ありがとぅ、むーちゃん」
ぎゅう。
抱きしめたら、ムニャの夜空の瞳が泣きだしそうに歪む。
「……ぽてを、守る」
抱きしめてくれるムニャの肩が、ふるえてる。
ぼうぜんと口を開けたホーおじいちゃんが、ムニャと僕を凝視する。
「そ、そうか、ちっちゃいのが摘んだ薬草を、お兄さんが、その力で運んだのか──!」
きょとんとした僕とムニャが、うなずいた。
「むーちゃん、ぉにもつ、もって、くれゆの」
「えへん」
胸を張る、むーちゃんが、とってもかわいーです!
熱い頬で、もだもだしちゃう僕の隣で、ぴかぴかが小さくなってゆく熱さまし草を見つめたホーおじいちゃんが、ムニャを振りかえる。
「こいつを、しまってくださるかの」
きょとんとしたムニャが、うなずいた。
「はい」
弱い輝きの熱さまし草に、ムニャがふれる。
長い指がひらめいて、ムニャの影に落ちた熱さまし草が消えた。
「な、なるほど……! 他にも、ちっちゃいのが摘んだ、熱さまし草が?」
「あります」
「ちょこっと、見せてくれるかえ?
さっきの草と違うのをお願いする。そういうことも、可能ですかの?」
「もちろん」
こくりとうなずいたムニャの長い指が、ひらめく。
ムニャの影にふれた指から現れるのは、まばゆいばかりにきらめく熱さまし草だ。
「おぉお! やはり! すぐしまってくだされ」
うなずいたムニャが熱さまし草を影に落とす。
消えてゆく熱さまし草に、ホーおじいちゃんは白いおひげをしごいた。
「……なるほどのう」
納得したように、うむうむするおじいちゃんに、僕とムニャが首をかしげる。
ホーおじいちゃんの瞳が、細くなる。
「おそらくですじゃ。ちっちゃいのが、緑のきみ。
ほんとうに薬効が数倍かどうかは、試してみないと分からんが、とにかく何らかの魔法を使える人なのでしょうな。
そうして、お兄さんも魔法が使える」
しわの向こうの瞳が、ムニャを見つめる。
「おそらく、お兄さんがしまったものは、時間が止まる」
「……え……?」
きょとんとする僕とムニャに、ホーおじいちゃんは、ささやいた。
「つまり、薬草は、摘まれたばかりということですの。だから、輝いておるのでしょう」
防音の魔導具の作動を確かめるように、しわの指がふれる。
「伝説ではの、緑のきみが摘んだ薬草は、その瞬間が最も輝きと薬効が高い。
時間が経つにつれて、つまり輝きが弱まるにつれて薬効は落ちてゆくとされる。
輝きが全く消えた薬草は、最も力ないわけじゃが、それでもまあ、数倍の薬効はあるのですな」
おじいちゃんの声が低くなる。
「それが、お兄さんの力と、あわさるとじゃ。
最高の状態の薬草を、どこにでも運べるということになりますの」
僕とムニャは顔を見あわせる。
「それは僕とぽての相性が、最高によいということですか」
むーちゃんの瞳が、きらきらしてる。
「ぼくと、むーちゃん、さぃこぅ?」
わくわく聞く僕に、ホーおじいちゃんは、深くうなずいた。
「これ以上ないほどに。
おふたりがいらっしゃれば、最高の薬士に、なれますぞい!」
────────────────
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
むーちゃんの動画をあげました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ずっとお書きするのを忘れていたのですが、表紙や動画にはAIを使っていますが、文章には一切使っていません。
ずっと読んでくださる、あなたさまが、ちょこっとでも楽しんでくださったらいいなと思って、ぽちぽちお書きしています(笑)
ずっと読んでくださる方、お気に入りに入れてくださる方、いいねや、エール、ご感想で応援してくださる方に、いつもとても励まされています。
心から、ありがとうございます!
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