【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ

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舞踏会編だよ!

ぱんぱかぱん!

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 謁見の間に、いらっしゃった帝王陛下は、ルァル殿下のお兄さんと言っても通りそうな、可愛くてちっちゃい方だった。

 ぽかんと開けそうになった口を、透夜はあわてて引き結ぶ。
 よい子の隠密団の皆は、ふつーの顔をしたままだった。つよい。

 魔法で子どもができて、魔力の強いほうが母になるから、ルァル殿下のおかあさんらしい。若い。かわいい。
 息子が衛士の装いをしてるのを事前に聞いていなかったのか、ちょっと眉をあげただけでスルーしてた。

 すごい。
 さすがルァル殿下のおかあさんだ。

 ノィユも『なにこのちっちゃくて可愛い帝王陛下──!』ってもだもだしてた。
 きみも『ちっちゃくて可愛い』仲間だぞ。

 敵国の使者が3歳とかな!

 しかしノィユは転生者、やる男だ。


「ネメド王国は、ドディア帝国となかよくしたいです!」

 拳をにぎって訴えてた。

 転生者仲間として誇らしい。


 ノィユが頑張っているのだ、だいぶ大人(でも12歳。中身30代だろうから忘れがち)な自分もがんばらねば!

 というわけで、謁見が終わったら早速、ジゼのおとうさんゲォルグ(ジゼがおっきくなったらこうなるのだろうという、すさまじいかっこよさ)のお友達で天才魔道具士のノザさんを紹介してもらいました。

 筆頭高位貴族らしい。そんな人にさっくり逢わせてくれて、だいじょぶなのかなーと思ったら、すんごい魔導士でもあった。変なのは自分で撃退できるタイプだ。

「面白い曲を作りたいんだって?」

 魔道具の部品が散らばるカオスなお部屋で、さらさらの藍の髪を揺らして聞いてくれた。
 さすがBLゲーム、皆、かっこいー!

 面白そうに閃く藍の瞳に、透夜は身を乗り出した。


「そうなんです、こう電子がピコピコしてるような」

「でんし? ぴこぴこ?」

 そうだよね、そこからだよね……!

 擬音、擬態、口真似を駆使した透夜の奮闘と、天才ノザの洞察力の深さのおかげで、アイドル曲ができましたよ!


「え、すごい……!」

「すごぃ、でし、透夜たん、ノザしゃま!」

 ノィユもリトも感動してくれた。
 リトのぽふぽふしっぽに、ノザが胸を押さえてうずくまってた。わかる。


「あとは、動いてるところを映像として残せる魔道具だっけ?」

 話のはやいノザ!
 透夜はぶんぶんうなずいた。

「そうなんです! 踊ってるところを録画して確認して、合わせたいんです」

「なるほど。細かい停止とかできたほうがいいんだね?」

「巻き戻しとか!」

「やってみる」

 無茶ぶりについてきてくれるノザが、天才すぎる!




 ぱんぱかぱ──ん!

「でけた!」

 魔道具を掲げてくれるノザが、輝いてる。


「すごい!」

「ありがとうございますー!」

 皆で拍手した。


「これで録画して、ちょっとずれちゃうところを、合わせられるようになろう!」

「あい!」

 ぽふぽふしっぽでうなずいてくれるリトに、皆で胸を押さえた。味方を攻撃するリト。かわいい。


 貸してくれた別室で3人が頑張ってダンスを合わせてくれている間に、透夜とノザは曲を用意してゆく。

「あのう、会場を暗くして、光の線、いろんな色を発射したり、歌ってる人に太い光をあてたり、できますか」

 レーザー光線みたいなのとか、スポットライトとか、ぜひお願いしたい!
 アイドルだから!

 目に力をこめた透夜に、ノザは吐息した。


「あー光魔法の使い手がいないと無理かな。ここ百年いないって聞いたけど」

 首をふるノザに、透夜ががっかりするよりはやく、リトがしゃっと手を挙げてくれる。


「僕、使えましあ!」

 ぽふぽふしてる。


「リトたん! かわいいだけじゃなくて、つおいなんて、最高じゃないか!
 ……え、光魔法が使えるなんて、主人公だった!?」

 真剣に聞いてしまった。


「もぶですら、ないでしあ」

 リトたんをしょんもりさせてしまったらしい。



「……トゥヤ……?」

 つきそいのジゼから、凍気が噴きあがる。

 透夜の前髪も凍りました。ごめんなさい。







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