もっと深いところで傷つけて

屑籠

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 京介の家、つまりは瀬名家に足を踏み入れて彼は事のあらましを簡単に両親へと話した。
 もちろんのこと、京介の母親である伯母は猛烈に反対する。
 洋の事は野垂れ死んだって仕方がないのだと。
 まぁ、その通りだろうなと洋は内心笑う。
 野垂れ死んだところで誰も悲しみはしない。
 どうでもいい。京介が、洋を瞳にあの日以来初めて映したのだから、洋にはそれ以外どうでもよかった。
 洋の扱いについて、条件が付けられたものの、洋はこの瀬名家にいることになる。
 足枷を嵌められ、裸同然でベッドへとつながれて。
 部屋の中にはシャワールームとトイレが備えついており、生理現象は満たせるようだったが。
 この部屋から洋を出さないことも、条件の内だった。

「こんなご立派な部屋で、監禁かよ」

 くはっ、と笑いが漏れる。
 京介の表情は、陽気な洋に比べ暗い。
 まぁ、世間すべてがどうでもいいと感じている洋よりも暗いのは仕方のないことだ。
 だが、それ以外の怒りや憎しみなども含まれているのだろう。

「ここから一切出ることは許さない。あの組織は、上の方にも連絡を入れたが、日本にいる奴らは壊滅に追い込んだ。お前が再び利用しても礼二が狙われても面倒だからな」

 取り逃がした者もいたが、と少し顔をゆがめる京介。だが、あの組織が壊滅しようがどうでもいい。
 どうでも、いいのだ。
 失敗したところを二度と利用しようなどとは思っていなかったが、礼二が狙われると困るという京介には少しイラついた。
 それほど、弟という存在が大切か?と。
 
「だが、そのせいでお前は狙われている」
「へぇ……そうか」

 自分が狙われてるところで、と思う。
 むしろ、こんな所で匿っていないで、洋をフラフラさせといたほうが良いのではないか?とは思うが。
 それでも礼二の番になる弟の家族が行方不明とか、事件に遭うなど世間体的によろしくはないのだろう。
 京介は、洋を殺したくて殺したくて仕方がないだろうに。
 そう考えると、生きているだけで京介が自分を見るこの状況が、奇跡ともいえると思えた。
 洋の興味なさそうな声が、京介の感に触ったのだろうか?
 京介はグッと、洋の首を絞める。
 ぐぅっ、と息を詰めるが、苦しい中見た京介の目は、洋だけを映していて、興奮した。自分だけを見ている京介が。あの、京介が。

「くっ、ははっ」

 ははは、と苦しい中、笑いが漏れてしまう。それが余計に京介の感に触る。
 くそっ、と苦々しげにつぶやく京介に、洋は興奮を抑えることなど最早できはしない。

「……もういい。お前に何を言ったところで通じはしないんだろう」

 手の力を緩め、京介はため息を吐いた。
 洋が、京介へ手を伸ばしたところで、その腕は頭の上へと固定された。
 どこから取り出したのか、かちゃん、という音がする。
 右手がベッドヘッドへと固定されてしまったようだ。
 まぁ、不便だが別にいやではない。
 するすると、京介の手が洋の素肌へと触れていく。
 その意図を理解し、焦る気持ちと京介に触れられている興奮がないまぜになり、気持ちの整理がつかない。

「んっ、ははっ、なん、だよ?」

 洋の顔を見るわけでもなく、京介は手を滑らせていく。
 それが、洋のアルファとしての御璽を圧し折るか、それともご褒美となるのか、それは判断がつかないが。
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