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隠居生活はじめます。
19.バカンスは最高だけど…
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綺月たち勇者組がエナベルから加護を受けている時、セイラは土地の一部をビーチへと変貌させ海で遊んでいた。
「冷たァ~い!」
水着で泳いだり、浮き輪を創り出し浮き輪の上で波に揺られながらぼぉーっとした。
「………1人で隠居生活最高!とか思ってたけど、案外寂しくて死にそう…エナベル来ないかなぁ…綺月くん早く引っ越してこないかなぁ…」
送り出したばかりの2人のことを頭に思い浮かべた。
エナベル。セイラが前前世の時の旧友であり、国の守護者。食の探究心が強過ぎるせいか、死にかけたこともあった。
「そういえば…アルゼから連れて行ってもらった海のお土産にイカをあげたのよね…」
日々、教会と戦場を行き来する毎日にセイラは、心を病み始めていた。教会では自身の安全を保守する神官たちにいつ戦いが終わるのか責められ、戦場では血が広がり人々が泣き苦しむ姿を見た。生きる意味が分からなくなった。世界を守る意味が分からなくなった。
心から何かがこぼれ落ちて、何かを失っていく感覚がした。それが怖くて部屋に閉じこもる日々が続いたある日、アゼルがセイラを海へと連れ出したのだ。そして、その日以降アゼルはセイラを様々な場所へと連れ出した。もちろん、何度もそのような事をしていれば神官たちにバレる。その時、人前に出るのが嫌いなエナベルが私とアゼルをかばいに神殿に押しかけ、神殿を半壊させたことはいい思い出だ。
「ふふっ」
アゼルに連れ出された海のお土産に、エナベルにはたくさんのイカをあげた。食材ならば喜ぶからだ。案の定、エナベルはとても喜び、直ぐに食べたらしい…が、次の日お腹を下していた。
「確か、いい匂いがする草と一緒に食べたって言ってたけど…その草が下剤の効果がある薬草だったのよね……」
その時のエナベルの様子を思い出し、セイラは笑う。
「あの時は…楽しかったなぁ。」
波に揺られながら空を見上げると空は雲ひとつなく晴れていた。あの時、自分が折れずに戦ったおかげだと思うと少しむず痒くなる。
「今度、エナベル達が来たらイカをご馳走してあげよう。綺月くんは好きかな…イカ。」
綺月。今世の勇者の兄。勇者に並ぶ潜在能力の職業を神から与えられた優しそうな子。勇者である弟と戦うためにセイラの弟子になり、勇者達と邪神討伐を目指すのが今の目標らしいが……
「あんなに優しい子が戦いに耐えられるのかしら…それに、綺月くん以外の子も…」
前前世のセイラは、この世界で生まれ育った。だからこそ、人の死が軽い価値であるこの世界を受け入れられた。けれど彼らは、命を尊び一人一人の命の価値が重い地球で生まれ育った。
「この世界は、美しいけど残酷…人の死も石ころと同然な部分があるからなぁ。」
これは、セイラが聖女時代に痛感したことだった。当時、教会は貴き血や裕福層の者以外は助けずに門前払いにしていた。セイラがその事に気づき、神官に抗議するも彼らは鼻で笑い、己の保身に走った。それにセイラはキレて、助けるものを受け入れないのなら結界を全部解くと神官たちを脅したのだ。
「あれから、どうなったんだろ?」
邪神との戦いで命を落とすまでは目を光らせていたが、セイラが亡くなってからは誰もそれを咎めるものがいない。最悪、また教会に選民主義が根付いているかもしれない。
「エナベルに確認しておかないと…またあの時のようになっていたのならエナベルにひと暴れして貰おうかしら?」
セイラは、知らない。ネテル神聖国が大聖女セイラに敬意を払い、彼女の遺言通りに助けを求める人を保護する為に中立国家を貫いていることを…そして、大聖女セイラを盲信する信者たちが積極的に保護活動を行っていることを…当の本人であるセイラは知らない。
「あぁ~、色んなこと考えてたらお腹空いたぁ~。ご飯食べよっと!」
浮き輪で浮かんでいたセイラは、浮き輪から降りて泳いで陸へと向かった。もちろん、体力を使いたくないセイラは、風魔法と水魔法を補助に使い最低限の体力しか使わなかった。
「さぁて、ご飯何にしようかしら?」
砂浜に寝っ転がったセイラは、空を見上げ夜ご飯を考える。
「イカ焼き…焼きそば…たこ焼き…カレー…かき氷…。。星………あ、ここのビーチにも結界を張らないといけなかった!?」
結界を張る事を思い出したセイラは、急いで自分の家の周りに貼っていた結界の範囲を広めた。
「遊ぶために結界外に出てバレましたって間抜けすぎるわ…。気をつけないと」
そんな事を零しながら、セイラは創造でイカ焼き、焼きそば、たこ焼き、カレーを創り出す。
「食べたい時に食べたいものを食べる!これが私のモットーよっ!!いただきます!」
食べても太らない体質にしてくれたセピナル神に感謝しながら、セイラはイカ焼きを頬張った。イカ焼きは、ソースの香ばしい匂いがして最高だった。
「ふぅ、次は焼きそば~」
邪神の事など頭の隅から忘れ去ったセイラは、海の家の定番メニューを堪能した。もちろん、デザートにかき氷もちゃんと食べた。
「冷たァ~い!」
水着で泳いだり、浮き輪を創り出し浮き輪の上で波に揺られながらぼぉーっとした。
「………1人で隠居生活最高!とか思ってたけど、案外寂しくて死にそう…エナベル来ないかなぁ…綺月くん早く引っ越してこないかなぁ…」
送り出したばかりの2人のことを頭に思い浮かべた。
エナベル。セイラが前前世の時の旧友であり、国の守護者。食の探究心が強過ぎるせいか、死にかけたこともあった。
「そういえば…アルゼから連れて行ってもらった海のお土産にイカをあげたのよね…」
日々、教会と戦場を行き来する毎日にセイラは、心を病み始めていた。教会では自身の安全を保守する神官たちにいつ戦いが終わるのか責められ、戦場では血が広がり人々が泣き苦しむ姿を見た。生きる意味が分からなくなった。世界を守る意味が分からなくなった。
心から何かがこぼれ落ちて、何かを失っていく感覚がした。それが怖くて部屋に閉じこもる日々が続いたある日、アゼルがセイラを海へと連れ出したのだ。そして、その日以降アゼルはセイラを様々な場所へと連れ出した。もちろん、何度もそのような事をしていれば神官たちにバレる。その時、人前に出るのが嫌いなエナベルが私とアゼルをかばいに神殿に押しかけ、神殿を半壊させたことはいい思い出だ。
「ふふっ」
アゼルに連れ出された海のお土産に、エナベルにはたくさんのイカをあげた。食材ならば喜ぶからだ。案の定、エナベルはとても喜び、直ぐに食べたらしい…が、次の日お腹を下していた。
「確か、いい匂いがする草と一緒に食べたって言ってたけど…その草が下剤の効果がある薬草だったのよね……」
その時のエナベルの様子を思い出し、セイラは笑う。
「あの時は…楽しかったなぁ。」
波に揺られながら空を見上げると空は雲ひとつなく晴れていた。あの時、自分が折れずに戦ったおかげだと思うと少しむず痒くなる。
「今度、エナベル達が来たらイカをご馳走してあげよう。綺月くんは好きかな…イカ。」
綺月。今世の勇者の兄。勇者に並ぶ潜在能力の職業を神から与えられた優しそうな子。勇者である弟と戦うためにセイラの弟子になり、勇者達と邪神討伐を目指すのが今の目標らしいが……
「あんなに優しい子が戦いに耐えられるのかしら…それに、綺月くん以外の子も…」
前前世のセイラは、この世界で生まれ育った。だからこそ、人の死が軽い価値であるこの世界を受け入れられた。けれど彼らは、命を尊び一人一人の命の価値が重い地球で生まれ育った。
「この世界は、美しいけど残酷…人の死も石ころと同然な部分があるからなぁ。」
これは、セイラが聖女時代に痛感したことだった。当時、教会は貴き血や裕福層の者以外は助けずに門前払いにしていた。セイラがその事に気づき、神官に抗議するも彼らは鼻で笑い、己の保身に走った。それにセイラはキレて、助けるものを受け入れないのなら結界を全部解くと神官たちを脅したのだ。
「あれから、どうなったんだろ?」
邪神との戦いで命を落とすまでは目を光らせていたが、セイラが亡くなってからは誰もそれを咎めるものがいない。最悪、また教会に選民主義が根付いているかもしれない。
「エナベルに確認しておかないと…またあの時のようになっていたのならエナベルにひと暴れして貰おうかしら?」
セイラは、知らない。ネテル神聖国が大聖女セイラに敬意を払い、彼女の遺言通りに助けを求める人を保護する為に中立国家を貫いていることを…そして、大聖女セイラを盲信する信者たちが積極的に保護活動を行っていることを…当の本人であるセイラは知らない。
「あぁ~、色んなこと考えてたらお腹空いたぁ~。ご飯食べよっと!」
浮き輪で浮かんでいたセイラは、浮き輪から降りて泳いで陸へと向かった。もちろん、体力を使いたくないセイラは、風魔法と水魔法を補助に使い最低限の体力しか使わなかった。
「さぁて、ご飯何にしようかしら?」
砂浜に寝っ転がったセイラは、空を見上げ夜ご飯を考える。
「イカ焼き…焼きそば…たこ焼き…カレー…かき氷…。。星………あ、ここのビーチにも結界を張らないといけなかった!?」
結界を張る事を思い出したセイラは、急いで自分の家の周りに貼っていた結界の範囲を広めた。
「遊ぶために結界外に出てバレましたって間抜けすぎるわ…。気をつけないと」
そんな事を零しながら、セイラは創造でイカ焼き、焼きそば、たこ焼き、カレーを創り出す。
「食べたい時に食べたいものを食べる!これが私のモットーよっ!!いただきます!」
食べても太らない体質にしてくれたセピナル神に感謝しながら、セイラはイカ焼きを頬張った。イカ焼きは、ソースの香ばしい匂いがして最高だった。
「ふぅ、次は焼きそば~」
邪神の事など頭の隅から忘れ去ったセイラは、海の家の定番メニューを堪能した。もちろん、デザートにかき氷もちゃんと食べた。
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