僕と父と弟(妹)の話

河まきじ

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クライマックスは突然に…

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「婚約は破棄する!!」

 お約束のテンプレを頂いたところから始まった……。
 

 王宮の大広間。とてつもなく広い。そうまるで、学校の体育館が入ってしまうぐらいだと思う。

 新年祝賀の会だったはず。

 新しい年を祝い、今年も良き年になるようにと、催しされる祝典なのに…。

 国王陛下の祝辞を述べられ退出した。(あまり体調が良くなかったから)そのタイミングを見計らったように、やらかし始めた。


「どうするんですか?、始まったみたいですよ」
「仕方ない…」

 諦めといっしょにお互いのため息が重なるように一つ出た。
 テンプレート?定型文?とも言える状況は、情けなくもあり、諦めの境地にも似ている。

「で、どうしますか?」
「そうだな、とりあえず状況を見てからかな?」

 この状況をひっくり返すでもなく、上手く纏めて、なだめて、なかったことにしたいが、出来るだろうか…。

 たぶん…、無理かな…。


 心の中では、やらかしてくれたあのバカ達の首を絞めて、キュっと言わせてやりたいぐらいだが、そうもいかずただただタイミングを見計らっているだけだ。
 横から父さんが話しかけてきた。

「もう一人のバカはどうした?」
 言いよう……。

「もうすぐ出てくるんじゃないですか?」
「そうか…」
 頭の痛い状況も楽しんでいるのかも、とばっちりはごめんなのだが。
 とりあえず、国内だけのパーティーだから、他国の賓客もいないのが救いか…。

 せめて、卒業式あとのパーティーならばなんとかなりそうなのに、よりによって、この新年の祝賀会にやってしまうとは……。
 バカ✕2…、いや3かも……。

 婚約破棄を言い出した方と、それを受け取る方と。
 もうちょいなんとかしろよ。お前達のアホな寸劇に周囲を巻き込むな!!


 いくら身分が高いからと言っても、この場所で、今の状況で、ついでにほとんど全員参加の状況。(貴族が)
 言い訳も出来るはずなく、後々大変だろうとは思わないのか?

 ………。

 一応根回しはした。あまりにも酷い状況になるのなら、最終手段に出ようと思う。そのための根回しだ。
 皆さんで、見て見ぬふりをしてもらう。それができないなら、その家はそれまでだ。



 そうして僕は、これからの起こることに、諦めと情けなさと、ついでに、めんどくささを持って、
一連の状況を見つめていた。


(こんなことのために転生したんじゃないないのになぁ………、平和な人生って…何。)



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