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第2章「矢渕達也は常に異端児」
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昼休みになった。
クラスメイトたちが次々と教室から出ていったり、机の上に昼食を広げる中、オレは1人ゆっくりと席から立つ。
さて、どうするかな。
この学校には食堂があるらしいし、様子見がてらそこで昼食にするのもいいかもしれない。
「あっ、柊さん。もし良かったら一緒にお昼食べない?」
教室から出ようとしたところで、丁度柊の周りにクラスメイトの女子たちが集まっているのが目に入った。
少し戸惑いながらも嬉しそうな顔をして教室を去っていく柊。
途中、振り返った柊と目が合い、軽く手を振ってみせると彼女もまた小さく手を振り返してくれた。
あの調子なら心配さなそうだ。
元々話すのが苦手というわけでもないだろうし、簡単に友人の一人や二人作ってくるだろう。
「ふぁ……。あれ、もうお昼?」
上半身を伸ばしながらまだまだ眠たそうに欠伸をする矢渕。
どうやらかなり熟睡していたらしい。
午前中ずっと寝てたしな。
「あっ、丁度良いところに結城くん発見」
気配を消していたつもりだったが、振り返った矢渕に見つかってしまい、オレは深いため息をつく。
柊たちも学食に向かったみたいだし、追い掛ける形になるのは流石に気まずいと思ってちょっと待っていたがどうやら愚策だったようだ。
「これから一緒にお昼でもどう?」
「は?……お前さ、オレにしてきたこと忘れてないだろうな?」
「忘れてないよぉ。靴に画鋲入れたり、筆箱を隠したりしたことでしょ?」
「そんな奴と一緒に飯なんか食えるわけないだろ」
「え~、そんな昔の話まだ引きずってんの?器ちっさ」
「うるせえ。そんなに行きたきゃ自分の連れと行ってくればいいだろ?」
オレの言葉に何故か一瞬黙り込む矢渕。
だが、すぐまた笑顔に戻る。
「とっくに居ないよ、そんな奴ら」
「居ないって……昔は沢山いただろ。この学校にはいないって話か?」
「んーにゃ。前に万引きで捕まりそうになった時に罪を全部押し付けたら誰も近寄ってこなくなってさ。酷い奴らだよ、ホント」
少し落ち込む素振りを見せる矢渕だったが、完全に自業自得だった。
なんでオレはこんなしょうもない奴に虐められてんだろうな。
ちょっと自分が情けなくなってきた。
「ぼっち同士仲良くしようぜ?」
そう言って馴れ馴れしく肩を組んでくる矢渕の手を払い除け、鬱陶しそうに睨みつけると、突然数人の生徒たちがオレ達の間に割って入ってきた。
「そんなに仲良くしたいなら俺たちが仲良くしてやるぞ?」
そう声を発したのは、朝のホームルーム前にオレに声を掛けてきた顔に傷のある男だった。
その彼を筆頭に、見るからにガラの悪い男たちがぞろぞろと集まってくる。
その数ざっと10人ほどだろうか。
全員似たような雰囲気を纏っており、明らかにまともな連中ではないことが一目でわかった。
「あー、なるほど」
矢渕は彼らに覚えがあるのか、何かを察したらしくニヤリと笑う。
「ごめんね、結城くん。先約があったらしい」
「いや、謝られても」
オレの返事に矢渕は苦笑いを浮かべながら連中と一緒に何処かへと行ってしまった。
あの様子だと無事に帰ってこないだろうな、と思いつつも特に追うことはせず、オレもその場を後にすることにした。
クラスメイトたちが次々と教室から出ていったり、机の上に昼食を広げる中、オレは1人ゆっくりと席から立つ。
さて、どうするかな。
この学校には食堂があるらしいし、様子見がてらそこで昼食にするのもいいかもしれない。
「あっ、柊さん。もし良かったら一緒にお昼食べない?」
教室から出ようとしたところで、丁度柊の周りにクラスメイトの女子たちが集まっているのが目に入った。
少し戸惑いながらも嬉しそうな顔をして教室を去っていく柊。
途中、振り返った柊と目が合い、軽く手を振ってみせると彼女もまた小さく手を振り返してくれた。
あの調子なら心配さなそうだ。
元々話すのが苦手というわけでもないだろうし、簡単に友人の一人や二人作ってくるだろう。
「ふぁ……。あれ、もうお昼?」
上半身を伸ばしながらまだまだ眠たそうに欠伸をする矢渕。
どうやらかなり熟睡していたらしい。
午前中ずっと寝てたしな。
「あっ、丁度良いところに結城くん発見」
気配を消していたつもりだったが、振り返った矢渕に見つかってしまい、オレは深いため息をつく。
柊たちも学食に向かったみたいだし、追い掛ける形になるのは流石に気まずいと思ってちょっと待っていたがどうやら愚策だったようだ。
「これから一緒にお昼でもどう?」
「は?……お前さ、オレにしてきたこと忘れてないだろうな?」
「忘れてないよぉ。靴に画鋲入れたり、筆箱を隠したりしたことでしょ?」
「そんな奴と一緒に飯なんか食えるわけないだろ」
「え~、そんな昔の話まだ引きずってんの?器ちっさ」
「うるせえ。そんなに行きたきゃ自分の連れと行ってくればいいだろ?」
オレの言葉に何故か一瞬黙り込む矢渕。
だが、すぐまた笑顔に戻る。
「とっくに居ないよ、そんな奴ら」
「居ないって……昔は沢山いただろ。この学校にはいないって話か?」
「んーにゃ。前に万引きで捕まりそうになった時に罪を全部押し付けたら誰も近寄ってこなくなってさ。酷い奴らだよ、ホント」
少し落ち込む素振りを見せる矢渕だったが、完全に自業自得だった。
なんでオレはこんなしょうもない奴に虐められてんだろうな。
ちょっと自分が情けなくなってきた。
「ぼっち同士仲良くしようぜ?」
そう言って馴れ馴れしく肩を組んでくる矢渕の手を払い除け、鬱陶しそうに睨みつけると、突然数人の生徒たちがオレ達の間に割って入ってきた。
「そんなに仲良くしたいなら俺たちが仲良くしてやるぞ?」
そう声を発したのは、朝のホームルーム前にオレに声を掛けてきた顔に傷のある男だった。
その彼を筆頭に、見るからにガラの悪い男たちがぞろぞろと集まってくる。
その数ざっと10人ほどだろうか。
全員似たような雰囲気を纏っており、明らかにまともな連中ではないことが一目でわかった。
「あー、なるほど」
矢渕は彼らに覚えがあるのか、何かを察したらしくニヤリと笑う。
「ごめんね、結城くん。先約があったらしい」
「いや、謝られても」
オレの返事に矢渕は苦笑いを浮かべながら連中と一緒に何処かへと行ってしまった。
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