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第4章「橘風佳はそこそこ侮れない」
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「あ~あ、ホント面白い」
「物凄い顔してたよね、蟻塚って子」
「叩けば叩くほど良い顔してくれるのよ。あの子の周りにいた男連中も全員私のものに出来たし、もう蟻塚を支えるものは何もなくなった。いい気味だわ」
「後はどうすんの?退学でもさせる?」
「そうね。目障りな奴には消えてもらわないと。でも、その前に私の側についた男連中にもちゃんとご褒美をあげないとね」
「もしかして……蟻塚を襲わせるとか!?」
「正解。あの連中は多少なりとも蟻塚に気があったみたいだし、証拠隠滅を手伝ってあげるって言えばきっと襲いにいくわ。蟻塚の奴、どんな顔するかしら。想像するだけで笑えてくる」
長い廊下でゲラゲラと笑い合う2人の少女。
話の内容が内容でなければ、さぞ微笑ましい光景だっただろう。
だが、他人を陥れる人間は総じて醜いものだ。
自分もまた陥れられている側だということにも気付かないのだから。
「お二人さん。ちょ~とお話聞いてもらっても良きかな~?」
「……?誰?旭ちゃんの知り合い?」
「さあ?人違いじゃないかしら?」
突如現れた第三者の姿に2人の少女は首を傾げる。
「旭川さんと小日向さんでしょ?大丈夫大丈夫~。間違ってなんてないからさ」
名前を言われた2人は怪訝そうな顔で声の主である橘風佳を見つめる。
「何の用かしら?」
「いや~、実はウチのグループでちょっと迷子になってる子がいましてね~?その原因があなたたち2人にあるんじゃないかと踏みまして~。何かお心当たりはございません?」
ゆるい笑顔を浮かべる橘は2人に向かって問い掛けるも、何のことかさっぱり分からない様子で互いに顔を見合わせていた。
「勘違いじゃない?私たちは迷子なんか知らなーーー」
「知らねェわけないよな?」
「え……」
小日向の言葉を遮った橘の言葉に、2人は驚愕の表情を浮かべる。
さっきまでのゆるい雰囲気はどこへいったのか、橘の表情は酷く冷たく、瞳も澱んでいる。
突如豹変した彼女の姿に2人は思わずたじろいだ。
対して、当の本人である橘は特に気にした様子もなく一瞬で元のゆるい表情に戻った。
「さっき、蟻塚ちゃんと話してるのをこっそり盗み聞きしちゃいましてね~?正直な話、あぁいうのってもうやめて欲しいんだよね~」
「は、はぁ?アンタにはなんの関係もないでしょ?」
「うん、ないよ。全然ない」
旭川の言葉に橘はきっぱりと断言する。
あまりにもバッサリとした物言いに、2人は思わず啞然としてしまう。
だが、そんな2人などお構いなしに橘は言葉を続ける。
「でもさ、ウチにとっては誰が好きで誰が嫌いで、誰が良くて誰が悪いとか正直どーでも良くってね~。ウチは、ただ皆で笑って楽しければそれでいいの。例え影で誰かが泣いてたとしてもね。まぁ、この辺はあなたたちと一緒かな~」
「な、何を言って……」
「これ、なんだか分かる?」
そう言って橘はスマホの画面を2人に見せる。
そこに写っていたのは1人の少女がかなり歳のいった男性と怪しげなホテルへ入っていく姿だった。
そして、もう1枚は制服のボタンが外され、胸元をはだけさせて妖艶な笑みを浮かべる別の少女とこれまた歳の離れていそうな男性の写真だった。
2人は思わず息を呑む。
それらに写っているのは間違いなく旭川と小日向だったのだから。
「ど、どこでこんなの……!」
「どこって学校裏サイトの掲示板だよん。何故か普通の人には絶対に見つけられないような仕様になってるけど」
「……ねえ、旭ちゃん。ヤバくない?」
「……」
完全に言葉を失う旭川に橘はまるで励ますように優しく言葉を掛ける。
「安心していいよ~。ウチはたまたま、奇跡的に、偶然見つけただけで2人をどうこうしたいとか全くないからさ~。ただ……わかってるよね?ウチは、『友達』と楽しいのが好きなの。んで、『友達』の曇った顔なんて見たくないの。この意味、賢い2人ならわかるでしょ?」
「……」
返事を待つこともなく、橘は旭川の肩を叩くと鼻歌を歌いながらその場を去っていく。
残された2人はただただ立ち尽くす他なかった。
「物凄い顔してたよね、蟻塚って子」
「叩けば叩くほど良い顔してくれるのよ。あの子の周りにいた男連中も全員私のものに出来たし、もう蟻塚を支えるものは何もなくなった。いい気味だわ」
「後はどうすんの?退学でもさせる?」
「そうね。目障りな奴には消えてもらわないと。でも、その前に私の側についた男連中にもちゃんとご褒美をあげないとね」
「もしかして……蟻塚を襲わせるとか!?」
「正解。あの連中は多少なりとも蟻塚に気があったみたいだし、証拠隠滅を手伝ってあげるって言えばきっと襲いにいくわ。蟻塚の奴、どんな顔するかしら。想像するだけで笑えてくる」
長い廊下でゲラゲラと笑い合う2人の少女。
話の内容が内容でなければ、さぞ微笑ましい光景だっただろう。
だが、他人を陥れる人間は総じて醜いものだ。
自分もまた陥れられている側だということにも気付かないのだから。
「お二人さん。ちょ~とお話聞いてもらっても良きかな~?」
「……?誰?旭ちゃんの知り合い?」
「さあ?人違いじゃないかしら?」
突如現れた第三者の姿に2人の少女は首を傾げる。
「旭川さんと小日向さんでしょ?大丈夫大丈夫~。間違ってなんてないからさ」
名前を言われた2人は怪訝そうな顔で声の主である橘風佳を見つめる。
「何の用かしら?」
「いや~、実はウチのグループでちょっと迷子になってる子がいましてね~?その原因があなたたち2人にあるんじゃないかと踏みまして~。何かお心当たりはございません?」
ゆるい笑顔を浮かべる橘は2人に向かって問い掛けるも、何のことかさっぱり分からない様子で互いに顔を見合わせていた。
「勘違いじゃない?私たちは迷子なんか知らなーーー」
「知らねェわけないよな?」
「え……」
小日向の言葉を遮った橘の言葉に、2人は驚愕の表情を浮かべる。
さっきまでのゆるい雰囲気はどこへいったのか、橘の表情は酷く冷たく、瞳も澱んでいる。
突如豹変した彼女の姿に2人は思わずたじろいだ。
対して、当の本人である橘は特に気にした様子もなく一瞬で元のゆるい表情に戻った。
「さっき、蟻塚ちゃんと話してるのをこっそり盗み聞きしちゃいましてね~?正直な話、あぁいうのってもうやめて欲しいんだよね~」
「は、はぁ?アンタにはなんの関係もないでしょ?」
「うん、ないよ。全然ない」
旭川の言葉に橘はきっぱりと断言する。
あまりにもバッサリとした物言いに、2人は思わず啞然としてしまう。
だが、そんな2人などお構いなしに橘は言葉を続ける。
「でもさ、ウチにとっては誰が好きで誰が嫌いで、誰が良くて誰が悪いとか正直どーでも良くってね~。ウチは、ただ皆で笑って楽しければそれでいいの。例え影で誰かが泣いてたとしてもね。まぁ、この辺はあなたたちと一緒かな~」
「な、何を言って……」
「これ、なんだか分かる?」
そう言って橘はスマホの画面を2人に見せる。
そこに写っていたのは1人の少女がかなり歳のいった男性と怪しげなホテルへ入っていく姿だった。
そして、もう1枚は制服のボタンが外され、胸元をはだけさせて妖艶な笑みを浮かべる別の少女とこれまた歳の離れていそうな男性の写真だった。
2人は思わず息を呑む。
それらに写っているのは間違いなく旭川と小日向だったのだから。
「ど、どこでこんなの……!」
「どこって学校裏サイトの掲示板だよん。何故か普通の人には絶対に見つけられないような仕様になってるけど」
「……ねえ、旭ちゃん。ヤバくない?」
「……」
完全に言葉を失う旭川に橘はまるで励ますように優しく言葉を掛ける。
「安心していいよ~。ウチはたまたま、奇跡的に、偶然見つけただけで2人をどうこうしたいとか全くないからさ~。ただ……わかってるよね?ウチは、『友達』と楽しいのが好きなの。んで、『友達』の曇った顔なんて見たくないの。この意味、賢い2人ならわかるでしょ?」
「……」
返事を待つこともなく、橘は旭川の肩を叩くと鼻歌を歌いながらその場を去っていく。
残された2人はただただ立ち尽くす他なかった。
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