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敗戦逃亡編
親子のふり作戦失敗
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僕とゼンジロウは街道に出てのんびりと歩いていた。太陽はてっぺんまで上がってて気持ちのいい陽気だ。僕たちを狩りに来るかもしれない兵隊がやってるくるかもって言ってたけど……
「ねぇ、街道に出たのはいいけどどこに向かってるの?」
ゼンジロウはどこかそわそわしていながら周囲をきょろきょろしている
「ん~、とりあえずこの街道を西に行きゃ弟王子の拠点の一つだったアルシアって城塞都市につくからな。だけど情報がなんにも入ってきてねぇからな……」
「そもそも、弟王子もまだ生きてるのかもわからねぇし……最悪アルシアももう兄王子軍勢で陥落してるかも……」
ゼンジロウはそうしてぶつぶつ言いながら歩いている。
ふと後ろの方から蹄の音がたくさん近づいてきた。数騎の騎兵が街道沿いに僕たちの方向へものすごい勢いでやってくる。
「やっべぇ……来たぞ、アルバ!さっきの作戦忘れてねぇよな!?」
「うん、任せて~」
騎兵たちはあっという間に僕たちに追いつくと、僕たちを囲うように陣取って槍を向けている。殺気立ってるのがよくわかる。
「止まれ!!貴様ら何者だ!」
先頭の騎兵が僕たちに槍を向けながらそう聞いてきた。
一、二、三、三人の騎兵か……あんまり強くなさそうだし、殺そうと思えば殺せるかな……
でもゼンジロウの顔はひきつってる。とりあえず僕は黙っておこうっと。
「お、落ち着いてください、私たちはただの旅人です」
「わ、私は娘と旅をしていたところでございます。先ほど合戦があったのは存じておりますが、我ら関わり合いにならぬよう逃げ回っているところでございます。どうか、どうかお許しを」
「む、親子……か?なぜこんなところにいる!?」
騎兵の一人が相変わらず僕たちに槍を向けながらそう聞いてきた。
「私達は旅をしていたところ偶然戦の周囲に巻き込まれただけでございます!!平に、平にご容赦をぉ!!妻を亡くして、父一人、娘一人、安住の地を探してさすらっておった最中、このような戦に巻き込まれまして気が気でなかったのですぅ。お見受けしたところ騎士様でしょうかぁ!!どうか、どうか我らを安全な地へお送りいただけませんでしょうかぁ!!!」
ゼンジロウはすごい勢いで頭をペコペコ、というか地面に頭をこすりつけた後、騎兵の足にも縋り付いていた。なんかもうすごいな……
「えぇい!まとわりつくな!!」
足に縋り付いていたゼンジロウを振りほどくと、騎兵はつづけた。
「まぁいい!とにかくとっとと失せろ!ここから近い町はアルシアだが……そこも戦場になるやもしれん。ここらは敗残兵や夜盗まがいになった者も多かろう、娘連れなら即刻立ち去れ!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!ほら、お前も頭を下げろ!!」
ゼンジロウは地面に頭をつっこむように頭を下げつづけている。なんだかムカつくけど、とりあえず僕も真似して頭を下げることにした。
「お父さんの言う通りです~」
そのとき、それまで黙っていた騎兵の一人が何か話し始めた
「待て、そこの娘、なぜ剣を持っている?」
ゼンジロウは跪いた姿勢のまま、少し青ざめた顔をしながら頭を上げた。
「あ、それは、娘には剣術のまねごとのようなものを私から仕込んでおりまして……このご時世ですし、娘には私しかおりませんので、少しでも自分の身は自分で守れと……」
「黙れ。おい娘、顔を上げろ」
なんでこんなに偉そうなんだろう、この人たち。でもその時、ゼンジロウが頭を下げたまま小声で僕にささやいた。
「(剣を抜く準備しながら顔を上げろ、こいつら始末するかもしれん)」
え?どういうこと?と思ったけど、僕はとりあえずいつ戦っても良いように準備しつつも、跪きながらも顔を上げた。
その騎兵は僕の顔を見ると、何か思い出すように話し出した……
「その顔、間違いない!忌み子、アルバ……」
そう言った瞬間、騎兵が僕のほうに槍を向けた刹那、ゼンジロウは騎兵の一人の喉元に剣を深く突き立てていた。
「アルバ、一人も逃がすな!皆殺しにするぞ!!」
え?結局戦うの?
「ねぇ、街道に出たのはいいけどどこに向かってるの?」
ゼンジロウはどこかそわそわしていながら周囲をきょろきょろしている
「ん~、とりあえずこの街道を西に行きゃ弟王子の拠点の一つだったアルシアって城塞都市につくからな。だけど情報がなんにも入ってきてねぇからな……」
「そもそも、弟王子もまだ生きてるのかもわからねぇし……最悪アルシアももう兄王子軍勢で陥落してるかも……」
ゼンジロウはそうしてぶつぶつ言いながら歩いている。
ふと後ろの方から蹄の音がたくさん近づいてきた。数騎の騎兵が街道沿いに僕たちの方向へものすごい勢いでやってくる。
「やっべぇ……来たぞ、アルバ!さっきの作戦忘れてねぇよな!?」
「うん、任せて~」
騎兵たちはあっという間に僕たちに追いつくと、僕たちを囲うように陣取って槍を向けている。殺気立ってるのがよくわかる。
「止まれ!!貴様ら何者だ!」
先頭の騎兵が僕たちに槍を向けながらそう聞いてきた。
一、二、三、三人の騎兵か……あんまり強くなさそうだし、殺そうと思えば殺せるかな……
でもゼンジロウの顔はひきつってる。とりあえず僕は黙っておこうっと。
「お、落ち着いてください、私たちはただの旅人です」
「わ、私は娘と旅をしていたところでございます。先ほど合戦があったのは存じておりますが、我ら関わり合いにならぬよう逃げ回っているところでございます。どうか、どうかお許しを」
「む、親子……か?なぜこんなところにいる!?」
騎兵の一人が相変わらず僕たちに槍を向けながらそう聞いてきた。
「私達は旅をしていたところ偶然戦の周囲に巻き込まれただけでございます!!平に、平にご容赦をぉ!!妻を亡くして、父一人、娘一人、安住の地を探してさすらっておった最中、このような戦に巻き込まれまして気が気でなかったのですぅ。お見受けしたところ騎士様でしょうかぁ!!どうか、どうか我らを安全な地へお送りいただけませんでしょうかぁ!!!」
ゼンジロウはすごい勢いで頭をペコペコ、というか地面に頭をこすりつけた後、騎兵の足にも縋り付いていた。なんかもうすごいな……
「えぇい!まとわりつくな!!」
足に縋り付いていたゼンジロウを振りほどくと、騎兵はつづけた。
「まぁいい!とにかくとっとと失せろ!ここから近い町はアルシアだが……そこも戦場になるやもしれん。ここらは敗残兵や夜盗まがいになった者も多かろう、娘連れなら即刻立ち去れ!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!ほら、お前も頭を下げろ!!」
ゼンジロウは地面に頭をつっこむように頭を下げつづけている。なんだかムカつくけど、とりあえず僕も真似して頭を下げることにした。
「お父さんの言う通りです~」
そのとき、それまで黙っていた騎兵の一人が何か話し始めた
「待て、そこの娘、なぜ剣を持っている?」
ゼンジロウは跪いた姿勢のまま、少し青ざめた顔をしながら頭を上げた。
「あ、それは、娘には剣術のまねごとのようなものを私から仕込んでおりまして……このご時世ですし、娘には私しかおりませんので、少しでも自分の身は自分で守れと……」
「黙れ。おい娘、顔を上げろ」
なんでこんなに偉そうなんだろう、この人たち。でもその時、ゼンジロウが頭を下げたまま小声で僕にささやいた。
「(剣を抜く準備しながら顔を上げろ、こいつら始末するかもしれん)」
え?どういうこと?と思ったけど、僕はとりあえずいつ戦っても良いように準備しつつも、跪きながらも顔を上げた。
その騎兵は僕の顔を見ると、何か思い出すように話し出した……
「その顔、間違いない!忌み子、アルバ……」
そう言った瞬間、騎兵が僕のほうに槍を向けた刹那、ゼンジロウは騎兵の一人の喉元に剣を深く突き立てていた。
「アルバ、一人も逃がすな!皆殺しにするぞ!!」
え?結局戦うの?
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