公爵令嬢は全てを失い黒薔薇の騎士として生きる

夜桜

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断罪

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 殺すのは簡単だった。
 ヒッグスの心臓を一突きすれば、それで事足りた。彼は息を切らし、最期まで組織だの、なんだの喚き散らかしていた。情けない男。


 そうして、ヒッグスは 心臓を、息を止め絶命。動かなくなった。これでようやく、元凶を潰せた。でも彼が言っていたように、組織は残るのだろう。
 ならば、わたしは動き続ける。


 部屋を出ると、もう誰もいなかった。避難したようね。あのローブの不審者もそこら中に倒れていた。きっと、イクス様が討伐したのでしょう。


「……」


 外へ向かった。
 お屋敷は燃え続け、柱さえ崩れていた。もうこの家は全焼してしまう。逃げなければ……。


 ◆


 庭に出ると、そこにはみんながいた。

「ローズ、無事だったか! こんな煤に塗れて」
「イクス様、みんなも無事だったのですね」
「ああ、君のおかげだ。リリーも無傷で……良かった」

 ぎゅっと抱きしめて貰い、ようやくわたしはいつもの自分になれた。ヒッグスと戦っている時はずっと冷静で自分が自分でないようだったのに。


「ローズお姉様、良かった……」
「リリーも無事で良かったです」
「助けていただき、本当に感謝しています。今までの非礼をお詫びします」
「いいのですよ、リリー。あ、ネモフィラさんとフリージア、それにアルベドにフラッシュも無事だったのですね」


 全員なんとか逃げ出していた。良かった、ひとりも死なずに済んだ。わたしはそれだけで嬉しかった。命の方が大切だ。家ならまた建て直せる。


「なにはともあれ、ローズが無事で良かった」
「イクス様、心配してくれたのですね」
「当然だろう。君がいないと僕は……辛い」

 そんなわたしを思ってくれるなんて。良かった、彼がいて。イクス様がいなければ、わたしは今頃、身も心も圧し潰されて露頭に迷っていたに違いない。


「これからどうしましょう、イクス様」
「安心するといい、別荘があるし、そこへ向かおう」
「分かりました」


 この場にはいられない。
 その別荘に移動しようとした――時だった。


「ローズお姉様、危ない……!!」


 え……リリー?

 凶器からわたしをかばう様にリリーは前へ……うそ。そんな、みんな無事に集まれたと思ったのに――。
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