27 / 27
第27話 幸せ
しおりを挟む
――数日が経ち、ユーデクス様は元気を取り戻された。オーリム家の庭で元気に手入れをされている彼の姿があった。
「ありがとう、スピラ様。あなたの治癒のおかげで、この通り元気になった。本当に感謝してもしきれない……」
「いえ、わたしはこれくらいしか出来ませんから」
にこっと微笑まれ、ユーデクス様はまた頭を下げられた。今日で多分、三回は頭を下げられたと思う。
「それで、もう聖地へ帰られるので?」
「いえ、せっかくの里帰りですので、もう暫くは滞在しようかと思っています。カエルム様も同じ考えだったようで、今は辺境伯と母様にご挨拶をしているようです」
ちなみに、お義父さん……エキャルラット辺境伯は、皇帝陛下に呼ばれていたようで姿がなかったみたい。だから、母様しかいなかったのね。
「そうか。俺は兄として失格だ……」
「どうしてそう思うんですか?」
「君たちに迷惑を掛けてしまった。結局、俺はダメな兄貴だったんだ……。今もこうして庭師の仕事をしているし……運命の人も現れない。とことんツイていない」
「そんな事ありません。ユーデクス様は素敵な人です。きっと、これから良い事ありますよ~。だから、元気出して下さい」
そう、わたしが元気づけるとユーデクス様は、思ったよりは落ち込んでいなくて、微笑んでいた。どうしてだろう? と思っていると。
「聖女様のお墨付きなら、安心かもな」
「そ、そんな……わたしも、まだまだですよ。力だって、最近やっとついてきたくらいで……」
「いや、スピラ様はもう立派な聖女様だ。俺が保証する」
「ありがとう、ユーデクス様」
わたしは頭を下げ、礼を言った。
それからお屋敷に戻った。
◇
「ごめんね、スピラちゃん」
ウィンクルム母様とばったり出会う。
相変わらず世話しない人だ。
「いえいえ、わたしの方こそあまりお役に立てなくて……」
「そんな事ありません。スピラちゃんの活躍は、カエルムとユーデクスから聞いているわよ。すっごく立派だったと。聖女の力を発揮してくれたんだってね」
宝石のようにキラキラした瞳で顔を見られ、わたしは、なんだか無性に恥ずかしくなった。頬が熱い。
「そ、そうですけど……でも」
「謙遜、謙遜。いいのよ、胸を張って。貴女はカエルムとユーデクスを守り、無事にこのお屋敷に帰って来させてくれた。それだけで、十分すぎる名誉よ」
だきっとウィンクルム母様は抱きついて来た。ぎゅぅっと抱きしめられ、ヌクモリがわたしを包む。……あたたかい。……ちょっと泣きそう。
「ウィンクルム母様……」
「スピラちゃんは、私の娘よ」
「はい、ありがとう。ウィンクルム母様」
今回、急な呼び出しではあったけれど、久しぶりに帝国に戻ってこれて、少し安心も出来た。聖女としての自信も出た。
これからも、カエルム様となら困難があっても立ち向かえる。
――それから、わたしはカエルム様と合流を果たし、彼の部屋でゆっくり愛を確かめ合った。
「カエルム様……」
「スピラ様……」
やっとこの幸せな時間がやって来た。もう誰にも邪魔されない……二人だけの時間。あぁ、とっても幸せ――。
「ありがとう、スピラ様。あなたの治癒のおかげで、この通り元気になった。本当に感謝してもしきれない……」
「いえ、わたしはこれくらいしか出来ませんから」
にこっと微笑まれ、ユーデクス様はまた頭を下げられた。今日で多分、三回は頭を下げられたと思う。
「それで、もう聖地へ帰られるので?」
「いえ、せっかくの里帰りですので、もう暫くは滞在しようかと思っています。カエルム様も同じ考えだったようで、今は辺境伯と母様にご挨拶をしているようです」
ちなみに、お義父さん……エキャルラット辺境伯は、皇帝陛下に呼ばれていたようで姿がなかったみたい。だから、母様しかいなかったのね。
「そうか。俺は兄として失格だ……」
「どうしてそう思うんですか?」
「君たちに迷惑を掛けてしまった。結局、俺はダメな兄貴だったんだ……。今もこうして庭師の仕事をしているし……運命の人も現れない。とことんツイていない」
「そんな事ありません。ユーデクス様は素敵な人です。きっと、これから良い事ありますよ~。だから、元気出して下さい」
そう、わたしが元気づけるとユーデクス様は、思ったよりは落ち込んでいなくて、微笑んでいた。どうしてだろう? と思っていると。
「聖女様のお墨付きなら、安心かもな」
「そ、そんな……わたしも、まだまだですよ。力だって、最近やっとついてきたくらいで……」
「いや、スピラ様はもう立派な聖女様だ。俺が保証する」
「ありがとう、ユーデクス様」
わたしは頭を下げ、礼を言った。
それからお屋敷に戻った。
◇
「ごめんね、スピラちゃん」
ウィンクルム母様とばったり出会う。
相変わらず世話しない人だ。
「いえいえ、わたしの方こそあまりお役に立てなくて……」
「そんな事ありません。スピラちゃんの活躍は、カエルムとユーデクスから聞いているわよ。すっごく立派だったと。聖女の力を発揮してくれたんだってね」
宝石のようにキラキラした瞳で顔を見られ、わたしは、なんだか無性に恥ずかしくなった。頬が熱い。
「そ、そうですけど……でも」
「謙遜、謙遜。いいのよ、胸を張って。貴女はカエルムとユーデクスを守り、無事にこのお屋敷に帰って来させてくれた。それだけで、十分すぎる名誉よ」
だきっとウィンクルム母様は抱きついて来た。ぎゅぅっと抱きしめられ、ヌクモリがわたしを包む。……あたたかい。……ちょっと泣きそう。
「ウィンクルム母様……」
「スピラちゃんは、私の娘よ」
「はい、ありがとう。ウィンクルム母様」
今回、急な呼び出しではあったけれど、久しぶりに帝国に戻ってこれて、少し安心も出来た。聖女としての自信も出た。
これからも、カエルム様となら困難があっても立ち向かえる。
――それから、わたしはカエルム様と合流を果たし、彼の部屋でゆっくり愛を確かめ合った。
「カエルム様……」
「スピラ様……」
やっとこの幸せな時間がやって来た。もう誰にも邪魔されない……二人だけの時間。あぁ、とっても幸せ――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
98
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お気に入り登録しときますね(^^)
ありがとうございます!
凄く嬉しいです。
こちらもさせて戴きます!