婚約破棄28日後... 王子のせいで国が滅亡するようです...28日後に現れた王子はゾンビでした。白の聖女のわたしでもお手上げです!

夜桜

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#04 28日後...

 ゾンビは全て消え去り、共和国の復興を進めていた。

 ほとんどの建物が火災で崩れ去ってしまっていたし、お城も半壊していた。全ては呪われた髑髏どくろを所持していた王子テオバルドのせいだ。


 彼の生存は分からない。
 今日はあの婚約破棄とゾンビ事件から……


 28日後。


「良い天気ね。埋葬作業もかなり進んで、あとちょっと……」
「ローザ、今日も作業を進めるんだろう? 僕も手伝うよ」


 最近、ディレクが積極的に手伝ってくれる。死者を弔う為の埋葬作業を。屋敷の周辺に住む生存者の人々も手伝ってくれていた。今回の功績が全員に伝わり、わたしは慕われるようになっていた。


「はい、お願いしますね。さて、墓地へ」


 屋敷を出て墓地へ向かう。
 多くの墓標が並び、如何に犠牲者が出たか物語っていた。わたしは、聖女として祈りを捧げ、霊魂を鎮めていく。


 けれど、今日は異変があった。


 二十八番目の墓標に祈りを捧げた時だった。いきなり墓石が倒れてきて、地面がモジモゾと騒いだ。


「きゃ!? な、何なの!!」
「ローザ! どうした!?」

「いつものように祈っていたら、墓石が倒れて来たの! ディレク、このお墓変よ!」

「まさか……ゾンビの生き残りが?」


 モゾモゾっと這い出てくる腐った腕。
 ついに姿を現すゾンビ。


『ヴォォ……。ザ…………』


 まだ生き残りがいたなんて。直ぐに浄化しないと誰かが噛まれたら感染が広まってしまう。そんな事になれば、また逆戻り。そうはさせない。

 でも、やっぱりおかしかった。あれから、28日も経過しているし……あの時、確かに全てのゾンビを浄化していたはず。わたしの聖なる魔法を受けているはずなのに、無事でいられるはずがない。


「……! あの手の髑髏どくろ……どこかで見覚えが! ま、まさか……テオバルド王子なの!?」


 そう、あのゾンビが手に持つアイテムは『不死王リッチー髑髏どくろ』だった。あれが僅かな再生能力を与えているらしい。あんなモノがあったから、国は滅んだのよ。


『……ロー…ザ、ス、スマナカ……タ。ワタシヲ、タスケテ……クレ』



「無理ですよ、テオバルド王子。貴方はわたしの忠告を聞き入れなかった。何度も何度も忠告して、それを手放すように言ったではありませんか! それなのに、貴方は聞き入れなかった……。そのせいで共和国は滅びたんですよ。
 多くの犠牲者を出し、罪もない人が亡くなった……なのに、王子、貴方は民を守らず城に籠り……国を、民を見捨てた。そして今も尚、不死のままこの世を彷徨っている。貴方はもう安らかに眠って下さい」



 そうわたしが伝えると、醜い姿のテオバルドは腐った両手でわたしの首を絞めようとした。けれど、ディレクが鞘から剣を抜き、電光石火の如く鮮烈な動きで王子の腕を叩き切った。


『ヴォォォォォ……!!』


 わたしは、両手を突き出し容赦なく『マグナエクソシズム』を展開。白い光を地面に落とした。広がる聖なる光はテオバルドに絶大な浄化を与え、あの髑髏どくろすら溶かしていた。

 この距離ならもう、再生も追い付かないはず。その通り、灰となっていく王子と髑髏どくろ。サラサラと塵となり、消え去る。



『ギョアァァァアァアアア……』



 断末魔を残し、彼は天に召した。


 突然だったから、緊張とか色々あってわたしはその場に脱力した。あれ、おかしいな……手が震えて。

 すると、ディレクが剣を鞘に納めて、わたしの方へ駆け寄って手を優しく握ってくれた。心が落ち着いて、震えも止まっていく。


「ありがとう、ディレク。わたし、優しい貴方が好きですよ」
「僕もだよ、ローザ」


 あれから28日。
 わたしとディレクの距離はかなり縮まっていた。
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