毒殺されそうになりました

夜桜

文字の大きさ
5 / 24

第5話 よくも奪ったわね……!

しおりを挟む
 三日後。
 アレクは変わらず看病してくれたり、ルーナのことを探ってくれているようだった。
 彼が外出している間は、メイドのミアがわたしの面倒を見てくれた。

「イリス様、こちらのお薬をどうぞ」
「……薬? 薬はいつもアレクが持ってきてくれるはずだけど」
「今日はお忙しいようなので外出されました。なので、私からお薬を出させていただきます……」
「そうなの」

 毒の治療に薬を飲むことになっていた。
 お昼に飲むと言われていたけど、今日は違うのね。
 水と薬を受け取り、わたしは渋々ながらも飲む。

 ……あれ、いつもよりも苦味が強い。

 頭がぼうっとするような。
 一気に眠気が強くなって、わたしは横になった。
 力抜けていく。

 視界がぼやけてメイドの姿が曖昧になっていく。
 最中、彼女は微笑んでいたように見えた。


「……やっとこの時が来たわ」
「…………え」

「この家に毒はないから、代わりに睡眠薬で眠らせた。イリス、あんたのせいよ……」
「……な、なんなの……」

「アレク様は、あんたみたいな無価値な女にご執心。いっそ、ルーナ様に殺されてしまえば良かったのよ……!」


 こ、このメイド……まさか、最初からそのつもりで……。

 閉じそうになる目を必死に堪え、わたしは逃げようと体を動かす。けれど、体は自由に動かせず、絶望的なまでの眠気が襲ってきた。

 メイドのミアは、背中に隠していたらしい包丁を取り出し、こちらに向けてくる。

 う、うそでしょ……。

 また、わたしは命を狙われるの……なんで、どうして……。


「……や、やめて……」
「あはは……命乞い!? イリス、あんたみたいな澄ました美人はむかつくのよ! アレク様を……よくも奪ったわね……!」

 包丁を振り下ろしてくるミア。
 刃がわたしの胸に目掛けてくる。

 ……こ、ここまでなの……。

 助けて……アレク。


 そう願っていると。


 鈍い金属音が響き、包丁が宙を舞っていた。


「やめろッ!」


 アレクが剣で包丁を弾いたんだ。
 来て……くれたんだ。


「アレク様、なぜ!」
「ミア、君は最低なメイドだよ。イリスを殺そうとするだなんて……許せない」

「ち、違うんです! これは……手が滑って……」

「そんな言い訳が通用すると思うな。マックスウェル!」


 執事のマックスウェルが部屋に入って来て、ミアを確保。連れ出していった。


「や、やめて……私に触れないで、マックスウェル!」
「ミア、あなたは重罪を犯した。タダではすみませぬぞ」


 ミアは今度こそ連れてかれた。
 わたしは睡眠薬に耐え切れなくなり――そのまま眠った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

姉の婚約者に愛人になれと言われたので、母に助けてと相談したら衝撃を受ける。

佐藤 美奈
恋愛
男爵令嬢のイリスは貧乏な家庭。学園に通いながら働いて学費を稼ぐ決意をするほど。 そんな時に姉のミシェルと婚約している伯爵令息のキースが来訪する。 キースは母に頼まれて学費の資金を援助すると申し出てくれました。 でもそれには条件があると言いイリスに愛人になれと迫るのです。 最近母の様子もおかしい?父以外の男性の影を匂わせる。何かと理由をつけて出かける母。 誰かと会う約束があったかもしれない……しかし現実は残酷で母がある男性から溺愛されている事実を知る。 「お母様!そんな最低な男に騙されないで!正気に戻ってください!」娘の悲痛な叫びも母の耳に入らない。 男性に恋をして心を奪われ、穏やかでいつも優しい性格の母が変わってしまった。 今まで大切に積み上げてきた家族の絆が崩れる。母は可愛い二人の娘から嫌われてでも父と離婚して彼と結婚すると言う。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

処理中です...