その方は婚約者ではありませんよ、お姉様

夜桜

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第三話 大貴族カーティス家

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「……認めない。絶対に認めない!!」

 涙目のお姉様は走り去っていく。
 逃げる道を選ぶのね。
 それもありかもね。
 でも、結局は監禁生活になる。

「おい、ニーナ!」

 そのお姉様の後姿を追いかけていくブレンディ。あとは二人の問題。わたしはもう関係ない。

 立ち去るのを確認して、わたしは家へ戻る。
 実家ではなく本当の婚約者のもとへ。

 近くに馬車が止めてある。

 大貴族カーティス家の長男カリル・カーティスが待っていた。彼こそ本当の婚約者。スカイブルーの瞳でわたしを確認すると安堵していた。

「待っていたよ、マリサ」
「お待たせしました、カリル様」
「お姉さんはどうだった?」
「はい、計画通りに」
「そうか、それは良かった。これで僕と君は幸せになれそうだね」

 手を引いてくれるカリル。
 もともと彼がブレンディの存在を紹介してくれた。
 カリルは裁判長でもあり、国内でもとても高い権限を持っていた。おかげでブレンディの件ではスムーズに司法取引ができた。

「あとはお姉様が捕まるのを待つだけです」
「逃げてしまったか。でも問題ない。騎士団が昼夜を問わず捜索する」
「お願いします」
「では、家へ戻ろうか」

 馬車が走り出す。
 日が沈み始めているし、夜になればお姉様に隠れる場所なんてない。きっと早い内に拘束され、しばらくは留置場に閉じ込められる。

 カーティス家に到着して、わたしは吉報を待つことにした。
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