海に溺れる

沙羅

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「待て!!」
カイトが剣を振り下ろしたその時には、もうリュウキは跡形もなく消え去っていた。リュウキだけでなくその従者である2人の姿も消えている。
「逃げやがったか……。セイ、ラン、お前らも戻っていいぞ」
彼の声にまた2人の気配が消えた。部屋の中に静けさが戻る。
「終わったのか……?」
口にすれば、気が抜けるとともに恐怖が思い出されてくる。
「あぁ。一先ずは安心だ。来るのが遅れて悪かったな」
そう言ってカイトは僕を拘束していた錠を壊していく。身体が軽くなるにつれて力も抜けていった。

「おい、愁介!」
倒れそうになった僕を海斗がしっかりと抱きとめる。

「怖、かった……」
口からは素直な気持ちが漏れた。するとカイトは、慰めるように僕をぎゅっと抱きしめる。しばらくして体温が離れたかと思えば、カイトの目が僕の目を覗き込んだ。
「なぁ、俺と一緒に住まないか?」
少し前に聞いたはずのその言葉。だがその言葉を聞く僕の心は確かに変化していた。
「下心がないとは言わないが、俺と居るのが一番安全なのも事実だ。俺は強いから簡単には死なないし、愁介を守ることもできる」
その言葉は、僕がずっと欲しかった希望の光だった。
「カイトは、死なない……?」
「あぁ、約束する。俺は死なないし、愁介も死なせない」
自分が側に居ても死なずに、自分と一緒に生き抜いてくれる存在。それは、僕が何十年ほしいと願っていた存在だった。
「……ありがと」

――『海の王が天の王と行動を共にするようになった』そんな大ニュースがすぐに月界で知れ渡ることになる。海の王の裏切り行為だと怒りを感じる者、何か考えがあってのことだろうと考察する者、密かに襲撃を企てる者——
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