生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ

文字の大きさ
13 / 30

13話

しおりを挟む
ドサッ

グレンの後を着いてきた俺は、視界が見えぬまま兵士に両肩を押さえられ膝をついた。麻袋のほんの隙間から見える景色では、何処かの部屋の様だった。

「~~…」

「~…」

グレンが誰かと話しているが、麻袋のガサツく音でその声が遮断される。

(誰と会話しているのかさえ分かれば…)

そう思い少しだけ体を動かそうとするが、両隣で待機している兵士が俺の肩を掴んで離さない。せめて麻袋の音だけでも掻き消してしまいたいが、顔に被せられ両腕を拘束されている以上為す術がなかった。ジッとどうするか考え込んでいるとー

「行くぞ。」

グレンが俺の両隣で待機している兵士に命令し、バタンッと扉を閉めて出て行った。残された俺は、何とか拘束の縄を解こうと手首を擦り合わせようとしたが前方に視線を感じ、手を止め前を向いた。

「流石の察知能力だね。王子が愛してやまない英雄・…。」

その言葉にドクンッと胸が高鳴り、額から汗が流れた。

「誰だ…」
低く警戒するような声で俺は身構えた。

「そんなに警戒しないでよ」
悪びれる様子のない発言に俺は眉をひそめた。

「まず誰かを名乗れ…。」

「僕だよ、僕。

「ソラっ!?」
意外な人物に俺は驚き、又顔を顰めた。

「慧羅って名前を聞いて僕思い出したんだー。元奴隷の成り上がり将軍だって…。僕も何故か生前の記憶が蘇ってさ、気付いたら王子に気に入られてるんだよ?凄くない?」

「……。」

「死ぬと過去に戻るなんて聞いた事ないから最初、焦ったよ。慧羅の名前を聞いた途端全ての記憶が鮮明になって今に至るんだ。」

笑いながら語るソラを見て俺は、先程までの怪我の心配が吹っ飛んでいた。ソラが生前の記憶を持っていたという事実に驚きが隠せないでいた。俺とカインだけが戻ったのだとばかり考えており油断していた。

(つまり、ソラは俺が名前を言ったと同時に生前の記憶が蘇ったということなのか?)

突然のソラの告白に俺は頭がズキンと痛む。聞きたいことは山ほどあったがそれ以上に頭の痛みが増していく。

「~…!」

ソラが何かを言っているが聞こえない。

目を瞑り痛みを堪えていたが、突然視界が明るくなり目を開けると麻袋が取られていた。そして、目の前にはソラの顔。

「今度は僕が君に復讐する番だよ。僕が悲しんだ分の思いを全てあげる。」

そう言いながらソラは天使のような笑みを浮かべて部屋から出ていった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【BL】無償の愛と愛を知らない僕。

ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。 それが嫌で、僕は家を飛び出した。 僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。 両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。 それから十数年後、僕は彼と再会した。

才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?

綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。 湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。 そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。 その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

処理中です...