騎士さま、むっつりユニコーンに襲われる

雲丹はち

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02 遭遇


キィキィ。
コウモリの鳴き声に似た耳障りな音が聞こえた。

(これは……どこかで聞き覚えがある。そう、討伐の時に……)

はっと我に返った。
意識が急浮上する。
目をひらいたが、辺りはまっくらだった。
暗闇のなかで小さな生きものがたくさんうごめいている。

(なん……!?)

瞬きを繰り返すと視界が暗闇に慣れてくる。
そこにいたのはゴブリンだった。
子どもほどの身長しかない小鬼たちが自分の体に群がっていた。

「やめ……っ! やめろ! 貴様ら!」

とっさに腰にさしていたナイフを探すが、ない。
奪われたのだ。

起き上がろうとするが、慣れない衣装のせいでもたつく。
ゴブリンたちの手がローブの裾から奥に入り込もうとする。
きれいに毛を剃られたすねや太ももに小さな手が這いまわる。
あっという間に薄手の衣装は破かれ、乳首をいじくり回された。

「離せ! 私に……ふれるな――ぁぁ――ぁぁああ!!」

王家の森にモンスターはいないはず!
なのに、どうして……!

服が破けるのも構わず出口を探す。
灯り。
なんでもいい。日の光を探せ。
恐怖でパニックに陥りかけながらも、必死に心を奮い立たせて状況を確認する。

今いるのは巨大な洞窟の入り口だった。
入り口には太いツルがカーテンのように垂らされて日の光を遮っていた。
外からここが見えないようにしているのだ。

ずる賢いゴブリンらしい知恵だった。
うまく力が入らない体を強引に起こして、入り口へと向かう。
足にゴブリンがしがみついてきた。

「……っ、のけっ!」

しがみついてきたゴブリンを蹴りつけて、引きはがす。
こんなところで終わるつもりは毛頭なかった。
必ず逃げ帰って討伐隊を組織しなければ。
ゴブリンの群れがいるとなれば、他にも生息地帯があるはず。
さらには彼らを主食とする他のモンスターがいないとも言い切れない。

(本当に厄介事を持ってきてくれる! あいつめ!)

旧友に悪態をついた瞬間、心臓をぎゅっと掴まれる感覚がした。

「か……はっ……!」

息がつまり、呼吸できない。自分の胸を叩いて元に戻そうと試みるが、変化はない。
なんの術式だ?
呼吸困難に陥ると、再びゴブリンたちが群がってきた。
太ももをまさぐられ、尻をさわられる。

「やめ――! 私は、男だぞ……っ……」

ゴブリン族の節操のなさは聞いていたが、彼らは人間の男と分かれば容赦なくうちすえて殺す。だが女と分かれば、自分の子種を増やすことに利用するのだ。
必死に股間の性器を手で隠すがそれも時間の問題だった。
スカートを破かれ、尻の上にでっぷりとした太い肉棒が置かれる。
ぬちゅ、ぬちゅ♡
やわらかくて温かい体液が尻に伝わる。

「離れろと言っているだろうが!」

ゴブリンたちの鳴き声はさらに高まっていく。心臓は今も何かにしめつけられている。
ふと、諦めの心がよぎった。
もう自分は助からない。ゴブリンたちの肉袋にさせられる。
そんな気持ちのなかにあっても、たった一つ良いと思えることがあった。

これが婚約者のマリーではなくて良かった。
あの愛らしい婚約者にこんな惨い災厄が降りかからなくて良かった。

そう思った瞬間、心臓の締め付けが消えた。
入り口からわずかに差し込んでいた日の光が、またたくまに強さを増していく。
いまや稲光のごとき閃光がふくらむ。
白い光が洞窟の闇を一瞬で打ち払った。

突然の変化に小鬼たちは混乱し、体から離れていく。
あっという間に奥の巣穴へと逃げていく。
逃げ遅れた小鬼は、白い光に照射された瞬間、灰となって消えた。

「な……に……が……起きて……?」

呆然と見送ると、独特な息づかいが入り口の方から聞こえた。
白い光は徐々に弱まり、残ったのは一頭の白い駿馬だった。
たてがみも尻尾も白く、その瞳は清冽な水に似て青い。
額には美しい一本の角。
まぎれもないユニコーンだった。
ふん、と鼻を鳴らして彼はついてこいと言わんばかりにきびすを返す。

「え……ぁ……待ってくれ……!」

破けたローブや布をかき集めて、素肌を隠しながら彼のあとを追う。
ようやっと追いつくと、彼は太陽の光が燦々と差し込む草むらで足をとめた。
神々しい姿に自然と膝を折る。

「ありがとう。あなたのお陰で助かった……」

プライドの高い貴族なら、獣に膝を折るなどありえないと言うかもしれなかった。
だが自分は社交界で己の富を誇示しあう生粋の貴族ではなかったし、なによりこれほど美しい獣に助けられたことは名誉とさえ思えた。

角の採取などもはや関係なかった。
一言、彼に礼を述べられればそれだけで良かった。
ぶるるる、と鼻息の荒い顔を首にくっつけられる。
「ふふ。くすぐったいよ」

首筋や肩にユニコーンの鼻息がかかる。その頭やたてがみを優しくすいてやると、嬉しそうな鳴き声を上げた。







思ったとおりこの人間は、我に気を許している。
満足げに鼻を鳴らすと、我好みの手つきで頭をなでてくれる。
うむ。申し分ない。

毎年、王家から年に一度あどけない少女が送られてきていた。
彼女たちの顔も声も体臭もすべてが可憐で、申し分なかった。
角を折らせてやるのもやぶさかではない。

しかし今年は違った。
女の恰好をした男。確かに顔も体臭も我好みだが、男だ。
好みではない。
いっそゴブリンの巣穴に落として、どのくらい興のそそる声を聞かせてくれるか試してみよう。

だが、これが良くなかった。
やめろ! と抵抗する声は我の股間に直撃するほどそそられた。
すぐにでも助けに行こうかと思った。

しかしこやつは、他の男に悪態をついていた。
ゴブリンや森に悪態をつくのならまだしも、この我の前で他の男のことを考える。
許しがたい行動だ。
よって、その心臓をちょっとだけつまみあげてやった。
すぐに虫の息だ。
しかしこやつは死を覚悟してもなお、己の婚約者の無事を願っていた。

誠実だ。
実に誠実で、慎ましやかで我好みの人間だ。
ゴブリン程度に処女を散らすなど考えただけでも度し難い。

結果、助けてしまった。
今では我の前にひざをつき、礼をのべるほどだ。
たてがみをすく手つきも気に入った。

今までの少女たちは膝枕をさせるだけで済ませていたが、こやつは別だ。絶対に我のものにする。
他の男にも、女にもやらない。
我だけのつがいとしよう。
そうと決めたからには行動だ。

「どうかしたのか?」

小首をかしげて見つめてくる彼の頬をでろりと長い舌で舐め上げた。
唾液まみれになっても彼はのんきに笑っている。
笑顔も素敵だ。
なんとしても我の手籠めにしたい。

破れたローブからは白い鎖骨が丸見えだ。
しっかりと鍛え上げられた胸元も。
桃色の乳首が胸を隠す指のすき間から見えていた。
そこも舐める。

「んン……こらっ……!」

いい声だ。
叱りつける声は甘い。
まだ我に気を許している最中なのだ。
こうなったらとことん舐め尽くしてやろう。

顔を押しつけて、匂いをかぐ。
白百合に似た体臭が実に心地良い。
脇をなめあげるとくすぐったいのか身をよじる。

均整の取れた顔立ちに紅をさしているせいで、えもいわれぬ色香を醸し出している。
もっと気持ち良くさせてやりたい。

長い首をつかって草むらに押し倒す。
白くて軽いローブや中に着込んだドレスはゴブリンたちのせいでひどい有り様だった。

(二回目があれば、我が脱がしてやる)

丹念に彼の薄い唇をなめまわし、可憐な唇に舌をつっこんだ。

「ぇ……ちょっと、まて……まちなさぃ……!」

さすがにこちらの変化に気づいたのか、彼が腕を使って我の顔をひきはがそうとするが遅い。
太い舌で入念に彼の歯をしゃぶり、小さな舌を吸い上げる。

うむ。実に甘露である。

透明な唾液をしつこく吸い上げ、彼にのしかかる。
少しでも動けば、我の巨体に体を踏みつぶされると気づき、彼の抵抗が弱まる。

うむ。気のつくやつ。

「ゃ、ぁ、ぁ……吸ぅ……な……ぁ――っ♡」

今までの少女たちはこんな声を出せただろうか。
膝枕してもらうだけで帰してしまっていたから、分からない。だが彼の鳴き声は実に心地良い。下腹にクる。
徐々に下半身に熱が集まり、むずむずしてくる。ふだんは隠れている性器がむくむくと立ち上がり、股間からぶらさがる。
長く太い竿を彼の太ももにくっつけてやった。

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