2 / 5
【一話】逃亡希望者の前日談
しおりを挟む
時は少し遡る。
異世界に来る前の…数日前の現実世界、夜11時の人気の無い廃墟。
そんな時間のそんな場所には似つかわしくない高校生4人の姿があった。
男女二人ずつだ。
「おせーな、ツトムってやつはいつ来るんだ!?」
一緒にいたヤンキー系男子は、約束の時間になってもまだ来ないもう一人に対して苛立ちを抑えられず騒ぎ始めた。
その大声に反応した金髪の女子は口元に人差し指を立てて『シー』と言いながら小声で注意をする。
「大声出さないで!見つかったらどうすんの!?」
「んだよ、オレが悪いってのかよ!
言い出しっぺが時間遅れてくる方が悪いんだろうが!」
「分かるけど、大声で言うなって言ってんの!家に連れ戻されたいの!?」
大声と小声で不満を言い合う二人に、もう一人のボブの大人しい女子が勇敢にも金髪女子側に加勢する
「喧嘩しないでください、まだ数分遅れてるだけじゃないですか」
「言い出しっぺが遅れるのが気に食わねーっつってんだよ!!割り込んでくんな!」
しかし、やはり大人しい彼女では役不足だったらしく涙目で『すみません』と言ってしゅんと落ち込んでしまった。
この様子を見ていただいて分かるように、オレたちは友達どころか知り合いですらないが、共通点はある。
学生であること、とあるSNSをやっていること、そしてどこかへ逃げ出したい事情がそれぞれにあるというこの3つ。
つまり、端的にいうと家出希望者の集まりだった。
各々の事情は知らないが、SNSで現実逃亡をしたいと呟き、ある人物から『誰にも知られないうちに、誰も知らない所へ連れて行く』という誘い文句を高校生にもなってまともに受け取ったのだ。
もちろん、それが天国的な意味なのだとしても承知の上だった。
しかし、肝心な言い出しっぺの人間が自分で提示した時間、提示した場所にまだ来なかったのだ。
オレはスマホの電源を入れて時間を見る。
「本当に来るのか…?」
ボソリとおれがつぶやくと、一番そばにいたボブの女子はオレに声をかける
「どういう…意味ですか?」
「あぁ…いや、よくよく考えたら知らない相手からのメッセージだし、もしかして騙されてたのかなー…なんて…」
そういうと今度はさっきまでヤンキーと言い合いしていた金髪の女子の方がこっちを見て声をかける
「ちょっと!怖いこと言わないでよ!あたしこれにかけてんだからさ!」
「ご…ごめん…」
金髪の女子はオレの言葉に相当焦ったのかその表情の凄みは増していた。
「だ、大丈夫ですよ…まだ約束の時間から5分すぎただけじゃ無いですか!
きっともうすぐ…」
ボブの女子が慌ててそう呟いたのと同時にがさっという足音が聞こえた。
全員がその足音にビクッと肩を震わせた。
その足音がメッセージを送ってきた人物なのか、
それともあまりの騒ぎに気になった無関係の人間なのか、
どちらなのか一瞬判断ができなかったからだ。
ゆっくり足音のする方向に顔を向ける。
そこには学ランを身に纏った小柄のメガネ男子学生がいた。
彼はゆっくり口を開く
「お待たせしました、メッセージを受け取った4人で間違い無いですね」
オレと女子二人は少し驚きしばらく沈黙したが、ヤンキーはそんなこと気にしなかったらしく太々しく彼に質問を投げかけた
「てめーか、メッセージ送った単語ツトムってのは」
ヤンキーの質問に眼鏡男子も答える
「いかにも、僕が『ツトム』です」
それを聞くと、金髪女子が今度は口を開いた
異世界に来る前の…数日前の現実世界、夜11時の人気の無い廃墟。
そんな時間のそんな場所には似つかわしくない高校生4人の姿があった。
男女二人ずつだ。
「おせーな、ツトムってやつはいつ来るんだ!?」
一緒にいたヤンキー系男子は、約束の時間になってもまだ来ないもう一人に対して苛立ちを抑えられず騒ぎ始めた。
その大声に反応した金髪の女子は口元に人差し指を立てて『シー』と言いながら小声で注意をする。
「大声出さないで!見つかったらどうすんの!?」
「んだよ、オレが悪いってのかよ!
言い出しっぺが時間遅れてくる方が悪いんだろうが!」
「分かるけど、大声で言うなって言ってんの!家に連れ戻されたいの!?」
大声と小声で不満を言い合う二人に、もう一人のボブの大人しい女子が勇敢にも金髪女子側に加勢する
「喧嘩しないでください、まだ数分遅れてるだけじゃないですか」
「言い出しっぺが遅れるのが気に食わねーっつってんだよ!!割り込んでくんな!」
しかし、やはり大人しい彼女では役不足だったらしく涙目で『すみません』と言ってしゅんと落ち込んでしまった。
この様子を見ていただいて分かるように、オレたちは友達どころか知り合いですらないが、共通点はある。
学生であること、とあるSNSをやっていること、そしてどこかへ逃げ出したい事情がそれぞれにあるというこの3つ。
つまり、端的にいうと家出希望者の集まりだった。
各々の事情は知らないが、SNSで現実逃亡をしたいと呟き、ある人物から『誰にも知られないうちに、誰も知らない所へ連れて行く』という誘い文句を高校生にもなってまともに受け取ったのだ。
もちろん、それが天国的な意味なのだとしても承知の上だった。
しかし、肝心な言い出しっぺの人間が自分で提示した時間、提示した場所にまだ来なかったのだ。
オレはスマホの電源を入れて時間を見る。
「本当に来るのか…?」
ボソリとおれがつぶやくと、一番そばにいたボブの女子はオレに声をかける
「どういう…意味ですか?」
「あぁ…いや、よくよく考えたら知らない相手からのメッセージだし、もしかして騙されてたのかなー…なんて…」
そういうと今度はさっきまでヤンキーと言い合いしていた金髪の女子の方がこっちを見て声をかける
「ちょっと!怖いこと言わないでよ!あたしこれにかけてんだからさ!」
「ご…ごめん…」
金髪の女子はオレの言葉に相当焦ったのかその表情の凄みは増していた。
「だ、大丈夫ですよ…まだ約束の時間から5分すぎただけじゃ無いですか!
きっともうすぐ…」
ボブの女子が慌ててそう呟いたのと同時にがさっという足音が聞こえた。
全員がその足音にビクッと肩を震わせた。
その足音がメッセージを送ってきた人物なのか、
それともあまりの騒ぎに気になった無関係の人間なのか、
どちらなのか一瞬判断ができなかったからだ。
ゆっくり足音のする方向に顔を向ける。
そこには学ランを身に纏った小柄のメガネ男子学生がいた。
彼はゆっくり口を開く
「お待たせしました、メッセージを受け取った4人で間違い無いですね」
オレと女子二人は少し驚きしばらく沈黙したが、ヤンキーはそんなこと気にしなかったらしく太々しく彼に質問を投げかけた
「てめーか、メッセージ送った単語ツトムってのは」
ヤンキーの質問に眼鏡男子も答える
「いかにも、僕が『ツトム』です」
それを聞くと、金髪女子が今度は口を開いた
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる