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【二話】前日談・点呼
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「ちょ、ちょっと…ツトムって…嘘…学生なの!?」
金髪女子は、信じられないという面持ちでツトムを指差しワナワナと震えながらそう聞いた。
それを見てもツトムは何食わぬ顔で
「はい、何か問題でも?」
としれっと答えた。
白虎以外の3人で顔を見合わせる。
何せ『一眼に触れず、複数人をどこかに連れていく』と約束するような人間だ
少なくとも俺たち3人は大人だと思っていたのだ。
だから、俺たちはこれはやはり何かの悪戯だったのではと疑わずにはいられなかった。
金髪女子は、さっきヤンキーに注意をしたことも忘れ大声でツトムに詰め寄った。
「も…問題も問題よ!あんた…金も権力もないあたしたちと同じ学生が…!
どうやってあたしたちを秘密裏に誰にも知られない場所まで連れてくってのよ!」
「確かに…車か何かで連れて行かれるのだと思ってたのですけど…
学年によっては運転できなさそうですし…」
「…メッセージの件は本当…なのか?」
俺たちはいよいよもらったメッセージのことが信じられなくなり、真偽を確かめようとこんな感じで色々尋問を始めた。
ついに収集がつかなくなったのか、ツトムは両手でまあまあと俺たちを抑えるような仕草をしながら口を開く。
「慌てないでください、まずは点呼を取ります」
「点呼なんてどうでもいいってば、4人で全員なんでしょ?じゃあ早く行こう!」
その冷静な口調に金髪女子は焦りを隠せなくなってきたのか、ツトムは金髪女子に胸ぐらを掴まれる。
しかし、やはりそんなものを物ともしないツトム。
相変わらず冷静に彼女に声をかけた
「『あまひ雨姫』さん、何をそんなに慌てることがあるんです?」
「…!」
それを聞くと、単語あまひと呼ばれた金髪女子は手を緩めて彼の胸ぐらから手を離した。
どうやらそれが彼女の名前…というよりSNSのアカウント名なのだろう。
ツトムは襟を直しながら雨姫を見ながら言葉を続ける
「僕が学生だと知って、信憑性に欠けて不安になりましたか?
僕は嘘をつきません、ちゃんとメッセージでもお伝えした誰にも知られない場所までお連れしますので安心してください。」
はっきりとそう言われると、何も言い返せないのか雨姫は黙ってしまった。
その様子を見ていたヤンキーは舌打ちをするとだるそうに、でも大声でツトムに言う。
「んだよ偉そうに、だったら早く連れてけってんだ!」
「必要以上に大声を出さないでください『白虎』さん
僕の貴重な鼓膜が破れてしまいます。」
ツトムさんは無駄に突っかかる白虎さんの強面顔に一切怯むことなくただ淡々と返事をする。
白虎と呼ばれたヤンキーは「あぁ!?」とまた喧嘩を売りそうな雰囲気だったので、
それを察知したボブの女子が間に割り込み別の質問を投げかけた
「あの…スマホを持ってきてくださいってことでしたが…
誰にも知られないように…ってことなのにいいんですか?位置情報とかで…」
「それは安心してください『ピーチ』さん。
その場所に行くためにはどうしても携帯電話が必要なんです。
でも、位置情報やGPSは効かない場所なので安心してください。」
ツトムはボブ女子…ピーチさんの質問に返事をする。
しかしその質問には答えたものの、なんともスッキリしない返事だった。
よほどの山奥の田舎でも行かない限り、今の時代電波の届かないところなんてほとんどない。
パスポートの準備も求められてないし…
「そんな場所地球にあるか?…どこ連れて行こうとしてるんだよ?」
オレはツトムに率直に質問した。
「いい質問ですね『KEITO』さん、それではご説明しましょう」
ツトムオレのSNSアカウント名を呼んでそう言うと、両手をパンッと叩いて今ここにいる全員の注意を自分に向けさせた。
「僕は今からあなたたちを、異世界にお連れします」
「異世界?」
ツトムのその宣言を聞いて全員、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
最悪海外への逃亡はあるかもしれないと思ったが、まさか非現実的なことを言われるとは思っていなかったのだ。
だから、白虎はさらに悪態をつく
金髪女子は、信じられないという面持ちでツトムを指差しワナワナと震えながらそう聞いた。
それを見てもツトムは何食わぬ顔で
「はい、何か問題でも?」
としれっと答えた。
白虎以外の3人で顔を見合わせる。
何せ『一眼に触れず、複数人をどこかに連れていく』と約束するような人間だ
少なくとも俺たち3人は大人だと思っていたのだ。
だから、俺たちはこれはやはり何かの悪戯だったのではと疑わずにはいられなかった。
金髪女子は、さっきヤンキーに注意をしたことも忘れ大声でツトムに詰め寄った。
「も…問題も問題よ!あんた…金も権力もないあたしたちと同じ学生が…!
どうやってあたしたちを秘密裏に誰にも知られない場所まで連れてくってのよ!」
「確かに…車か何かで連れて行かれるのだと思ってたのですけど…
学年によっては運転できなさそうですし…」
「…メッセージの件は本当…なのか?」
俺たちはいよいよもらったメッセージのことが信じられなくなり、真偽を確かめようとこんな感じで色々尋問を始めた。
ついに収集がつかなくなったのか、ツトムは両手でまあまあと俺たちを抑えるような仕草をしながら口を開く。
「慌てないでください、まずは点呼を取ります」
「点呼なんてどうでもいいってば、4人で全員なんでしょ?じゃあ早く行こう!」
その冷静な口調に金髪女子は焦りを隠せなくなってきたのか、ツトムは金髪女子に胸ぐらを掴まれる。
しかし、やはりそんなものを物ともしないツトム。
相変わらず冷静に彼女に声をかけた
「『あまひ雨姫』さん、何をそんなに慌てることがあるんです?」
「…!」
それを聞くと、単語あまひと呼ばれた金髪女子は手を緩めて彼の胸ぐらから手を離した。
どうやらそれが彼女の名前…というよりSNSのアカウント名なのだろう。
ツトムは襟を直しながら雨姫を見ながら言葉を続ける
「僕が学生だと知って、信憑性に欠けて不安になりましたか?
僕は嘘をつきません、ちゃんとメッセージでもお伝えした誰にも知られない場所までお連れしますので安心してください。」
はっきりとそう言われると、何も言い返せないのか雨姫は黙ってしまった。
その様子を見ていたヤンキーは舌打ちをするとだるそうに、でも大声でツトムに言う。
「んだよ偉そうに、だったら早く連れてけってんだ!」
「必要以上に大声を出さないでください『白虎』さん
僕の貴重な鼓膜が破れてしまいます。」
ツトムさんは無駄に突っかかる白虎さんの強面顔に一切怯むことなくただ淡々と返事をする。
白虎と呼ばれたヤンキーは「あぁ!?」とまた喧嘩を売りそうな雰囲気だったので、
それを察知したボブの女子が間に割り込み別の質問を投げかけた
「あの…スマホを持ってきてくださいってことでしたが…
誰にも知られないように…ってことなのにいいんですか?位置情報とかで…」
「それは安心してください『ピーチ』さん。
その場所に行くためにはどうしても携帯電話が必要なんです。
でも、位置情報やGPSは効かない場所なので安心してください。」
ツトムはボブ女子…ピーチさんの質問に返事をする。
しかしその質問には答えたものの、なんともスッキリしない返事だった。
よほどの山奥の田舎でも行かない限り、今の時代電波の届かないところなんてほとんどない。
パスポートの準備も求められてないし…
「そんな場所地球にあるか?…どこ連れて行こうとしてるんだよ?」
オレはツトムに率直に質問した。
「いい質問ですね『KEITO』さん、それではご説明しましょう」
ツトムオレのSNSアカウント名を呼んでそう言うと、両手をパンッと叩いて今ここにいる全員の注意を自分に向けさせた。
「僕は今からあなたたちを、異世界にお連れします」
「異世界?」
ツトムのその宣言を聞いて全員、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
最悪海外への逃亡はあるかもしれないと思ったが、まさか非現実的なことを言われるとは思っていなかったのだ。
だから、白虎はさらに悪態をつく
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