裏切られた人生に

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第2章

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 魔力検査から2ヶ月経ち季節は春から夏へと移り変わろうとしていた。

「よし!目標の1時間達成だ!まさかこんなに早くできるとは思わなかったよ!」

(はぁ・・・はぁ・・・・・。流石に30分から1時間まで伸ばすのに2ヶ月もかかるとは思いもしなかった)

「いやぁ、本当にすごいよ君は。魔力量も大人顔負けなのにどうして剣術も習うんだい?もちろん君も将来は宮廷魔法師になるんだろ?」

 エトムントが不思議そうな顔で尋ねると、ラウルは汗を拭いながら答えた。

「・・・・・・・・宮廷魔法師にはなりません。冒険者になる予定です。それに魔法しか使ってこなかったものが、いざ魔法を使えない状況に置かれたときどうなると思いますか?何もできずただ周りが殺されていくのを呆然と見ているだけですよ・・・・・」

 エトムントは絶望した碧い目のラウルを見て、言葉を詰まらせた。

「・・・・・・・・そうか。ラウル君が何を経験したかは知らないがあまり深く追い詰めない方がいい」

「あはは・・・・そう本で書いてあっただけで俺が体験したわけじゃないんですけどね」

(3ヶ月経ってもまだあの時を鮮明に思い出す。もう今回は違うって思っても不安が拭いきれないのは何故なんだろう)

「それならいいんだ。・・・・・・・・ん?冒険者になるって言ったか?フリードリッヒがそれを許したのか?」
 
「え・・・はい。どうしてですか?」

「いや、あいつも昔は冒険者になりたがっていたんだがベッケラート家の責務を果たすと言って宮廷魔法師になったんだ。もう今は引退して王宮の官僚をしているが」 

 ラウルはフリードリッヒの昔の話を聞いて目を丸くする。

「え、お父様も冒険者になりたがっていたのですか?初めてそんなこと聞きました。でも冒険者になるには、魔法学校を5番以内に卒業して納得させる証拠を見せなさいとは言われましたけどね」

「あいつも君のことを色々と心配しているんだろ。結婚した時も驚いたがまさかこんなにいい父親をしているなんてな・・・・・」    

 そう言ってエトムントはガハハと笑い、懐かしそうな目で過去を思い出していた。

(俺も本当はアベラルドとずっとこんな関係でいれると思っていたんだけどな・・・・)

 ラウルはフリードリッヒとエトムントの関係をとても眩しく見えた。






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