悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!

ルナルオ

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悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!13

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逃げ足、小細工、瞬発力。
それらが必要とされる工作員一族のエミリーです。
力尽きそうになりながらも、ルキラ子爵家のハードな訓練、詰め込み座学に加えて、ロラン様の講義を受けて頑張った。
おかげで、1年足らずでも、ちょっと自分の成長を感じられるようになった。
私がそんな成長を遂げている中、大好きなトーマスお義兄様が、騎士として第二師団に入団することになった。
第二師団は、お城の中や周辺の警備をすることが主な役割なので、トーマスお兄様は、城内の騎士用の寮にお引っ越しになってしまう。寂しい。
まあ、私も近いうちに、王侯貴族の通うために学院寮へ移る予定だけどね。
トーマスお義兄様が王宮へ行ってしまう前日に、二人きりでゆっくりお話できる時間があった。えへっ。

「トーマスお義兄様、お体に気をつけてね。
お手紙ください!」
「ああ、もちろんだよ、エミリー。
エミリーも、無理せずに、体には気をつけるんだよ」
「はい!」
「外というか、余所では廊下で寝ては駄目だよ」
「うっ、それはもちろん!」
「……あと」
「はい?」
「エミリーには、もう好きな人はいるか?」
「それは、恋愛的にですか?
それなら、まだおりません」
「そうか、まだ、か……。
エミリーは可愛いから、父上のところへ既に何件か、婚約話が持ちかけられているみたいだよ」と心配そうなトーマスお義兄様。
「いや、どうなんでしょう……?」と首を傾けながら、エミリーは内心、喜んだ。

わーい、私のこと、可愛いって!
そんなことをいってくれるのは、お母様とトーマスお義兄様だけだからね。
あ、あとラフィーナ様や、一応、ロラン様もかな?
でも、自惚れたりはしないよ!
ただ、たまに言われると、顔が崩れるエミリーです。

「婚約話の打診には、心当たりがあるか?
例えば、イザーク・ハロル様とかは?」
「え?イザーク様が?
いや、イザーク様から、そんなこと、一言も言われたことないですよ。
本当にそんな話があるなら、どなたかな?
心当たりないですね~」
「ふぅん。
イザーク様、エミリーには何も言っていないのか……」
「ええ、仲良くはさせていただいておりましたが、特には何も。
あ、でも、アリード公爵家のロラン様から、何度かプロポーズされましたよ。
まあ、ロラン様、まだ6歳なんですがね~」
「アリード公爵家?
あそこなら、もう1人、息子がいただろう?彼は?」
「ああ、レオン様ですか?
あの方はラフィーナ様が大好きなんで、私のことをラフィーナ様と比べて、よく扱き下ろしますよ」
「へぇ、それは、酷い奴だ。
エミリーは、こんなに可愛いのにな~」と言って、慰めるように私の頭を撫でてくれるトーマスお義兄様。大好き!
にまにまするエミリーの横で、トーマスはしばらく考えるようにしてから、また質問をする。

「そういえば、あの商家デミー家の息子とは、最近、会っているのか?」
「アダムやルイですか?
最近では、会っていませんね」と答えつつ、デミー家の方々を思い出す。
デミー家は、エミリーの叔母、ナタリアが嫁入りした先である。
ナタリア叔母様には、息子が二人いて、アダムは1歳上、ルイは2歳下で、エミリーの従兄弟にあたる。
成金商家とデミー家は言われているが、先見の明がある先代のおかげで巨万の富を得たやり手の豪商である。

「……そうか。
あんまり、あの家に近づかない方がいいかもな」
「え?どうしてですか?」
「今のデミー家の当主は、お前を養女か息子の嫁にしようと狙っているからな。
ラフィーナ様の遊び相手にならなければ、エミリーは、今頃、デミー家に行かされるところだったらしいぞ」
「え?あ、その話と似たようなことをお姉様から聞いたけど、お父様に聞いたら、そんな予定はないって……。
あれ?でも、その嫁入り先がデミー家って初めて聞いた。
うぇっ、その話、本当だったの?」
「以前から、もしアンジェリカ様に気に入られなかったら、そうするつもりだと父上から俺やヴィクトル兄上は聞いていたぞ。
予想外にラフィーナ様に気に入られたから、そっちの方が有利と父上は判断したんだろうな……」
「あの狸親父め~」
「こらこら、口が悪いぞ。
まあ、訓練はさせられたが、ルキラ子爵家の子に残れて良かったな!」
「そうだけど……。
何かもやっとする~」
「まあまあ、それより、そのデミー家のアダム達とは、結婚の約束はしていないのか?」
「え?いや、特には……」
「そうか」とまたもや考え込むトーマスお義兄様。

ところで、私は何でトーマスお義兄様に、こんなに質問責めにされているのかな。
トーマスお義兄様ったら、家を出るにあたり、私の嫁入り先が何よりも心配なのかも……。
モテ期を待ちわびるエミリーです。

モテ期は来る!
いつかきっと来る!!はず……。

「トーマスお義兄様、心配しないでください。
ほら、私も、もうすぐ学院に入学して、学院で、もしかしたら、万が一、運が良ければ、いい方に出会うかも知れませんし!」

そう!学院で出会いが!!
モテ期が来るかも知れない。
モテ期、カモーン!!

「学院か……。
高位貴族の令息には、気をつけろよ。
子爵令嬢や男爵令嬢を慰みものにしようとする奴等が沢山いる。
俺が学院にいる時も、傷つけられた下位貴族の令嬢達を何人か見たぞ。
逆に、高位貴族の令嬢の中でも、俺に、『私には高位貴族の婚約者がいるから、下位貴族のあなたは、愛人になりなさい』とか言ってきた頭のおかしいのが結構いて、女性不振になりかけたぞ……」と暗い表情をする。トーマスお義兄様は、かっこいいからね。
そういえば、お姉様からも、トーマスお義兄様は、沢山のご令嬢に狙われて、大変そうだったって聞いたな。

「え~、学院って、そんなところなんですか!?
行くのが怖くなった……。
モテ期と勘違いしたら、痛い目に合うところでした」
「そうだぞ、十分に気をつけろよ。
でも、今のエミリーなら、武力で、そんじょそこらの奴等なら、抵抗できるだろう?
ラフィーナ様のためだけじゃなくて、自分のためにも、訓練して良かったな!」
「本当にそうでした~」
「……もしエミリーが好きな人のところに嫁へ行けないなら、俺と一緒にいよう。
俺はちょっと今、女性不振気味だから、誰とも結婚しないつもりなんだ。
だから、エミリーに好きな人がいなければ、エミリーの面倒をずっとみるよ。
時間はあるから、エミリーは流されずに、きちんとした相手を選ぶように!」と、爽やかスマイルでのたまうトーマスお義兄様。ときめきが止まらない!男前過ぎやろ!?
嫁に行けなさそうな私に、何たる希望を与えるとは!
このまま、一生独身でも幸せになれそう!!
いや、まだわからないけどね………。
とりあえず、トーマスお義兄様には、私に気になる男性ができたら、逐一、報告・連絡・相談をすることを約束しました。

今でも、トーマスお義兄様が大好きなエミリーです!!
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