英雄の奥様は…

ルナルオ

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英雄の奥様と姉一家

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 マリロード王国の英雄の奥様スーザン・アバードには姉が1人いる。

 スーザンの姉のエミリー・ムスファは従兄を婿にとって、ムスファ伯爵を継いでいる。
 その姉に娘が生まれた。

「リンディ」と名付けられたスーザンの姉の子はタチアナと同じような魅惑肌で生まれた。

「まあ、やったわー!タチアナのようにぷにっぷにっよー!!これはクリスティーナに報告しないとね!!」と歓喜するカーラ。
 スーザン一家が、生まれた姉の子供に会いに行くのに、何故かサイラスの母親のカーラまでついてきたのであった。

 ちなみに、スーザンの姉、エミリーをはじめとするムスファ伯爵一家は、そのカーラの様子に皆、引いていた。でも、王妹で英雄の母親と身分の高いカーラに失礼な態度はとれないので、皆はスーザンを見つめる。

 スーザン、あなた……。
 大変だったわね。これは聞いていた以上の様子だわ……。

 お姉様!!
 わかっていただけますか!

 とアイコンタクトで会話をして、妹スーザンへ同情し、ねぎらう姉エミリー。
 そんな姉妹のやりとりも気づかず、カーラははしゃいでいた。

「ねえ、スーザン達がこの調子でどんどん美肌の子を量産して、この国を美肌帝国にするのはどうかしら?」とリンディの誕生に興奮状態のカーラ。

「そ、そんな、量産できません!」と答え、カーラを落ち着かせようとするスーザン。

「スーザンを美肌帝国の女帝にしてあげるから!」

 結構です!
 美肌帝国って、どんな国ですか!?
 しかも、女帝??

「でも、スーザンと違って、エミリーさんは魅惑肌ではないのに、よくこんなに魅惑肌の子が生まれたわね~。何か秘密があるのかしら?」

「ああ、それは夫が……、むぐっ」とつい口を滑らせようとしたエミリーは夫のハリーに口を塞がれた。しかし、それを見たカーラはすぐに察した。

「……ふーん、なるほどね。そういえば、エミリーさんの旦那様は確か従兄だったわね。てっきり父方の従兄だと思っていたけど、母方の従兄で、もしかして魅惑肌なのかしら?」と言って、エミリーの夫ハリーの手を素早くぎゅっと握ったカーラ。

「まあ!スーザンに近い!!もう、隠していたのね?」とさらに興奮するカーラに、大きなため息をつくハリー。

 そう、 姉エミリーの夫である従兄のハリーは、父方ではなく、本当の元祖魅惑肌である祖母(スーザンの母方の祖母)の血を引いている母方の従兄であった。

 従兄のハリーは、実はスーザンほどではないが、魅惑肌持ちだった!

 ハリーとエミリーの娘リンディは両親とも、その祖母の血を引くので、ある意味、魅惑肌のサラブレッドであった。
 しかも、エミリーはとても美人で華やかな容姿をしているが、ハリーはスーザンと似た地味で平凡顔で、実は母方の祖母似であった。だから、小さい頃から3人でいると、スーザンはエミリーと姉妹というよりも、ハリーと兄妹に間違えられることが多かったくらいである。

 そして、 ハリーにとっては、魅惑肌を持っていることは、人生においてむしろマイナス要因であった。
 ハリーはモテた。ただし、ハリーの肌に魅せられた男性に……。
 ハリーは子爵家の次男で、貴族の男子が通う寄宿舎制の学校に行っていたが、その学生寮で、多くの男子に襲われそうになって、男嫌いになっていた。

「だから、男は嫌いです。女性はいいですけど、男は私に一切、触らないでください」と、カーラの次にハリーの手を握ろうとしたサイラスはハリーにきっぱり断られた。

「僕も?」と言って、3歳児なのをいいことにあざと可愛く、抱っこしてポーズをとるレオナール。

「……君はまだ大丈夫かな。
 君は私みたいに生まれなくてよかったね、レオナール。
 でも、レオナールが大きくなったら、私に触れるのはやめてね」と言って、レオナールの希望通り抱っこしてあげるハリー。

「わあ、母様やタチアナ姉様と同じくらい気持ちいいね!」とハリーに抱っこされながら、ハリーのことをぷにぷに触るレオナール。

 その様子にサイラスがちょっと不満そうにしていた。

「私は?スーザンの夫なので一応、義弟ですが……」

「嫌です」

「一応、ほら、あー、この国の英雄ですが?」

「それが?嫌なものは嫌ですね。縁切りますよ。
 たとえ身内だろうが、英雄だろうが、本当に男に触られるのが気色悪くて本当に駄目なんですよ」

「そうですか……」とスーザンの肌と比べてみたかったから、がっかりするサイラス。

「ああ、でも、アードナ王国の馬鹿王がいまだに私を後宮に入れたがっているので、あの国を滅ぼしてくださったら、ハグぐらいしてあげますよー」とハリーは黒い笑顔で言ってくる。

 アードナ王国の王は、かつてまだ王太子であった頃に、このマリロード王国に留学していたことがあり、たまたま不幸にもハリーと出会い接触してしまい、惚れてしまった。
 そして、いまだに貢物を送って、ハリーを口説いているハリーの魅惑肌に憑りつかれた憐れな王であった。

「この前は、あの馬鹿王が『妻子ごと、まとめて面倒を見るから、アードナ王国に来い!』とか言ってきて、大変でした。
 このままだとあいつらに娘共々狙われそうなので、サイラス将軍の力で何とかなりませんか?国ごと滅ぼすとか?王の首を獲るとか?暗殺でもいいですよ」

 ど、どうなさったのですか?
 ハリーお義兄様。
 こんな物騒なこと言う方だったかしら?
 アードナ王国に狙われているって……。

 とハリーとサイラスの会話にハラハラしていたスーザン。

「うーん、国を滅ぼすのや国王暗殺は無理ですが、その王の魔の手からくらいなら皆さんを守ってあげます!」と、スーザンの心配にも関わらず、サイラスは喜んで、了承した。

 英雄の奥様は、従兄や姪が魅惑肌で狙われているので、心配する!

 ちなみに、サイラスは有言実行タイプのため、ムスファ伯爵一家は王族並みのセキュリティーをサイラスのおかげで、無事に手に入れたのであった。
 そして、ご褒美にサイラスはハリーに握手をしてもらえた。

 もちろん、サイラスは(やはり、スーザンの方が魅力的な肌だな)と奥様への愛を深めたのであった。
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