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6.女性遍歴
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弥生は首をかしげた。
「ヘタレですか?」
何を持って砂紋のヘタレ宣言なのかもよくわからない。
あんな、亭主関白も真っ青なPRを主張する男が”ヘタレ”とは?
「そうですわ。女性にNOが言えない方ですの。」
それはヘタレかもしれない。
きっぱり言い切った砂紋に、横でなぜか恨めしげに八重垣を睨んでいる佐藤、八重垣は表情が変わらず読めないが、まぁ、いいとして。
「ある意味有名な話ですの。」
「ある意味ですか?」
なぜ、ある意味?
「西園寺の事はどれくらい知ってらして?」
「はっきり言ってまったく。」
佐藤もコクコクと頷いてくれたので知らないのは自分だけじゃないとほっとする。
「西園寺は昔からある名家の一つで政財界、経済界への影響力は高い家ですわ、今は一線を退いておられますが、西園寺正次といえばどんな力のある家でもひれ伏したと言い伝えられる程なんですの。よろしくて、ここから先に話すことは外部に漏らせば消されるとお思いになって。」
いやいや、そんな話しないでくださいとは到底いえる雰囲気じゃなく3人とも神妙にうなずく。
ただ、本当にそんな凄い家の人間がマッチングに登録するだろうか?
「そして、格式高いだけではありませんわ、アルファ、オメガの誕生率が異様に高い家ですの。」
ますます以って分からない。
名家程バース性にこだわるから、望むバース性の誕生率が高いというなら引く手のはずだ。
「そんな家なら婚約者がいるんじゃあ」
「いましたわ。」
「やっぱり!」
「破棄されましたわ。」
「「え?」」
運ばれてきた先付けを食べ始めていた佐藤も驚きが隠せなかった。
変な所に入ったのか咽せる。
水を差し出しながら、背中をさすってやる。
「破棄ですか?相手の方と合わなかったとか?」
昔からの名家
政財界、経済界に影響力のあるセレブ
これだけでも結婚条件としてはかなりいい線行ってる気がする。
「ある意味そうですわね、だってお相手が駆け落ちしてしまいましたもの。」
「駆け落ち?」
「お相手はオメガの女性でこちらも名家出身、ところが女性の方は蝶よ花よと育てられた上に屋敷の外を知らなかったんですわ、色々学びたいと希望されて、それを婚約者の蒼紫さんが全面的に援助して海外留学までお世話したんですの。」
「へぇ~」
「なんかいい話ですね。」
「そのまま結婚までいけば”いい話”で済んだんですわ。」
「あ、駆け落ち?」
「あろう事か海外で知り合ったアルファと駆け落ちしてしまいましたの、相手には既に妻子がいたと聞いてますわ。」
それは、何と言うか
「よく問題にならなかったですね。」
佐藤はズバッと切り込む
「大問題に決まっているではありませんの、ですが、西園寺側が慰謝料のみで今後この件に関してはお互い触れないと言うことで引き下がりましたの。」
裏切られたって大激怒しそうだけど、いや取引停止とか会社に悪影響が出るやり方で報復したとか?
「それもありませんわ。」
「え?」
「声に出ていましてよ。」
まずいと口を押さえた。
「蒼紫さん自身は仕方ないと諦めていたようですが、収まりがつかなかったのは、祖父であられる会長の方ですわ、蒼紫さんがあまりに相手を庇うものですから、いつ潰れてもおかしくない子会社に飛ばされた上、西園寺の次期総帥候補からも外されましたの。」
うわぁ~と思っていると「それから」と続く。
「まだあるの!?」
「ふん、序ノ口ですわ。」
聞きたい様な聞きたくない様な、これ個人情報だよな、と今更ながらに思うが話は止まらない。
2人目からは~から始まり、5人目位には、せっかくの料理は口に運んでもないのに食べる気がまったくなくなっていた。
しかし、聞けば聞くほどお人好しと言うか、女性運がないと言うか。
夜の生活云々はまぁ相性もあるだろうが、軒並みとは気の毒すぎる。
しかも、覇気がないだの男らしくないなんてその人自体を否定して別れるなんて何を考えているんだろう。
「ですが、最後ほど気の毒なことはありませんわ。」
20人ほどが終わり、最後……やっと最後。
「あなた、顔に出てましてよ。」
「うっ、すみません。」
ちなみに話の中盤から佐藤は食べながら悟りを開いていた。
裏切り者め。
「最後の女性は流石にこの私でもありえないと思いましたの。」
聞く限り金銭目的でやりたい放題、わがまま言い放題していた彼女達でもありえないとは思うが、これ以上ありえないとはどんな女性なのか。
「親族筋からの紹介とはいえ、散財し放題、浮気し放題、頭の中お花畑な上にありえない汚名を着せて、浮気相手のアルファと糾弾した上に婚約破棄ですわ。」
「トリプルコンボ。」
テンポよくつい口に出てしまったが、まさしくその一言だった。
「それだけじゃありませんわよ、相手のアルファは蒼紫さんの会社社員でしたの、婚約破棄したその後にその社員を西園寺家の幹部にしろと要求してきたと聞きましたわ。」
「え~と、女性が?それともアルファの方が?」
「女の方ですわ」
もう上品に呼ぶ必要なしと呼び方が女に変わった。
「その人、西園寺に対してそこまで発言力というか影響力がある人なんですか?」
「ありませんわよ、言いましたでしょ頭の中お花畑って、なんせご実家でも持て余し気味だったという話ですもの。」
「災難」
「災難どころか、潰れそうだった会社を今や押しも押されもせぬ大企業まで育て上げた蒼紫さんにとって災厄でしかない存在でしてよ。何せ婚約中には経営にさえ口出ししてその大企業を潰しそうになった女ですのよ。」
なんだろう、この女運のなさ、不幸通り越して不遇なんだけど。
「なんかもう気の毒すぎる。」
両手で顔を押さえてうなだれる。
食後のお茶をすすりながら佐藤は「でも、今の話の人と今回の相手同じ人とは限らないですよ。」といかにもな事を言った。
「おお!たしかに。同姓同名の別人の可能性もあるな」
なんせ、いいように女に転がされまくっている男があんなPRを書くだろうか。
答えは否な気がする。
「その望みは薄いですわね。」
佐藤はちょっとむっとしたのか、エネルギーチャージが終わってすぐ切り返した。
「何でですか?」
「女の災難は外部だけではないということでしてよ。」
「あはは、まさか」
「そのまさかですわ。」
「え?マジ?」
「佐藤君、素が出てる、素が。」
「お母様の方はまともで問題ないんですけど、妹が問題ですわ。」
「……公文書偽造」
「佐藤君?」
「今回のマッチングの書類、もし、その妹が作成した場合公文書偽造になります。」
「そうなの?」
「もう一つの、一般のマッチングの方はまだいいんです。でも、弥生さんの方は特別枠で、国が力を入れてるんで公文書扱いになります。PRが書かれてるマッチングの用紙の方でさえ、うそが書かれていれば詐欺罪、そしてもう一つ公正証書の記入が公文書偽造罪に問われます。」
「じゃあ」
「PRでお相手の皆さんに本人がフル無視されるのはまだいいとして、妹の方は犯罪歴がつくのは勿論、知ってて黙ってた蒼紫って人もただじゃすみません。」
「なんか、トリプルどころかフルコンボいったな。」
気の毒と思うが会った事さえない上に、取り巻く環境がひどすぎる。
悪いが巻き込まれないようにしないと、既に間接的に被害を受けているのにさらに被害が拡大しそうだ。
「そうですわ、ちなみに」
「まだあんの!?」
「エントランスのピンクがトリプルコンボの元婚約者ですわ。」
もう、うわぁ~、という感想しか出てこない。
「ヘタレですか?」
何を持って砂紋のヘタレ宣言なのかもよくわからない。
あんな、亭主関白も真っ青なPRを主張する男が”ヘタレ”とは?
「そうですわ。女性にNOが言えない方ですの。」
それはヘタレかもしれない。
きっぱり言い切った砂紋に、横でなぜか恨めしげに八重垣を睨んでいる佐藤、八重垣は表情が変わらず読めないが、まぁ、いいとして。
「ある意味有名な話ですの。」
「ある意味ですか?」
なぜ、ある意味?
「西園寺の事はどれくらい知ってらして?」
「はっきり言ってまったく。」
佐藤もコクコクと頷いてくれたので知らないのは自分だけじゃないとほっとする。
「西園寺は昔からある名家の一つで政財界、経済界への影響力は高い家ですわ、今は一線を退いておられますが、西園寺正次といえばどんな力のある家でもひれ伏したと言い伝えられる程なんですの。よろしくて、ここから先に話すことは外部に漏らせば消されるとお思いになって。」
いやいや、そんな話しないでくださいとは到底いえる雰囲気じゃなく3人とも神妙にうなずく。
ただ、本当にそんな凄い家の人間がマッチングに登録するだろうか?
「そして、格式高いだけではありませんわ、アルファ、オメガの誕生率が異様に高い家ですの。」
ますます以って分からない。
名家程バース性にこだわるから、望むバース性の誕生率が高いというなら引く手のはずだ。
「そんな家なら婚約者がいるんじゃあ」
「いましたわ。」
「やっぱり!」
「破棄されましたわ。」
「「え?」」
運ばれてきた先付けを食べ始めていた佐藤も驚きが隠せなかった。
変な所に入ったのか咽せる。
水を差し出しながら、背中をさすってやる。
「破棄ですか?相手の方と合わなかったとか?」
昔からの名家
政財界、経済界に影響力のあるセレブ
これだけでも結婚条件としてはかなりいい線行ってる気がする。
「ある意味そうですわね、だってお相手が駆け落ちしてしまいましたもの。」
「駆け落ち?」
「お相手はオメガの女性でこちらも名家出身、ところが女性の方は蝶よ花よと育てられた上に屋敷の外を知らなかったんですわ、色々学びたいと希望されて、それを婚約者の蒼紫さんが全面的に援助して海外留学までお世話したんですの。」
「へぇ~」
「なんかいい話ですね。」
「そのまま結婚までいけば”いい話”で済んだんですわ。」
「あ、駆け落ち?」
「あろう事か海外で知り合ったアルファと駆け落ちしてしまいましたの、相手には既に妻子がいたと聞いてますわ。」
それは、何と言うか
「よく問題にならなかったですね。」
佐藤はズバッと切り込む
「大問題に決まっているではありませんの、ですが、西園寺側が慰謝料のみで今後この件に関してはお互い触れないと言うことで引き下がりましたの。」
裏切られたって大激怒しそうだけど、いや取引停止とか会社に悪影響が出るやり方で報復したとか?
「それもありませんわ。」
「え?」
「声に出ていましてよ。」
まずいと口を押さえた。
「蒼紫さん自身は仕方ないと諦めていたようですが、収まりがつかなかったのは、祖父であられる会長の方ですわ、蒼紫さんがあまりに相手を庇うものですから、いつ潰れてもおかしくない子会社に飛ばされた上、西園寺の次期総帥候補からも外されましたの。」
うわぁ~と思っていると「それから」と続く。
「まだあるの!?」
「ふん、序ノ口ですわ。」
聞きたい様な聞きたくない様な、これ個人情報だよな、と今更ながらに思うが話は止まらない。
2人目からは~から始まり、5人目位には、せっかくの料理は口に運んでもないのに食べる気がまったくなくなっていた。
しかし、聞けば聞くほどお人好しと言うか、女性運がないと言うか。
夜の生活云々はまぁ相性もあるだろうが、軒並みとは気の毒すぎる。
しかも、覇気がないだの男らしくないなんてその人自体を否定して別れるなんて何を考えているんだろう。
「ですが、最後ほど気の毒なことはありませんわ。」
20人ほどが終わり、最後……やっと最後。
「あなた、顔に出てましてよ。」
「うっ、すみません。」
ちなみに話の中盤から佐藤は食べながら悟りを開いていた。
裏切り者め。
「最後の女性は流石にこの私でもありえないと思いましたの。」
聞く限り金銭目的でやりたい放題、わがまま言い放題していた彼女達でもありえないとは思うが、これ以上ありえないとはどんな女性なのか。
「親族筋からの紹介とはいえ、散財し放題、浮気し放題、頭の中お花畑な上にありえない汚名を着せて、浮気相手のアルファと糾弾した上に婚約破棄ですわ。」
「トリプルコンボ。」
テンポよくつい口に出てしまったが、まさしくその一言だった。
「それだけじゃありませんわよ、相手のアルファは蒼紫さんの会社社員でしたの、婚約破棄したその後にその社員を西園寺家の幹部にしろと要求してきたと聞きましたわ。」
「え~と、女性が?それともアルファの方が?」
「女の方ですわ」
もう上品に呼ぶ必要なしと呼び方が女に変わった。
「その人、西園寺に対してそこまで発言力というか影響力がある人なんですか?」
「ありませんわよ、言いましたでしょ頭の中お花畑って、なんせご実家でも持て余し気味だったという話ですもの。」
「災難」
「災難どころか、潰れそうだった会社を今や押しも押されもせぬ大企業まで育て上げた蒼紫さんにとって災厄でしかない存在でしてよ。何せ婚約中には経営にさえ口出ししてその大企業を潰しそうになった女ですのよ。」
なんだろう、この女運のなさ、不幸通り越して不遇なんだけど。
「なんかもう気の毒すぎる。」
両手で顔を押さえてうなだれる。
食後のお茶をすすりながら佐藤は「でも、今の話の人と今回の相手同じ人とは限らないですよ。」といかにもな事を言った。
「おお!たしかに。同姓同名の別人の可能性もあるな」
なんせ、いいように女に転がされまくっている男があんなPRを書くだろうか。
答えは否な気がする。
「その望みは薄いですわね。」
佐藤はちょっとむっとしたのか、エネルギーチャージが終わってすぐ切り返した。
「何でですか?」
「女の災難は外部だけではないということでしてよ。」
「あはは、まさか」
「そのまさかですわ。」
「え?マジ?」
「佐藤君、素が出てる、素が。」
「お母様の方はまともで問題ないんですけど、妹が問題ですわ。」
「……公文書偽造」
「佐藤君?」
「今回のマッチングの書類、もし、その妹が作成した場合公文書偽造になります。」
「そうなの?」
「もう一つの、一般のマッチングの方はまだいいんです。でも、弥生さんの方は特別枠で、国が力を入れてるんで公文書扱いになります。PRが書かれてるマッチングの用紙の方でさえ、うそが書かれていれば詐欺罪、そしてもう一つ公正証書の記入が公文書偽造罪に問われます。」
「じゃあ」
「PRでお相手の皆さんに本人がフル無視されるのはまだいいとして、妹の方は犯罪歴がつくのは勿論、知ってて黙ってた蒼紫って人もただじゃすみません。」
「なんか、トリプルどころかフルコンボいったな。」
気の毒と思うが会った事さえない上に、取り巻く環境がひどすぎる。
悪いが巻き込まれないようにしないと、既に間接的に被害を受けているのにさらに被害が拡大しそうだ。
「そうですわ、ちなみに」
「まだあんの!?」
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もう、うわぁ~、という感想しか出てこない。
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