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拾遺録4 帰りたい場所
20 協議会が終わって(エミリア視点)
あの『ナイケの審判』から6日後。
ナイケの審判で中断した協議会の続きを、やっと開催することが出来た。
これでもかなり早く開催できた方だと、私は思っている。
ナイケ教会の不正行為が明らかになった結果起きた、教育局内の大騒動を考えれば。
前回の協議会でのテロ容疑事案捜査では、結局真犯人まで辿り着けなかった。
しかしその後、今回の件に関連して、大量検挙が続いたのだ。
○ 審判の際に起こそうとしたテロの被疑者9名
○ リディナ氏が泊まっているスリワラ伯爵の王都屋敷を襲撃しようとした15名
○ スリワラ領にあるリディナ氏の家を襲撃した12名
よくもこれだけの容疑者を確保出来たなと思う。
それも被害者を出す事なく。
おそらくはそれなりの体勢が取られていたのだろう。
私が知らないところで、きっと。
そして、これらの者を捜査した結果、とうとうナイケ教会にたどり着いた。
直ちにナイケ教会に強制捜査が行われて、関係者を確保。
それらの者を心理魔法により自白させた結果、ナイケ教会による組織的犯行が明らかになった。
更なる捜査の為、ナイケ教会は現在、活動停止中。
関係者は関連度合いに応じて逮捕されたり、謹慎処分となったりしている。
今日の協議会にも、貴族院の教育担当部会員5名と国立学校の校長4名は欠席。
傍聴席にもナイケ教会関係者はいない。
義務教育推進室員はナイケ教会色を排除して選んだ者ばかりなので、直接の問題はなかった。
しかし教育局員の2割くらいはナイケ教会との関わりを指摘されて、拘置中または謹慎中。
しかもその2割のほとんどが、貴族で役職持ちだったりする。
教育局局長のハヌウラ伯爵を筆頭にして。
おかげで局長官房から庶務、その他国立学校関連を中心として大混乱だ。
結果、協議会を今日開催するのも、やっとという状態。
ただ邪魔者が消えた協議会は、今までの抵抗が嘘だったかのように話が進んだ。
そして……
「それでは、以上で本協議会を閉会とする」
教育局の出した試案が全面的に認められたところで、無事協議会は終了した。
とりあえず、ほっと一息ついていいだろう。
もちろん推進室の業務はこれで終わりでは無い。むしろこれから、もっと忙しくなる。
議会に提出する法案の策定、モデル校の設置関係。そういった具体的な業務が山ほど詰まっている。
それでも今日くらいは、協議会の成功を祝ってのんびりしてもいいだろうと思う。
ただその前に、私はもう一仕事しなければならない。
エクセスタ伯爵に指示された、とある仕事を。
冒険者ギルドを代表して出席して頂いたタウフェン公爵や、
司会を務めて頂いた、実は私の元上司でもあるパナヴィア首席監察官をはじめとするお客様に挨拶した後。
「それでは、行って参ります」
「ええ、頼みます」
上司のエクセスタ伯爵に挨拶して、私は会議室から控え室へ。
リディナが待っていた。
「申し訳ありません。お待ち頂きまして」
まだ公的な場所だし、誰の目があるかもわからない。
だからここはまだ、公的な態度と言葉で。
「いえ、こちらこそ。それでは申し訳ありませんが手を繋いでいただけますか」
リディナも公的な話し方だなと思いつつ、言われた通り、私は彼女と手を繋ぐ。
「それでは目を瞑って、そのまま三歩、前に歩いて下さい」
言われた通りに目を瞑って、三歩歩いた次の瞬間。
明らかに空気が変わった。風を感じる。
国王庁三階にいた筈なのに、今いるのは外だ。
何処にいるかもすぐにわかる。
王立学校近くの、川沿いの公園。
学生時代にテイクアウトの店に出かけた帰りによく寄って、買ったピタパンのサンドイッチを食べた場所。
そして学校をやめたリディナと再会して、魔法の話を聞いた場所でもある。
「ごめん。近くて人が少ない場所って、ここしか思いつかなかった。最近王都に来ていなくてあまり場所を知らないし、移動魔法はあまり得意じゃないから」
これはむしろ、別の事で私が驚くべきところだ。
「移動魔法で移動させることが出来る者は、自分一人か、同じ乗り物に乗っている者だけと聞いています。手を繋いだだけの他人を一緒に移動させるというのは、かなり高等な技術なのではないでしょうか」
「その辺は慣れかな。得意ではないけれど、何十回も使ったから出来るようになっただけで。それで何処かいいお店、知ってる?」
リディナには事前に、こう伝えてある。
『この後、軽食でも食べながら少し話をしたいので、少し待って頂けますでしょうか』
そしてここに来たのなら、やっぱりあのお店だろう。
「あのピタパンサンドイッチのお店の、2階はどうでしょうか。まだ授業時間中ですので、生徒は出てきていないと思います」
そう、学生時代に何度も一緒に通った、あの店だ。
◇◇◇
しばらくこないうちに、システムが変わっていたようだ。
中で飲食する際も、セルフサービス形式になっていた。
店内で飲食する際は、1階で食べ物を買って、2階の席まで自分で持っていくという仕組み。
私は林檎バターのピタパンサンド、リディナは鶏肉青菜炒めのサンドにチーズを追加。
ドリンクは二人ともアイスティを選んで、それぞれお盆を持って二階への階段を上る。
「このお店、セルフサービスになっていたんですね」
「ここのおばさんももう歳だしね。学校が終わると忙しくなるから、省力化出来るようにしたんでしょ」
階段を上りきった先の客室には、他に客はいない。
「まだ学校が終わっていない時間だからでしょうか」
「でも学生だった頃も、テイクアウトがほとんどだったよね」
「確かにそうでした」
リディナの言う通り、学生時代に来た時は、テイクアウトして公園で食べたり、寮へ持ち帰るのが普通だった。
お店の中で食べるのは、試験終了祝い等で仲間内のパーティをする時位だ。
当時の学校はエールダリア教会がうるさくて、寮や学校で学生だけのパーティなんて出来なかった。
だからそういった時だけ、お店でやったのだ。
誰もいないので、好きな席が選べる。
だから窓際、川と公園が見える特等席のテーブルへ。
お盆を置いて、着席して。
そしてリディナの選んだメニューに、つい過去を思い出す。
「そう言えばリディナ、昔もその、鶏肉青菜炒めにチーズ追加で頼んでましたね」
「これが一番お腹にしっかり入る気がするからね。ミリィは甘いものにしたんだね」
「ええ。最近は食事の時間以外は、こういったものの方が好みになりました」
そう言えば昔は、揚げ鶏や豚肉薄切りといった肉系が好みだった。
ただ今はこの時間にそんなものを食べると、少しもたれてしまうのだ。
あれから10歳ちょっと歳をとったし、を昔ほど身体を動かさなくなったからだろう。
そしてリディナは昔と同じ注文をした。
それだけまだ身体を動かしているし、身体年齢が若いという事だろうか。
そうかもしれない、と私は思う。
審判であれだけの戦いをする事が出来るのだから。
私には残念ながら、凄いという以上の事はわからなかったけれど。
「それで教育局の方は大丈夫? 新聞なんかを見ると、色々あったようだけれど」
リディナの質問に私は頷く。
「ええ。まだ若干混乱はあります。ただし物事が進みやすくもなりました」
教育局局長だったハヌウラ伯爵は、今回の件で謹慎中だ。
これはナイケ教会との癒着が明らかになったから。おそらくこのまま勇退となるだろう。
現在のトップは、次長でありこの義務教育をナイケ教会抜きで推進していたエクセスタ伯爵。
協議会を何とか今日再開出来たのは、その次長がこの協議会関係の事務を最優先してくれたおかげだ。
もちろんトップ以外にも捜査及び人事処分の手は及んでいる。
拘置中または謹慎中の職員は懲戒免職か諭旨免職となるだろう。
そうでなくともナイケ教会寄りに動いていた職員は、左遷されたり他局へ異動したりする予定だ。
ただ、この辺の調査結果が出るのが予想以上に早いように感じられる。
まるでこうなる事が、あらかじめわかっていたかのように。
ナイケの審判で中断した協議会の続きを、やっと開催することが出来た。
これでもかなり早く開催できた方だと、私は思っている。
ナイケ教会の不正行為が明らかになった結果起きた、教育局内の大騒動を考えれば。
前回の協議会でのテロ容疑事案捜査では、結局真犯人まで辿り着けなかった。
しかしその後、今回の件に関連して、大量検挙が続いたのだ。
○ 審判の際に起こそうとしたテロの被疑者9名
○ リディナ氏が泊まっているスリワラ伯爵の王都屋敷を襲撃しようとした15名
○ スリワラ領にあるリディナ氏の家を襲撃した12名
よくもこれだけの容疑者を確保出来たなと思う。
それも被害者を出す事なく。
おそらくはそれなりの体勢が取られていたのだろう。
私が知らないところで、きっと。
そして、これらの者を捜査した結果、とうとうナイケ教会にたどり着いた。
直ちにナイケ教会に強制捜査が行われて、関係者を確保。
それらの者を心理魔法により自白させた結果、ナイケ教会による組織的犯行が明らかになった。
更なる捜査の為、ナイケ教会は現在、活動停止中。
関係者は関連度合いに応じて逮捕されたり、謹慎処分となったりしている。
今日の協議会にも、貴族院の教育担当部会員5名と国立学校の校長4名は欠席。
傍聴席にもナイケ教会関係者はいない。
義務教育推進室員はナイケ教会色を排除して選んだ者ばかりなので、直接の問題はなかった。
しかし教育局員の2割くらいはナイケ教会との関わりを指摘されて、拘置中または謹慎中。
しかもその2割のほとんどが、貴族で役職持ちだったりする。
教育局局長のハヌウラ伯爵を筆頭にして。
おかげで局長官房から庶務、その他国立学校関連を中心として大混乱だ。
結果、協議会を今日開催するのも、やっとという状態。
ただ邪魔者が消えた協議会は、今までの抵抗が嘘だったかのように話が進んだ。
そして……
「それでは、以上で本協議会を閉会とする」
教育局の出した試案が全面的に認められたところで、無事協議会は終了した。
とりあえず、ほっと一息ついていいだろう。
もちろん推進室の業務はこれで終わりでは無い。むしろこれから、もっと忙しくなる。
議会に提出する法案の策定、モデル校の設置関係。そういった具体的な業務が山ほど詰まっている。
それでも今日くらいは、協議会の成功を祝ってのんびりしてもいいだろうと思う。
ただその前に、私はもう一仕事しなければならない。
エクセスタ伯爵に指示された、とある仕事を。
冒険者ギルドを代表して出席して頂いたタウフェン公爵や、
司会を務めて頂いた、実は私の元上司でもあるパナヴィア首席監察官をはじめとするお客様に挨拶した後。
「それでは、行って参ります」
「ええ、頼みます」
上司のエクセスタ伯爵に挨拶して、私は会議室から控え室へ。
リディナが待っていた。
「申し訳ありません。お待ち頂きまして」
まだ公的な場所だし、誰の目があるかもわからない。
だからここはまだ、公的な態度と言葉で。
「いえ、こちらこそ。それでは申し訳ありませんが手を繋いでいただけますか」
リディナも公的な話し方だなと思いつつ、言われた通り、私は彼女と手を繋ぐ。
「それでは目を瞑って、そのまま三歩、前に歩いて下さい」
言われた通りに目を瞑って、三歩歩いた次の瞬間。
明らかに空気が変わった。風を感じる。
国王庁三階にいた筈なのに、今いるのは外だ。
何処にいるかもすぐにわかる。
王立学校近くの、川沿いの公園。
学生時代にテイクアウトの店に出かけた帰りによく寄って、買ったピタパンのサンドイッチを食べた場所。
そして学校をやめたリディナと再会して、魔法の話を聞いた場所でもある。
「ごめん。近くて人が少ない場所って、ここしか思いつかなかった。最近王都に来ていなくてあまり場所を知らないし、移動魔法はあまり得意じゃないから」
これはむしろ、別の事で私が驚くべきところだ。
「移動魔法で移動させることが出来る者は、自分一人か、同じ乗り物に乗っている者だけと聞いています。手を繋いだだけの他人を一緒に移動させるというのは、かなり高等な技術なのではないでしょうか」
「その辺は慣れかな。得意ではないけれど、何十回も使ったから出来るようになっただけで。それで何処かいいお店、知ってる?」
リディナには事前に、こう伝えてある。
『この後、軽食でも食べながら少し話をしたいので、少し待って頂けますでしょうか』
そしてここに来たのなら、やっぱりあのお店だろう。
「あのピタパンサンドイッチのお店の、2階はどうでしょうか。まだ授業時間中ですので、生徒は出てきていないと思います」
そう、学生時代に何度も一緒に通った、あの店だ。
◇◇◇
しばらくこないうちに、システムが変わっていたようだ。
中で飲食する際も、セルフサービス形式になっていた。
店内で飲食する際は、1階で食べ物を買って、2階の席まで自分で持っていくという仕組み。
私は林檎バターのピタパンサンド、リディナは鶏肉青菜炒めのサンドにチーズを追加。
ドリンクは二人ともアイスティを選んで、それぞれお盆を持って二階への階段を上る。
「このお店、セルフサービスになっていたんですね」
「ここのおばさんももう歳だしね。学校が終わると忙しくなるから、省力化出来るようにしたんでしょ」
階段を上りきった先の客室には、他に客はいない。
「まだ学校が終わっていない時間だからでしょうか」
「でも学生だった頃も、テイクアウトがほとんどだったよね」
「確かにそうでした」
リディナの言う通り、学生時代に来た時は、テイクアウトして公園で食べたり、寮へ持ち帰るのが普通だった。
お店の中で食べるのは、試験終了祝い等で仲間内のパーティをする時位だ。
当時の学校はエールダリア教会がうるさくて、寮や学校で学生だけのパーティなんて出来なかった。
だからそういった時だけ、お店でやったのだ。
誰もいないので、好きな席が選べる。
だから窓際、川と公園が見える特等席のテーブルへ。
お盆を置いて、着席して。
そしてリディナの選んだメニューに、つい過去を思い出す。
「そう言えばリディナ、昔もその、鶏肉青菜炒めにチーズ追加で頼んでましたね」
「これが一番お腹にしっかり入る気がするからね。ミリィは甘いものにしたんだね」
「ええ。最近は食事の時間以外は、こういったものの方が好みになりました」
そう言えば昔は、揚げ鶏や豚肉薄切りといった肉系が好みだった。
ただ今はこの時間にそんなものを食べると、少しもたれてしまうのだ。
あれから10歳ちょっと歳をとったし、を昔ほど身体を動かさなくなったからだろう。
そしてリディナは昔と同じ注文をした。
それだけまだ身体を動かしているし、身体年齢が若いという事だろうか。
そうかもしれない、と私は思う。
審判であれだけの戦いをする事が出来るのだから。
私には残念ながら、凄いという以上の事はわからなかったけれど。
「それで教育局の方は大丈夫? 新聞なんかを見ると、色々あったようだけれど」
リディナの質問に私は頷く。
「ええ。まだ若干混乱はあります。ただし物事が進みやすくもなりました」
教育局局長だったハヌウラ伯爵は、今回の件で謹慎中だ。
これはナイケ教会との癒着が明らかになったから。おそらくこのまま勇退となるだろう。
現在のトップは、次長でありこの義務教育をナイケ教会抜きで推進していたエクセスタ伯爵。
協議会を何とか今日再開出来たのは、その次長がこの協議会関係の事務を最優先してくれたおかげだ。
もちろんトップ以外にも捜査及び人事処分の手は及んでいる。
拘置中または謹慎中の職員は懲戒免職か諭旨免職となるだろう。
そうでなくともナイケ教会寄りに動いていた職員は、左遷されたり他局へ異動したりする予定だ。
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