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第26章 冬合宿は続く
第219話 危険な香り
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翌日。ロースト鹿肉メインの朝食を食べ、猪魔獣を解体した後。いよいよヨーコ先輩とシンハ君お待ちかねのソーセージ祭りだ。
前回と同様挽肉作成用のミンサーは粗挽き用と通常用の2種類。詰めるための器具も7セット準備した。この辺は前回作ったので製作方法を憶えている。
更に猿魔獣《ヒバゴン》の魔石を使った乾燥機と簡易燻煙機も準備した。この辺は皮をパリッとさせるには必需品。茹でるための大鍋も準備完了。
ケチャップとマスタードとレモン汁は予め家の店で買ってきてある。ハーブや香辛料、岩塩等も出しておいた。ここまで準備してあれば後は皆さん勝手にやってくれるだろう。
うちの連中は夏にやったから大体作り方は憶えている筈だ。オマーチの3人は先輩方やナカさん等お節介なのが教えるから心配いらない。
全員が制作体勢に入ったところで俺も作戦開始。今回目指すのはサラミ風ソーセージに挑戦だ。要は心持ち脂身多め粗めの挽肉を使って、乾かして燻製して乾かせばいい筈だ。
岩塩混ぜてハーブ混ぜて胡椒を贅沢に入れて日常魔法で冷やしながら混ぜる。今度は水というか氷はほとんど入れない。少しは入れてもいいらしいけれど。
ほどよく詰めて詰めて詰めてちょい長めに結んで、乾燥機の端に入れておく。
この頃になるとソーセージ完成品第一弾が出回り始めた。基本的なソーセージと爽やかなレモンの香りがするソーセージの2種類だ。
これの作成者はナカさん。オマーチ勢に見本として作ったもののようだ。売り物のような完成度で売り物以上に美味しい。
「これは贅沢な味がします。普通のお肉とは大分違いますね」
「自作できるとは思いませんでした」
「買うと結構高いですよね」
「でも前に食べたものより美味しい気がします」
この世界は魔法で冷蔵・冷凍が出来るから加工食品は保存食ではなく嗜好品扱い。だからソーセージも普通の生肉や冷凍肉より遙かに高価だ。
でも今ここで自作しているソーセージも材料は市販の高級品と変わらない。新鮮な猪魔獣《オツコト》を使っている分むしろ贅沢な位だろう。
美味しくないわけはないのだ。普通に作れば。
見ると皆さんそれぞれ色々個性あるものを作っている。
ヨーコ先輩はあえて腸の太い部分を使っているようだ。地球で言うところのボロニアソーセージ風だろうか。
あれは作り方がちょっと違った気もするけれどよく知らない。まあ試行してみて成功すれば面白いだろうけれど。
タカス君とフルエさん作成のチーズ入りは確かに美味しいかもしれない。フールイ先輩は丁寧な本格派風を燻製中。他の皆さんも楽しそうに作っている。
ミド・リーのはあえて見ないでおこう。俺の精神衛生の為に。
燻製機には作成中のソーセージの他、ゆで卵やチーズが入っている。今回はフールイ先輩が仕込んでおいてくれたようだ。
そう言えば塩漬け中の鹿のバラ肉があったな。あれを燻製にしてベーコンにするといいかもしれない。
冷蔵庫から塩漬け中の塊のうち1つを取り出す。鑑定魔法で確認すると1時間くらい塩抜きすればちょうどよさそうだ。薄い塩水に浸して塩抜き開始。
そんな作業を色々やっていると知らないうちに時間が経っていく。ソーセージ作りには待ち時間も多い。乾燥だの燻製だの茹で上げだの。
その待ち時間に色々なものを作ったり食べたり話をしたりする訳だ。ピザを焼いたりスパゲティが出来たり。
つまりはソーセージを作りながらだらだら宴会をしている感じになる。俺も冗談でハンバーガーを作ったが意外と評判が良かった。パテ2枚にチーズ2枚、生野菜、俺特製ソース入りのビ●クマック風。パンがバンズでは無く肉が猪魔獣肉だからマク●ナルドとは大分違うけれど。
9腕以上が2組あった小腸がほぼ無くなりかけた頃だった。
「そう言えば夏に作ったジャンクな食べ物はやらないのか」
フルエさんがとんでもない事を言う。なかなかの誘惑だ。しかし気を強く持ってこう言っておこう。
「今日はやめておこう。ソーセージの日だし」
「私思うにアレはソーセージとも合うような気がするのだ」
確かにあいそうだ。というか間違いなくあう。
「でもソーセージだけでも……ちょっと危険です」
ナカさん、止める。危険というのはカロリーの事だろう。ただでさえ肉祭り連戦にソーセージ宴会なのだ。どう考えてもカロリー過多。
しかし。
「ジャンクな食べ物とはどういう物ですか」
ミナミさんに聞かれてしまった。
「ふふふふふ、食べると止まらなくなる悪魔な食べ物なのだ。そろそろソーセージ作りにも飽きたから作ってみるのだ」
おい待て悪の伝道師。
「作り方はしっかり憶えているのだ。ジャガイモもニンニクも塩もあるのだ。猪魔獣の脂身があるから油にも困らないのだ。あとは実行あるのみなのだ」
確かに。こう見えてフルエさん、案外器用で料理は上手いのだ。仕方無い。ここは妥協しよう。
「飲み物の方だけは俺が作りましょう。でもイモと脂身には手を貸しません」
「問題無いのだ。それでは作るのだ」
ああ、とナカさんが天井を仰ぎ見る。
もう遅い。一方的に賽は投げられてしまった。あとは野となれ山となれ……
前回と同様挽肉作成用のミンサーは粗挽き用と通常用の2種類。詰めるための器具も7セット準備した。この辺は前回作ったので製作方法を憶えている。
更に猿魔獣《ヒバゴン》の魔石を使った乾燥機と簡易燻煙機も準備した。この辺は皮をパリッとさせるには必需品。茹でるための大鍋も準備完了。
ケチャップとマスタードとレモン汁は予め家の店で買ってきてある。ハーブや香辛料、岩塩等も出しておいた。ここまで準備してあれば後は皆さん勝手にやってくれるだろう。
うちの連中は夏にやったから大体作り方は憶えている筈だ。オマーチの3人は先輩方やナカさん等お節介なのが教えるから心配いらない。
全員が制作体勢に入ったところで俺も作戦開始。今回目指すのはサラミ風ソーセージに挑戦だ。要は心持ち脂身多め粗めの挽肉を使って、乾かして燻製して乾かせばいい筈だ。
岩塩混ぜてハーブ混ぜて胡椒を贅沢に入れて日常魔法で冷やしながら混ぜる。今度は水というか氷はほとんど入れない。少しは入れてもいいらしいけれど。
ほどよく詰めて詰めて詰めてちょい長めに結んで、乾燥機の端に入れておく。
この頃になるとソーセージ完成品第一弾が出回り始めた。基本的なソーセージと爽やかなレモンの香りがするソーセージの2種類だ。
これの作成者はナカさん。オマーチ勢に見本として作ったもののようだ。売り物のような完成度で売り物以上に美味しい。
「これは贅沢な味がします。普通のお肉とは大分違いますね」
「自作できるとは思いませんでした」
「買うと結構高いですよね」
「でも前に食べたものより美味しい気がします」
この世界は魔法で冷蔵・冷凍が出来るから加工食品は保存食ではなく嗜好品扱い。だからソーセージも普通の生肉や冷凍肉より遙かに高価だ。
でも今ここで自作しているソーセージも材料は市販の高級品と変わらない。新鮮な猪魔獣《オツコト》を使っている分むしろ贅沢な位だろう。
美味しくないわけはないのだ。普通に作れば。
見ると皆さんそれぞれ色々個性あるものを作っている。
ヨーコ先輩はあえて腸の太い部分を使っているようだ。地球で言うところのボロニアソーセージ風だろうか。
あれは作り方がちょっと違った気もするけれどよく知らない。まあ試行してみて成功すれば面白いだろうけれど。
タカス君とフルエさん作成のチーズ入りは確かに美味しいかもしれない。フールイ先輩は丁寧な本格派風を燻製中。他の皆さんも楽しそうに作っている。
ミド・リーのはあえて見ないでおこう。俺の精神衛生の為に。
燻製機には作成中のソーセージの他、ゆで卵やチーズが入っている。今回はフールイ先輩が仕込んでおいてくれたようだ。
そう言えば塩漬け中の鹿のバラ肉があったな。あれを燻製にしてベーコンにするといいかもしれない。
冷蔵庫から塩漬け中の塊のうち1つを取り出す。鑑定魔法で確認すると1時間くらい塩抜きすればちょうどよさそうだ。薄い塩水に浸して塩抜き開始。
そんな作業を色々やっていると知らないうちに時間が経っていく。ソーセージ作りには待ち時間も多い。乾燥だの燻製だの茹で上げだの。
その待ち時間に色々なものを作ったり食べたり話をしたりする訳だ。ピザを焼いたりスパゲティが出来たり。
つまりはソーセージを作りながらだらだら宴会をしている感じになる。俺も冗談でハンバーガーを作ったが意外と評判が良かった。パテ2枚にチーズ2枚、生野菜、俺特製ソース入りのビ●クマック風。パンがバンズでは無く肉が猪魔獣肉だからマク●ナルドとは大分違うけれど。
9腕以上が2組あった小腸がほぼ無くなりかけた頃だった。
「そう言えば夏に作ったジャンクな食べ物はやらないのか」
フルエさんがとんでもない事を言う。なかなかの誘惑だ。しかし気を強く持ってこう言っておこう。
「今日はやめておこう。ソーセージの日だし」
「私思うにアレはソーセージとも合うような気がするのだ」
確かにあいそうだ。というか間違いなくあう。
「でもソーセージだけでも……ちょっと危険です」
ナカさん、止める。危険というのはカロリーの事だろう。ただでさえ肉祭り連戦にソーセージ宴会なのだ。どう考えてもカロリー過多。
しかし。
「ジャンクな食べ物とはどういう物ですか」
ミナミさんに聞かれてしまった。
「ふふふふふ、食べると止まらなくなる悪魔な食べ物なのだ。そろそろソーセージ作りにも飽きたから作ってみるのだ」
おい待て悪の伝道師。
「作り方はしっかり憶えているのだ。ジャガイモもニンニクも塩もあるのだ。猪魔獣の脂身があるから油にも困らないのだ。あとは実行あるのみなのだ」
確かに。こう見えてフルエさん、案外器用で料理は上手いのだ。仕方無い。ここは妥協しよう。
「飲み物の方だけは俺が作りましょう。でもイモと脂身には手を貸しません」
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