病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

文字の大きさ
229 / 266
第26章 冬合宿は続く

第220話 堕落への誘い

しおりを挟む
 フルエさん、確かにポテチの製法を憶えていたらしい。そう言えばフライドポテトを作ったりしていた記憶がある。
 そんな訳で悲しいかなジャンクフード三部作が完成してしまった。ポテトチップス塩バジル味。油カスチップガーリック味。怪しいコーラもどき強炭酸バージョン。

 悲しいことにこれとソーセージの組み合わせば抜群。結果、全員がこれらジャンクな代物に汚染されてしまった。

「これは……罪深い食べ物ですね間違いなく」

「身体に悪いとわかっていても止められないものがあるのだ!」

「明日は運動しましょう。今日の分を目一杯」

「そして運動後につまむこのジャンクフードが最高なのだ!」

 フルエさん、完全にジャンクフードの伝道師になっている。場はもうぐだぐだだ。
 夕方の魔獣狩りもしなかった。外の天気が今ひとつだったせいもある。でも本当のところはこの雰囲気に流されただけだ。
 そして。

「そしてこれらを食べて口の中が塩っからくなった処で、甘いパンケーキを食べると最高なのだ!」

 フルエさん、この状態で爆弾発言。
 何という事を言うのだ! それは……試して見たくなるじゃないか!

「鬼! 悪魔!」

 ミド・リーがそう吠える中。

「私は自分に正直なのだ」

 平然とそう言い放ってフルエさんはキッチンに消える。
 残念ながら材料は全て揃っている。すぐに甘いいい香りが漂い始めた。

 まもなく2枚重ねのパンケーキにバターと水飴をたっぷりとかけた代物を持って、フルエさんが戻ってくる。

「今回は2枚の間に焼いた林檎を挟んでみたのだ」

 ただのパンケーキでは無かった。何気にフルエさん、料理が得意な模様。綺麗に焼き目をつけたパンケーキをわざとらしく切って口に運ぶ。

「うん、最高なのだ」

 はああっ。アキナ先輩が大きな大きなため息をついた。

「認めますわ。今回は私達の敗北です」

 ついに大ボスが負けを認めてしまった。もうこの流れは止められない。

「人として堕落してしまった気分です」

「自分に正直になるのだ」

「悪魔のささやきだよね絶対それって」

「でも作るとしましょう」

「手伝う」

 結局堕落してしまったナカさんがパンケーキを量産開始。更にフールイ先輩が間に挟む林檎のコンポートを作り出す。
 普通の昼食も夕食も取っていない。しかしカロリーだけはぐだぐだと積み重ねていく状態。昼食をたべるより、ずっとずっと……

 そして甘味にもポテチにも何故かよくあう怪しいコーラは作っては無くなり作ってはなくなっていく。
 この怪しいコーラはやはり俺が家で研究を重ねた自信作だ。最初は美味いかまずいかすらわからないのだが飲み始めると癖になる。味は元のコーラとは全く違うが効果は似たようなものだ。色もほどよい茶色だし。

 材料は紅茶を煮詰めハーブとレモン汁とブドウ糖入り水飴を加えたものがベース。これに水を加えてドライアイスを入れ圧力容器をふりまくると完成だ。
 明日以降に備えて今のうちに原液をもう少し作っておこう。原液は毒としか思えない匂いと色、味だけれども。


 なおこの怪しいコーラ、ブドウ糖入り水飴を大量に使う。だからカロリーはかなり……。
 しかしまあ、現状を考えると気にしても仕方ない。もっとカロリー高そうなものが溢れているから。テーブル上に。

 ◇◇◇

 悪夢の一夜が開けた朝食の際。

「今日は健全に行きましょう」

 アキナ先輩の宣言に1人をのぞいて頷いた。なおその1人とはジャンクの伝道師だ。

「そんな訳で今朝は私とユキ、タカモさんで健全な朝食を用意しました。この後軽く全員で運動する予定です」

 確かに朝食は健全な感じだ。サラダ、スープ、焼いたソーセージ、目玉焼き、パンなんていかにもなメニューが並んでいる。

「運動は何をする予定なの?」

 パンを食べながらミド・リーが尋ねた。

「軽く体操をした後、魔獣の様子確認を兼ねて山に登ろうと思います。装備は最小限で、この前上ったところの次の小ピークまで行くつもりです」

 おいおい勘弁してくれ。俺はそう思ったのだけれど。

「昨日食べた分を少しでも消費しないといけませんしね」

「今日は魔獣解体が無い。だから時間もある」

「今日だけで無く少し動かないとまずいです」

「体を動かすのはいいことだな」

 概ね皆さん賛成の様子だ。何で皆さんそんなに乗り気なんだ!
 まあ理由はわかっている。しかし俺はここで本当は忠告したい。一日くらい運動しても痩せないぞ! って。

「ならスペシャルな行動食とドリンクを持っていくのだ」

 ジャンクの伝道師がそんな台詞を吐いてにやりとする。

「なおこの運動は揚げ物と炭酸飲料禁止です」

「なら家に戻ったらスペシャルな間食を準備するのだ。ソーセージにチーズたっぷりかけて焼いたものとか、生クリーム入りどら焼きとか。あの飲み物はミタキが昨夜原料を仕込んでいたから作るのは簡単なのだ」

「それは……美味しそうですね」

 あ、アキナ先輩が堕落した。

「ふふふふふ、私はいくら食べても肉が付かない悲しい体質なのだ。少しは肉が付いて欲しい部位ですら肉が付かないのだ。だから体質改善の為全員を巻き込むのだ」

「やめて下さい、お願いですから」

 ナカさんの悲鳴に似た台詞。

「ふふふふふ、嫌よ嫌よも好きのうち……」 

 おいおいフルエさん、その台詞は使い方が……
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

処理中です...