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第9章 新しい日常
37 高級物件内覧会
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土曜日の朝はマイクロバスのベッドで迎えた。
つまり、いつもの露天風呂の次の朝ということだ。
横には由香里姉。
俺の右手をしっかり握ったまますやすやと寝ている。
一方で俺は寝不足気味。
理由は簡単。先週の俺と香緒里ちゃんの朝風呂に至るまでを根堀り葉掘り聞かれたからだ。
告白されたけど、まだ相手を決める状態じゃないという理由でごまかした。
そう返答した。
嘘ではない。
例の香緒里ちゃんの『確認』とかについて一切話していないだけだ。
話すと色々やばそうだから。
全て夢の中で起こった出来事だとしても。
他の面々は既に起きているようだ。
風呂に3人散歩中1人。
繋いでいるのと反対側の手で携帯を見る。
もう午前8時だ。
ただ、今の状態で俺だけが起きるのは困難というか不可能。
右手がしっかり由香里姉に握られていて離れない。
しょうがないなと思いつつ由香里姉を何となく目が観察してしまう。
寝ている時の由香里姉は可愛い。
起きていると綺麗の方がイメージ強いのだが寝顔は可愛いとしか言えない。
俺より先輩だけれど当然俺より小柄で細くていかにも女の子という感じだ。
あ、いかんいかん。
余分なことをしたくなる。
慌てて邪念を追い払っていると、小さい声とともに軽く由香里姉の身体が揺れた。
まぶたがピクピクと動き、そして開かれる。
◇◇◇
朝9時。
全員がマイクロバスに揃ったところで由香里姉が口を開く。
「じゃーん、今日は重大発表がありまーす」
何だろう。
「私と香緒里はこの度、寮を出て引っ越すことになりました。昨日物件の引き渡しを受けたので、本日これから皆様による内覧会を実施したいと思います」
おーと言いながら拍手をする面々。
俺も拍手をしながら思う。
今まで由香里姉と香緒里ちゃんがこそこそやっていたのはこれだったのか、と。
この島は魔法特区でほとんどの人は学校や会社の寮に住んでいる。
でも関連会社のお偉いさんとか魔法関連の教授や先生方等の一部とかの為、マンションもいくつかは建っている。
ただそういう用途のためのマンションなので、いい値段するしつくりも豪奢だ。
しかし薊野家は金持ちだし香緒里ちゃんも個人的にお金持っている。
買えない金額ではないのだろう。
「それでは私達のおうちにご案内です」
香緒里ちゃんも浮かれている感じだ。
と、ふと気づく。
この件ってひょっとして俺も関係しているのか。
退寮届の件ってこれに結びつくのか?
そう思うと、全てのつじつまが合うような気が……する。
いやな予感はさっさと払拭しておこう。
「香緒里ちゃん、その家ってひょっとして俺も……」
「詳細は現地で発表いたします、でーす」
答えてくれないが否定もしない。
嫌な予感しかしない……
◇◇◇
市街地直近にそびえる10階建ての白亜のマンション。
空港の管制塔と並びこの島で一番高い建物だ。
大学も高専も近い。
まあ学内にある寮よりは遠いけど。
他に車のない駐車場の端にマイクロバスを停めて、俺達は薊野姉妹の後ろをぞろぞろついていく。
大理石っぽい高そうなエントランスを入りエレベーターホールへ。
オーク材と大理石で装飾された高そうなエレベーターに入って、香緒里ちゃんは10のボタンを押す。
「10階って」
「最上階です!」
それってとんでもない部屋なんじゃ……
エレベーターを出る。
玄関が2つしか無い。
そのうちの左側に由香里姉は歩いていって、そして玄関ドアを開ける。
「さあ、ここが私達の新しい城よ!」
白い壁とオーク材っぽい木材に敷石が大理石っぽい玄関。
マンションのくせに一戸建ての我が実家より玄関が広い。
小さいシャンデリアのような照明がつく玄関を入ってすぐが巨大な広間。
一部屋にダイニングキッチンと客間が併設されているタイプだ。
広さは何畳なんだろう。
俺の魔法が思わず発動して測定してしまう。
DK部分だけで45.4平米、つまり28畳。
既に応接セットもテーブルも置いてある。
「運賃がもったいないし処分もカネがかかるという事でね。家具類含め居抜き状態で購入したの。だから家具も電気製品も前の住民のがそのまま残っているわ。まあ中身はこれから大掃除だけどね」
応接セットも高級そうだし、テーブルもよく見ると一枚板だ。
「前の住民って?」
「どこかの会社の所有物件だったみたい。魔法特区から撤退して売りに出ていたんだけどこんな物件だから買い手がいなくてどんどん値下げしていて。半額以下になったからつい買っちゃった!」
つい、で買える値段でないことは確かだ。
そう言えばあのマイクロバスもつい買っちゃったって言っていたような。
金持ちの金銭感覚は恐ろしい。
「一応間取りは5LDK。広さはぎりぎり200平米いかないくらい。だからそんなに無茶な大きさじゃないわよ。後で香緒里に機器類を魔法仕様にしてもらうからガス代は0だし電気代もそれほどかからないと思うわ」
200平米って、俺の実家の3LDKが確か100平米そこそこだった気が……
マンションでそれってどういう広さだよ。
順繰りに部屋を見て回る。
でっかいベッドがある主寝室10畳とその隣シングルベッドがある個室10畳。
物置4.5畳とウォークインクローゼット3畳。
客用らしいシングルベッドと机付き個室3部屋がそれぞれ10畳。
広めで洗面台もあるトイレ2箇所。
洗濯機置場もある洗面所。
3人位は入れそうな湯船のある風呂……
総じて広い。
つまり、いつもの露天風呂の次の朝ということだ。
横には由香里姉。
俺の右手をしっかり握ったまますやすやと寝ている。
一方で俺は寝不足気味。
理由は簡単。先週の俺と香緒里ちゃんの朝風呂に至るまでを根堀り葉掘り聞かれたからだ。
告白されたけど、まだ相手を決める状態じゃないという理由でごまかした。
そう返答した。
嘘ではない。
例の香緒里ちゃんの『確認』とかについて一切話していないだけだ。
話すと色々やばそうだから。
全て夢の中で起こった出来事だとしても。
他の面々は既に起きているようだ。
風呂に3人散歩中1人。
繋いでいるのと反対側の手で携帯を見る。
もう午前8時だ。
ただ、今の状態で俺だけが起きるのは困難というか不可能。
右手がしっかり由香里姉に握られていて離れない。
しょうがないなと思いつつ由香里姉を何となく目が観察してしまう。
寝ている時の由香里姉は可愛い。
起きていると綺麗の方がイメージ強いのだが寝顔は可愛いとしか言えない。
俺より先輩だけれど当然俺より小柄で細くていかにも女の子という感じだ。
あ、いかんいかん。
余分なことをしたくなる。
慌てて邪念を追い払っていると、小さい声とともに軽く由香里姉の身体が揺れた。
まぶたがピクピクと動き、そして開かれる。
◇◇◇
朝9時。
全員がマイクロバスに揃ったところで由香里姉が口を開く。
「じゃーん、今日は重大発表がありまーす」
何だろう。
「私と香緒里はこの度、寮を出て引っ越すことになりました。昨日物件の引き渡しを受けたので、本日これから皆様による内覧会を実施したいと思います」
おーと言いながら拍手をする面々。
俺も拍手をしながら思う。
今まで由香里姉と香緒里ちゃんがこそこそやっていたのはこれだったのか、と。
この島は魔法特区でほとんどの人は学校や会社の寮に住んでいる。
でも関連会社のお偉いさんとか魔法関連の教授や先生方等の一部とかの為、マンションもいくつかは建っている。
ただそういう用途のためのマンションなので、いい値段するしつくりも豪奢だ。
しかし薊野家は金持ちだし香緒里ちゃんも個人的にお金持っている。
買えない金額ではないのだろう。
「それでは私達のおうちにご案内です」
香緒里ちゃんも浮かれている感じだ。
と、ふと気づく。
この件ってひょっとして俺も関係しているのか。
退寮届の件ってこれに結びつくのか?
そう思うと、全てのつじつまが合うような気が……する。
いやな予感はさっさと払拭しておこう。
「香緒里ちゃん、その家ってひょっとして俺も……」
「詳細は現地で発表いたします、でーす」
答えてくれないが否定もしない。
嫌な予感しかしない……
◇◇◇
市街地直近にそびえる10階建ての白亜のマンション。
空港の管制塔と並びこの島で一番高い建物だ。
大学も高専も近い。
まあ学内にある寮よりは遠いけど。
他に車のない駐車場の端にマイクロバスを停めて、俺達は薊野姉妹の後ろをぞろぞろついていく。
大理石っぽい高そうなエントランスを入りエレベーターホールへ。
オーク材と大理石で装飾された高そうなエレベーターに入って、香緒里ちゃんは10のボタンを押す。
「10階って」
「最上階です!」
それってとんでもない部屋なんじゃ……
エレベーターを出る。
玄関が2つしか無い。
そのうちの左側に由香里姉は歩いていって、そして玄関ドアを開ける。
「さあ、ここが私達の新しい城よ!」
白い壁とオーク材っぽい木材に敷石が大理石っぽい玄関。
マンションのくせに一戸建ての我が実家より玄関が広い。
小さいシャンデリアのような照明がつく玄関を入ってすぐが巨大な広間。
一部屋にダイニングキッチンと客間が併設されているタイプだ。
広さは何畳なんだろう。
俺の魔法が思わず発動して測定してしまう。
DK部分だけで45.4平米、つまり28畳。
既に応接セットもテーブルも置いてある。
「運賃がもったいないし処分もカネがかかるという事でね。家具類含め居抜き状態で購入したの。だから家具も電気製品も前の住民のがそのまま残っているわ。まあ中身はこれから大掃除だけどね」
応接セットも高級そうだし、テーブルもよく見ると一枚板だ。
「前の住民って?」
「どこかの会社の所有物件だったみたい。魔法特区から撤退して売りに出ていたんだけどこんな物件だから買い手がいなくてどんどん値下げしていて。半額以下になったからつい買っちゃった!」
つい、で買える値段でないことは確かだ。
そう言えばあのマイクロバスもつい買っちゃったって言っていたような。
金持ちの金銭感覚は恐ろしい。
「一応間取りは5LDK。広さはぎりぎり200平米いかないくらい。だからそんなに無茶な大きさじゃないわよ。後で香緒里に機器類を魔法仕様にしてもらうからガス代は0だし電気代もそれほどかからないと思うわ」
200平米って、俺の実家の3LDKが確か100平米そこそこだった気が……
マンションでそれってどういう広さだよ。
順繰りに部屋を見て回る。
でっかいベッドがある主寝室10畳とその隣シングルベッドがある個室10畳。
物置4.5畳とウォークインクローゼット3畳。
客用らしいシングルベッドと机付き個室3部屋がそれぞれ10畳。
広めで洗面台もあるトイレ2箇所。
洗濯機置場もある洗面所。
3人位は入れそうな湯船のある風呂……
総じて広い。
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