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第11章 冬休み
48 俺の気づかなかった危険
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何か学校内の強さ比べから、ずいぶん規模の大きいきな臭い話になってしまった。
でも半ば興味本位で俺は聞いてみる。
「何か徴候があるんですか」
「外国の研究機関へのスカウトが多い時が危ないって噂が昔からあってな。今年は多いらしい」
スカウトと聞いて思い出すのは夏の事案。
「香緒里ちゃんもスカウト名目で誘拐されかけましたけど」
「そういう強制的なのも、もう少し紳士的なのも含めて、今年は多いらしい。ただ島を出るやつより入る奴の方が多いのが現状だ。ここなら飯はまずくても安全は比較的確保されているし、魔法関連研究に関してはここが世界の中心だしな」
俺が知らない知識を当たり前のように奈津希さんは語る。
「詳しいですね」
「うちのおふくろも逃げてきたクチだからな」
奈津希さんは肩をすくめてみせた。
「だから平和が当たり前と思っている連中に比べれば若干敏感なんだ。おふくろに言わせればドイツにあるEUの魔法特区もデモとかテロとか多くて住めたもんじゃないらしい。まあうちも親父とおふくろは温度差あるし、今となっては考えすぎかもしれないけどさ」
「そう言えばご両親は何をなさっているんですか」
「どちらも魔技大にいるよ。親父は光系統の攻撃魔法研究者でおふくろは闇系統の攻撃魔法研究者。親父はこの前教授に昇進したかな」
「男性の攻撃魔法研究者って珍しいですね」
もともと魔法使いは女性9割男性1割の世界。
魔法の威力が必要な攻撃魔法持ちは特に男性が少ない。
うちの学年の攻撃魔法学科も定員40人中3人しかいなかった筈だ。
「それもおふくろが言っていたよ。魔法特区じゃ女性ばっかりだから相手見つけるのも大変だろうって。だから優良物件は早めに確保しとけってさ」
何という親だ。
どっちか食ってもいいよという伝言を残した薊野家と同等レベルの酷さ。
「それで目星はつきましたか」
でも怖いもの聞きたさでついそんな質問をしてしまう。
「難しいよな。同じ学科の男子はいまいちだし男が多い魔法工学科とは接点ないし。せっかく学生会に入って美味しそうな獲物がいたかと思えば、氷の女王とその妹と留学生が囲っている上にあの風遊美まで狙ってる状況だしな」
随分と俺は酷い目で見られているようだ。
「そんな恐ろしい事は言わないで下さい」
「なら僕が食ってもいいのか。こう見えてもスタイルは自信あるぞ。ほれほれ、フロントダブルバイセップス!」
奈津希さんはいきなり立ち上がって、両腕を上に上げてポーズをとる。
視線を逸らすのが一瞬遅れて。
結果、奈津希さんのスタイルが強烈に目に焼き付いてしまった。
確かにスタイルは凄くいい。
でも。
「それはボディビルのポージングじゃないですか。セクシーポーズとは違います」
「なら身体を横に向けて、サーイドチェスト」
見ない!
絶対見ないぞ!
「それもボディビルでしょうが!確かに胸を強調するポーズですけれど」
「うーん残念。今度はセクシーポーズを研究して来るか」
奈津希さんは湯船へと身体を戻した。
「頼むから止めて下さい」
「安心しろ、目とエロに優しい冗談だ」
「健全な青少年には目の毒です!」
何だかな。
どこまで本気なんだか冗談なんだか。
ただ口調が男っぽいせいか、あまりいやらしさは感じない。
俺の下半身が反応しないかというと、そんな訳はないけれど。
と、ふとある事に気づく。
「そう言えば時間的にそろそろ帰らなくて大丈夫ですか」
「大丈夫、今日は外泊すると断言してきた!」
おいおい、今日はこの部屋男1人なのにいいのだろうか。
まあそりゃあ、俺と奈津希さんなら、奈津希さんのほうが圧倒的に強いけどさ。
「そうだ。家からいい物を持ってきたんだった」
そういうなりまた不意打ちで立ち上がり、全裸のまま部屋に入り何か取ってくる。
持ってきたのはワインのようなラベルの瓶。
「今日は煩いのがいないし丁度いいから持ってきた。僕のお勧め銘柄、飲みやすいぞ。ま、コップに入れるの面倒くさいからラッパ飲みになるけどな」
そう言って奈津希さんは、コルク抜きも使わずにコルク栓を飛ばして抜き、そのままラッパ飲みする。
「うん、風呂でふやけた身体に甘さが染みるねえ。という訳でどうだい兄弟!」
奈津希さんは俺に瓶を渡す。
「飲酒はまずいでしょ。俺もまだ未成年ですよ」
「大丈夫大丈夫、それは酒じゃないから」
その言葉をあまり信じていないが一応口をつけてみる。
間接キスなんて野暮な事は言いっこなしだ。
あ、甘くて冷たくて美味しいかも。
でもこの風味はきっと。
俺はラベルを確認のため読んで見る。
スペイン産サングリア、アルコール11パーセント。
「思い切り酒じゃないですか」
しかもビールの2倍くらいアルコール度が高い。完全にアウトだ。
「僕の定義じゃ梅酒やサングリアは清涼飲料水なの。まあ細かいことはええやんか。酒なくて何で己が肴かな、嫌よ嫌よも好きのうち……」
「肴じゃなくて桜です。それに最後は全然違うでしょうが!」
わやくちゃな夜はまだまだ続く。
でも半ば興味本位で俺は聞いてみる。
「何か徴候があるんですか」
「外国の研究機関へのスカウトが多い時が危ないって噂が昔からあってな。今年は多いらしい」
スカウトと聞いて思い出すのは夏の事案。
「香緒里ちゃんもスカウト名目で誘拐されかけましたけど」
「そういう強制的なのも、もう少し紳士的なのも含めて、今年は多いらしい。ただ島を出るやつより入る奴の方が多いのが現状だ。ここなら飯はまずくても安全は比較的確保されているし、魔法関連研究に関してはここが世界の中心だしな」
俺が知らない知識を当たり前のように奈津希さんは語る。
「詳しいですね」
「うちのおふくろも逃げてきたクチだからな」
奈津希さんは肩をすくめてみせた。
「だから平和が当たり前と思っている連中に比べれば若干敏感なんだ。おふくろに言わせればドイツにあるEUの魔法特区もデモとかテロとか多くて住めたもんじゃないらしい。まあうちも親父とおふくろは温度差あるし、今となっては考えすぎかもしれないけどさ」
「そう言えばご両親は何をなさっているんですか」
「どちらも魔技大にいるよ。親父は光系統の攻撃魔法研究者でおふくろは闇系統の攻撃魔法研究者。親父はこの前教授に昇進したかな」
「男性の攻撃魔法研究者って珍しいですね」
もともと魔法使いは女性9割男性1割の世界。
魔法の威力が必要な攻撃魔法持ちは特に男性が少ない。
うちの学年の攻撃魔法学科も定員40人中3人しかいなかった筈だ。
「それもおふくろが言っていたよ。魔法特区じゃ女性ばっかりだから相手見つけるのも大変だろうって。だから優良物件は早めに確保しとけってさ」
何という親だ。
どっちか食ってもいいよという伝言を残した薊野家と同等レベルの酷さ。
「それで目星はつきましたか」
でも怖いもの聞きたさでついそんな質問をしてしまう。
「難しいよな。同じ学科の男子はいまいちだし男が多い魔法工学科とは接点ないし。せっかく学生会に入って美味しそうな獲物がいたかと思えば、氷の女王とその妹と留学生が囲っている上にあの風遊美まで狙ってる状況だしな」
随分と俺は酷い目で見られているようだ。
「そんな恐ろしい事は言わないで下さい」
「なら僕が食ってもいいのか。こう見えてもスタイルは自信あるぞ。ほれほれ、フロントダブルバイセップス!」
奈津希さんはいきなり立ち上がって、両腕を上に上げてポーズをとる。
視線を逸らすのが一瞬遅れて。
結果、奈津希さんのスタイルが強烈に目に焼き付いてしまった。
確かにスタイルは凄くいい。
でも。
「それはボディビルのポージングじゃないですか。セクシーポーズとは違います」
「なら身体を横に向けて、サーイドチェスト」
見ない!
絶対見ないぞ!
「それもボディビルでしょうが!確かに胸を強調するポーズですけれど」
「うーん残念。今度はセクシーポーズを研究して来るか」
奈津希さんは湯船へと身体を戻した。
「頼むから止めて下さい」
「安心しろ、目とエロに優しい冗談だ」
「健全な青少年には目の毒です!」
何だかな。
どこまで本気なんだか冗談なんだか。
ただ口調が男っぽいせいか、あまりいやらしさは感じない。
俺の下半身が反応しないかというと、そんな訳はないけれど。
と、ふとある事に気づく。
「そう言えば時間的にそろそろ帰らなくて大丈夫ですか」
「大丈夫、今日は外泊すると断言してきた!」
おいおい、今日はこの部屋男1人なのにいいのだろうか。
まあそりゃあ、俺と奈津希さんなら、奈津希さんのほうが圧倒的に強いけどさ。
「そうだ。家からいい物を持ってきたんだった」
そういうなりまた不意打ちで立ち上がり、全裸のまま部屋に入り何か取ってくる。
持ってきたのはワインのようなラベルの瓶。
「今日は煩いのがいないし丁度いいから持ってきた。僕のお勧め銘柄、飲みやすいぞ。ま、コップに入れるの面倒くさいからラッパ飲みになるけどな」
そう言って奈津希さんは、コルク抜きも使わずにコルク栓を飛ばして抜き、そのままラッパ飲みする。
「うん、風呂でふやけた身体に甘さが染みるねえ。という訳でどうだい兄弟!」
奈津希さんは俺に瓶を渡す。
「飲酒はまずいでしょ。俺もまだ未成年ですよ」
「大丈夫大丈夫、それは酒じゃないから」
その言葉をあまり信じていないが一応口をつけてみる。
間接キスなんて野暮な事は言いっこなしだ。
あ、甘くて冷たくて美味しいかも。
でもこの風味はきっと。
俺はラベルを確認のため読んで見る。
スペイン産サングリア、アルコール11パーセント。
「思い切り酒じゃないですか」
しかもビールの2倍くらいアルコール度が高い。完全にアウトだ。
「僕の定義じゃ梅酒やサングリアは清涼飲料水なの。まあ細かいことはええやんか。酒なくて何で己が肴かな、嫌よ嫌よも好きのうち……」
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