機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

文字の大きさ
82 / 202
第18章 まもりたいもの

82 仕組まれた釣果過大?

しおりを挟む
 釣果は1年組で総計40kg、2年組が35kg、4年組が32kg。接戦だった。
 魚種もギンガメアジ類からカンパチ類、イソマグロ等、色々と揃っている。

 釣れて上機嫌なのはいいが、問題は後始末だ
 計100kg超、14匹をどうやって消費するか。

「今日は学生会の工房に行こう。着いたら魔法工学科2人と詩織は簡易冷蔵庫等の作製。ジェニーとソフィーは夕食会をネットで告知しまくってくれ。日時は全学年が空いている次の火曜日午後4時から。場所は学生会工房前。自由参加で立食形式。醤油とご飯は出来れば自分で用意してくれと言う感じで。メニューは着いたら考える。風遊美とルイスは魚の下ごしらえを手伝ってくれ。そんな感じで」

 奈津希さん、釣れすぎた場合の事も、最初から考えていたようだ。
 というか、当初から釣れすぎる予定だったのではないだろうか。
 なんて事を思いつつ、俺は船を浮かせ、学校を目指す。

 着くと同時に作業が始まった。

「詩織ちゃんごめん、買い出し頼む。物は塩2kg、本みりん800ml以上のボトル1本、昆布茶1缶。お代は後で払う」

「修悪い。ロウニンアジの開きを漬け込める位の入れ物作りを先にやってくれ。包丁は香緒里ちゃんに頼んだほうがいいんだっけか。いわゆる出刃包丁の刃渡り190mmクラスを2本頼む。マンションにあるのはいまいち使いづらいんだ」

 全部魔法で作っていたら僕の魔力が持たない。

「漬け込む容器はコンクリ用のトロ舟でいいですか。無論中は洗浄します」

「保健衛生上問題なければ、何でもかまわない」

 奈津希さんの許可を貰った。
 なお奈津希さん自信は、指示しながら風遊美さんやルイス君と一緒に、巨大作業台を外の水道脇に移動させている。
 ここで魚作業をするつもりらしい。

「修兄、包丁用の素材はここにあるの使っていいですか」

 香緒里ちゃんが俺に尋ねる。

「ストックにあるのはどれを使っても良い。任せた」

 包丁等の刃物は、俺より香緒里ちゃんの方が作るのは上手だ。
 冗談と趣味で日本刀を作ったりもしていたし。
 素材も前に追加で買った、青紙の在庫があったはずだ。

 俺はステンレス製のトロ舟を引っ張り出す。
 水道と魔法で表面を新品同様にしてから、奈津希さんの所に持っていく。

「このトロ舟でいいですか」

「上等上等」

 奈津希さんはトロ舟の横をトントン叩いてそう返事をした。
 でも。

「これは一体何に使うんですか」

「干物を作る時、魚の余分な水分を抜いて味をつけるために漬け汁につけるんだ。そのための容れ物さ。普通はボールやバケツでやるんだが、魚の大きさがあれだからな」

 成程。納得した俺は次の仕事、簡易冷蔵庫の作製に入る。
 今回は木材を使用するつもりだ。
 化学物質が怖いので、合板ではない板材と角材をストックから取り出す。

 大きさは、棚の底面積が今までで最大の魚を入れても困らない大きさ。
 全体の容量は、今回の獲物全部を調理しても大丈夫な程度で行くか。

 冷蔵庫というよりは、物置とか押入れという感じのサイズ感だ。
 しかし香緒里ちゃんの魔法で低温属性を付加可能。
 だから電気代等は考えなくていい。
 なので気楽に小屋でもつくるような感じで、木材を切って組みたてる。

 その間にも奈津希さんの作業は続く。
 俺が洗ったトロ舟に水を入れ、塩を袋からどばっと入れる。

「風遊美、検定魔法お願い。あとどれ位水を入れれば8%の食塩水になる?」

「もう少し、そう、そろそろですね」

 次にみりんをどぼどぼとコップ一杯くらい入れ、昆布茶の粉をぱらぱらまく。

「これで漬け汁は完成。次は包丁が出来るまで待ちかな」

「包丁はあと15分、待って下さい。ある程度自然に冷えるのを待ってから研がないと、切れ味が落ちます」

 包丁は音からして、叩いて延ばしている段階。
 作業している香緒里ちゃんの近くで、詩織ちゃんが興味深げに観察している。

 俺が大体冷蔵庫の外形を作り終わった頃、工房前では巨大魚解体イベントが始まった。
 俺以外の学生会幹部の他、野次馬らしき学生も4~5人来ている。
 ジェニーがSNSか何かで広報したのだろうか。

 まず奈津希さんが取り出したのは、銀色のロウニンアジ。
 水で流しながら細かい鱗を取り、あれよあれよといううちに腹開きの状態にして、風遊美さんに渡す。

 風遊美さんが水をかけながら魔法で血を抜いている間に、更に奈津希さんはもう1匹処理。
 処理後のアジをルイス君が漬け汁に入れて、巨大アジの干物の第一段階終了。

 俺が何とか冷蔵庫の棚を作り終わり、扉も付けたあたりで今度はカンパチを出す。

「香緒里ちゃん、そろそろ魔法付与お願い。奈津希さん、冷蔵庫の温度は何度くらいがいいですか」

「0℃からー2℃の間。あと中の魚が酸化するといまいちだから酸素抜きで。あと湿度高めで」

 そういう事なので、香緒里ちゃんに
 ○ 内部全体にマイナス1度になるような付与魔法
 ○ 冷蔵庫上部の吸気口に、窒素だけをフィルタして吸い込む付与魔法
 〇 更に吸入した後の窒素が、マイナス1度になるような付与魔法 
をかけてもらう。

 常に外から冷やした空気を流入させれば、中の湿度はそう下がることはないだろう。
 香緒里ちゃんの付与魔法は全くもって便利だ。

「修、そろそろ冷蔵庫いいか」

「今完成しました」

 底につけたキャスターでごろごろと、倉庫の入口付近壁際へ置く。

「内部は窒素充填しています。閉じ込められたら酸欠で死ぬから注意して下さい」

「おいよ。後で鍵も作っておいてくれ」

 そう言う側から、ルイス君が巨大アジの開いた奴をそのまま冷蔵庫に持ってきた。

「このアジは開きのまま冷蔵庫入りですか」

「それは当日巨大アジフライにする予定だ。だからそのまま崩さず冷蔵庫に頼む」

 普通のアジフライ何匹分になるのだろう。
 ざっと見たところ長さ幅厚さそれぞれ5倍程度だから、5の3乗で125匹分か。
 もっと大きい気がするけれど。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

才能は流星魔法

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。 そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。 流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。 ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。 井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。 山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。 井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。 二日に一度、18時に更新します。 カクヨムにも同時投稿しています。

処理中です...