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第31章 次の始まりの少し前に ~春の章~
163 ストーン・ハント
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一軒目の店で、詩織ちゃんが俺に囁く。
「軽く魔力を均一に放出した後、止めるのです。審査魔法で確認すれば、有望な石を探すのが少しは楽になると思うのです」
「助かる」
俺の魔力では、そう何回も一斉放出なんて技は出来ない。
なので詩織ちゃんのこの申し出は、大変に助かる。
詩織ちゃんの魔力をある程度以上貯められた石を、魔法でスキャンする。
思ったよりも少ない。
「やっぱり大半は予想通り水晶系だな」
「蛍石系も反応しているですが、これは私の魔法の個性だと思うのです」
俺の魔力を使って調べてみる。
「確かに俺の魔力じゃ蛍石系統だとあまり蓄積しないな。ここは素直に上位3点だけ押さえておくか」
秋田産の7cm位の水晶1個、山梨県産の8cm位の水晶1個、そしてアメリカのアーカンソー産の同じくらいの水晶1個を購入する。
「では次行くぞ」
「次は何処ですか」
俺はスマホのメモを見る。
「うーん、次は自由が丘かな」
「貸すのです」
スマホを詩織ちゃんに取り上げられた。
「場所に関係なく、何処が在庫が多そうか、順位をつけて欲しいのです」
そう言ってスマホを返される。
「何で」
「私の得意魔法は何だか忘れたのですか」
あ、そう言えば……フランスまで往復可能な移動魔法所持者だった。
あまりに非現実的な魔法なので、どうも意識しにくいが。
「なら待っていろよ」
俺はメモに数値を入れていく。
「こんな物かな」
詩織ちゃんがスマホを確認する。
「了解なのです。では1番付近の人通りのない場所に行くのです」
そうして石探しの旅が始まった。
練馬区、世田谷区、豊島区等々と鉱物標本の店を巡り、俺は予備も含めて12個の鉱石を購入した。
産地は別々だがどれも7cm前後の無色の水晶だ。
その間に詩織ちゃんは薄いピンクの蛍石を2個、7センチの紫水晶を2個、紅水晶を1個、トパーズ1個、アクアマリン1個を購入している。
総購入金額は詩織ちゃんのほうが遥かに大きい。
「詩織ちゃんの石は何に使うんだい」
「秘密です、と言いたいところですが、今回は教えてあげるのです」
詩織ちゃんは俺に、紫水晶の色の薄い方を渡してくれる。
「自分で魔力を込めて確認してみるのです」
お、これはひょっとして。
「俺専用とした場合に杖に相応しいい石か」
「正解なのです」
「とすると、他の石も」
「本人確認してはいないけれど、適合する可能性の高い石なのです」
成程な、でも。
「そんなに杖を量産するつもりは無いぞ」
「いざという時の為の保険なのです。使わないにこした事は無いのですが、備えはあるに越したことは無いのです」
◇◇◇
その後詩織ちゃんお薦めのスーパーに立ち寄り、惣菜や弁当を大量購入。
関東では見かけた事がない、何か幻の大陸だが菊池桃子の歌のような名前のスーパーだったが、確かに安い。
メインの弁当が税込200円しないとか寿司8かんで300円ちょっととか。
強烈な量を買ってそのままホテルの部屋へ。
皆、まだ倒れ……1人足りないな。
「あ、おかえりなさい」
風遊美さんの声が、露天風呂方面から聞こえた。
おいおい。
「あと、少し待っていて欲しいのです。ちょっと20分程雑用してくるのです」
詩織ちゃんが消えた。
そして残されたのは、俺と大量の食物と鉱物色々。
「何処へ行ってきたんですか」
「買い物です。島で買えない部品と夜の食料等を」
「成程、それで結構時間がかかったんですね」
確かにもう午後7時近い。
月見野先輩と香緒里ちゃんはまだ寝ているけれど。
「良かったらどんな物を買ったか、見せてもらっていいですか」
風遊美さんがお風呂から上がったらしい水音に、思わずどきりとする。
んなもの露天風呂でよく横にいるくせにと思わないでくれ。
状況が変わると、感じ方もだいぶ変わるのだ。
ちょっと後。
浴衣姿の風遊美さんが風呂スペースから出てきた。
風呂上がりの薫りとちょっとほてった顔色にどきっとしてしまう。
やっぱりこういうのは慣れないよな。
環境がいつもと違うと特に。
俺は買った惣菜類や弁当を座卓の上に並べる。
「これは随分と買いましたね。それに安いです。この近くのスーパーですか」
「場所はよくわからないんです。詩織ちゃんおすすめのスーパーですけれど」
風遊美さんはどうしようかな、という顔をする。
「あまり言いたくは無いですけれど、詩織さんのあの魔法は使わない方がいいです。他に広まったら昨年6月の事件や以前の香緒里さんの騒動以上の事になりかねませんから」
「確かにそうですね」
実際その通りなのだろう。
俺がちょっと考えただけでも、その有用性は計り知れない。
無論良い方向にも悪い方向にも。
「あと部品というのはどんな部品を買ったのですか」
「こんな感じですね」
俺は鉱石標本店で買った石を並べる。
詩織ちゃんが買ったのも俺が買ったのも一緒だ。
でも一応わけておこうか。
風遊美さんが並べられた鉱石類を見て、ちょっと考えて質問する。
「この綺麗な石は何に使うのですか。見た限りでは魔石とは違うようですけれど」
「これは杖用ですね。魔力を増幅した時に、使用者の魔力のブレを補正するために魔力を蓄積したり放出したりする為です」
現物の杖を見せた方が早いだろう。
俺はバッグから杖を取り出す。
「この杖に装着して使います」
風遊美さんはヘリテージ1号を手に取り、そしてまた少し考え込んでから口を開く。
「この無色の水晶とその他は何か理由があるのですか」
「無色のが俺が買った奴で、他は詩織ちゃんが買ったものです。いざという時の保険と言って」
「軽く魔力を均一に放出した後、止めるのです。審査魔法で確認すれば、有望な石を探すのが少しは楽になると思うのです」
「助かる」
俺の魔力では、そう何回も一斉放出なんて技は出来ない。
なので詩織ちゃんのこの申し出は、大変に助かる。
詩織ちゃんの魔力をある程度以上貯められた石を、魔法でスキャンする。
思ったよりも少ない。
「やっぱり大半は予想通り水晶系だな」
「蛍石系も反応しているですが、これは私の魔法の個性だと思うのです」
俺の魔力を使って調べてみる。
「確かに俺の魔力じゃ蛍石系統だとあまり蓄積しないな。ここは素直に上位3点だけ押さえておくか」
秋田産の7cm位の水晶1個、山梨県産の8cm位の水晶1個、そしてアメリカのアーカンソー産の同じくらいの水晶1個を購入する。
「では次行くぞ」
「次は何処ですか」
俺はスマホのメモを見る。
「うーん、次は自由が丘かな」
「貸すのです」
スマホを詩織ちゃんに取り上げられた。
「場所に関係なく、何処が在庫が多そうか、順位をつけて欲しいのです」
そう言ってスマホを返される。
「何で」
「私の得意魔法は何だか忘れたのですか」
あ、そう言えば……フランスまで往復可能な移動魔法所持者だった。
あまりに非現実的な魔法なので、どうも意識しにくいが。
「なら待っていろよ」
俺はメモに数値を入れていく。
「こんな物かな」
詩織ちゃんがスマホを確認する。
「了解なのです。では1番付近の人通りのない場所に行くのです」
そうして石探しの旅が始まった。
練馬区、世田谷区、豊島区等々と鉱物標本の店を巡り、俺は予備も含めて12個の鉱石を購入した。
産地は別々だがどれも7cm前後の無色の水晶だ。
その間に詩織ちゃんは薄いピンクの蛍石を2個、7センチの紫水晶を2個、紅水晶を1個、トパーズ1個、アクアマリン1個を購入している。
総購入金額は詩織ちゃんのほうが遥かに大きい。
「詩織ちゃんの石は何に使うんだい」
「秘密です、と言いたいところですが、今回は教えてあげるのです」
詩織ちゃんは俺に、紫水晶の色の薄い方を渡してくれる。
「自分で魔力を込めて確認してみるのです」
お、これはひょっとして。
「俺専用とした場合に杖に相応しいい石か」
「正解なのです」
「とすると、他の石も」
「本人確認してはいないけれど、適合する可能性の高い石なのです」
成程な、でも。
「そんなに杖を量産するつもりは無いぞ」
「いざという時の為の保険なのです。使わないにこした事は無いのですが、備えはあるに越したことは無いのです」
◇◇◇
その後詩織ちゃんお薦めのスーパーに立ち寄り、惣菜や弁当を大量購入。
関東では見かけた事がない、何か幻の大陸だが菊池桃子の歌のような名前のスーパーだったが、確かに安い。
メインの弁当が税込200円しないとか寿司8かんで300円ちょっととか。
強烈な量を買ってそのままホテルの部屋へ。
皆、まだ倒れ……1人足りないな。
「あ、おかえりなさい」
風遊美さんの声が、露天風呂方面から聞こえた。
おいおい。
「あと、少し待っていて欲しいのです。ちょっと20分程雑用してくるのです」
詩織ちゃんが消えた。
そして残されたのは、俺と大量の食物と鉱物色々。
「何処へ行ってきたんですか」
「買い物です。島で買えない部品と夜の食料等を」
「成程、それで結構時間がかかったんですね」
確かにもう午後7時近い。
月見野先輩と香緒里ちゃんはまだ寝ているけれど。
「良かったらどんな物を買ったか、見せてもらっていいですか」
風遊美さんがお風呂から上がったらしい水音に、思わずどきりとする。
んなもの露天風呂でよく横にいるくせにと思わないでくれ。
状況が変わると、感じ方もだいぶ変わるのだ。
ちょっと後。
浴衣姿の風遊美さんが風呂スペースから出てきた。
風呂上がりの薫りとちょっとほてった顔色にどきっとしてしまう。
やっぱりこういうのは慣れないよな。
環境がいつもと違うと特に。
俺は買った惣菜類や弁当を座卓の上に並べる。
「これは随分と買いましたね。それに安いです。この近くのスーパーですか」
「場所はよくわからないんです。詩織ちゃんおすすめのスーパーですけれど」
風遊美さんはどうしようかな、という顔をする。
「あまり言いたくは無いですけれど、詩織さんのあの魔法は使わない方がいいです。他に広まったら昨年6月の事件や以前の香緒里さんの騒動以上の事になりかねませんから」
「確かにそうですね」
実際その通りなのだろう。
俺がちょっと考えただけでも、その有用性は計り知れない。
無論良い方向にも悪い方向にも。
「あと部品というのはどんな部品を買ったのですか」
「こんな感じですね」
俺は鉱石標本店で買った石を並べる。
詩織ちゃんが買ったのも俺が買ったのも一緒だ。
でも一応わけておこうか。
風遊美さんが並べられた鉱石類を見て、ちょっと考えて質問する。
「この綺麗な石は何に使うのですか。見た限りでは魔石とは違うようですけれど」
「これは杖用ですね。魔力を増幅した時に、使用者の魔力のブレを補正するために魔力を蓄積したり放出したりする為です」
現物の杖を見せた方が早いだろう。
俺はバッグから杖を取り出す。
「この杖に装着して使います」
風遊美さんはヘリテージ1号を手に取り、そしてまた少し考え込んでから口を開く。
「この無色の水晶とその他は何か理由があるのですか」
「無色のが俺が買った奴で、他は詩織ちゃんが買ったものです。いざという時の保険と言って」
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