169 / 202
第32章 学生会は卒業したけれど
168 懇親会も初回です
しおりを挟む
そして色々盛り沢山の説明や質疑応答の後、研究室初回懇談会という名の飲み会に突入する。
俺を含む学生全員がぎりぎり飲酒不可年齢なので、実際にはアルコールは入れない。
この島にある2軒の飲み屋は、常にサラリーマン諸氏や講師陣等で目一杯。
ただ大学のカフェテリアは、17時以降ディナーバイキングに早変わりする。
例年4月からGWまでの間、つまり新人歓迎時期だけの措置だ。
そして少なくとも今日は大分賑わっている。
何とか全員分の席を確保して、懇談会という名の食事会に突入する。
勿論食事を食べて遅くなる件については、SNSで由香里姉と香緒里ちゃんとジェニーに連絡済みだ
なお学生会にも、既に新人2人が見学に来ていたらしい。
いきなり露天風呂で顔見せなんて事にならずによかったなと、俺はちょっと安心する。
でもルイスにはちょっと申し訳ない。
彼は今日も生贄なのだろうか。
「さて、今日の第一回ゼミはどうだった。率直な感想」
「テンポが早いですね。皆慣れているから、いいですけれど。世田谷さんには、悪かったかもしれないですね。大学3年を持つ時は、注意したほうがいいと思います。皆いきなり専門分野突入なんて、慣れていないと思いますから」
「あと、自己紹介一切なしというのも容赦ないな」
俺と等々力による容赦ない攻撃。
「ははは、確かに。何せ慣れないもので。でも自己紹介って言っても、いまさらだろ。魔法工学科とは腐るほど付き合っているし、世田谷さんについても、研究室配属の前に散々面談したから」
「世田谷さんの配属は、やっぱり色々揉めたのですか」
高井戸の質問に、新地先生と恩田、それに俺と等々力が苦笑する。
「まあね。仮にも魔法攻撃科の学年筆頭だし。その際は恩田君を始め色々色々手間かけたね」
「お代は貰っていますから」
恩田は3月末に、新地先生からの緊急依頼で学校に呼び出され、最新規制値の2倍まで許容の、講師以上用杖作りを依頼された。
自分のゼミ配属予定学生で創造制作研究会の部長という、なかなか頼みやすい立場だったせいもあるだろう。
でも恩田も、流石に40本以上という数の杖を独りで量産するのは辛かったようだ。
なおかつ部外秘という事情のため、研究会の後輩を動かすわけにもいかない。
なので恩田は先生にゼミ所属予定の学生の名前を聞き、世田谷さん本人を除く全員に招集をかけ、海外放浪中だった高井戸を除く俺と等々力が4月頭に合流。
量産に最適化して設計した杖2種を、3人で3日かけて量産した訳だ。
それでも3日で作業が終わったのは、恩田の設計のおかげ。
構造が見事なまでに簡素化されていて、量産向きになっていた。
それに材料も、加工しやすく入手も簡単なアルミや銅を多用していて、量が少なく取り扱いが面倒な魔法銀や高価な貴金属等を殆ど使っていない。
「あれが長津田の設計だったら2週間はかかるな。絶対」
「言うな、自覚はある」
俺が設計すると、微細回路を多用するとか希少金属や希少素材を多用するとかで、どうしても量産向きでない代物になってしまうのだ。
自覚はあるのだが治らない。
「でも長津田のあの杖、名前は相変わらず厨二だけど威力は確かよね。あれは量産や市販の予定は無いの」
「あれはあくまで超えるための目印として作ったしな。材料費だけで20万かかるし島内で材料揃わないしで、これ以上作るつもりはない。まあ厳密にはもう1本だけ作って、使用している奴がいるけれど」
「それって長津田の恋人か何か? ひょっとして香緒里さん」
おいおい。
「じゃない。強いて言えば始末に負えない妹分。危なすぎるのでお守り代わりに持たせている」
「呼びましたですか」
いきなり横に、浴衣に羽織という姿の詩織ちゃんが登場する。
普通だったら周りが驚くところだが、ここは魔法特区。
多少の事では皆驚かない。
それでも特異な魔法ではあるので、まあ何人かはこっちをちらりと見たけれど。
「呼んでいない。それより何だその服」
浴衣と言っても、夏の花火大会に来ていくような作りが良くて華やかなものではない。
よく温泉旅館にあるような、白地に紺色の模様という奴だ。
ご丁寧に安っぽい羽織をはおって、イグサのスリッパまで履いていやがる。
「学生会恒例、金曜夜の行事用に作成したですよ。修先輩用のもあるので後でよろしくなのです」
ますます温泉旅館化してしまっているようだ。
まあいい。その話は後だ。
「今日はゼミの懇親会だから遅くなる。なので先に帰ってろ」
「了解なのです。では失礼するのです」
グレムリンは消えた。
「……何だったの、今の娘」
「田奈先生の末娘だね」
新地先生はある程度事情を知っているらしい。
「田奈先生の娘で魔法工学科3年で学生会の後輩で、マンションの隣の住民です。噂をすると時々本当に出現しますが無視して下さい。グレムリンみたいのものです」
「しかし今のは瞬間移動かい。始めて見たけどさあ」
高井戸が興味深げに聞いてくる。
「本人に言わせると、移動する空間と方法が違うだけで瞬間移動では無いらしい。より大きな次元で見ると微分可能な動きだから、出現時の衝突問題等も無いんだと」
俺を含む学生全員がぎりぎり飲酒不可年齢なので、実際にはアルコールは入れない。
この島にある2軒の飲み屋は、常にサラリーマン諸氏や講師陣等で目一杯。
ただ大学のカフェテリアは、17時以降ディナーバイキングに早変わりする。
例年4月からGWまでの間、つまり新人歓迎時期だけの措置だ。
そして少なくとも今日は大分賑わっている。
何とか全員分の席を確保して、懇談会という名の食事会に突入する。
勿論食事を食べて遅くなる件については、SNSで由香里姉と香緒里ちゃんとジェニーに連絡済みだ
なお学生会にも、既に新人2人が見学に来ていたらしい。
いきなり露天風呂で顔見せなんて事にならずによかったなと、俺はちょっと安心する。
でもルイスにはちょっと申し訳ない。
彼は今日も生贄なのだろうか。
「さて、今日の第一回ゼミはどうだった。率直な感想」
「テンポが早いですね。皆慣れているから、いいですけれど。世田谷さんには、悪かったかもしれないですね。大学3年を持つ時は、注意したほうがいいと思います。皆いきなり専門分野突入なんて、慣れていないと思いますから」
「あと、自己紹介一切なしというのも容赦ないな」
俺と等々力による容赦ない攻撃。
「ははは、確かに。何せ慣れないもので。でも自己紹介って言っても、いまさらだろ。魔法工学科とは腐るほど付き合っているし、世田谷さんについても、研究室配属の前に散々面談したから」
「世田谷さんの配属は、やっぱり色々揉めたのですか」
高井戸の質問に、新地先生と恩田、それに俺と等々力が苦笑する。
「まあね。仮にも魔法攻撃科の学年筆頭だし。その際は恩田君を始め色々色々手間かけたね」
「お代は貰っていますから」
恩田は3月末に、新地先生からの緊急依頼で学校に呼び出され、最新規制値の2倍まで許容の、講師以上用杖作りを依頼された。
自分のゼミ配属予定学生で創造制作研究会の部長という、なかなか頼みやすい立場だったせいもあるだろう。
でも恩田も、流石に40本以上という数の杖を独りで量産するのは辛かったようだ。
なおかつ部外秘という事情のため、研究会の後輩を動かすわけにもいかない。
なので恩田は先生にゼミ所属予定の学生の名前を聞き、世田谷さん本人を除く全員に招集をかけ、海外放浪中だった高井戸を除く俺と等々力が4月頭に合流。
量産に最適化して設計した杖2種を、3人で3日かけて量産した訳だ。
それでも3日で作業が終わったのは、恩田の設計のおかげ。
構造が見事なまでに簡素化されていて、量産向きになっていた。
それに材料も、加工しやすく入手も簡単なアルミや銅を多用していて、量が少なく取り扱いが面倒な魔法銀や高価な貴金属等を殆ど使っていない。
「あれが長津田の設計だったら2週間はかかるな。絶対」
「言うな、自覚はある」
俺が設計すると、微細回路を多用するとか希少金属や希少素材を多用するとかで、どうしても量産向きでない代物になってしまうのだ。
自覚はあるのだが治らない。
「でも長津田のあの杖、名前は相変わらず厨二だけど威力は確かよね。あれは量産や市販の予定は無いの」
「あれはあくまで超えるための目印として作ったしな。材料費だけで20万かかるし島内で材料揃わないしで、これ以上作るつもりはない。まあ厳密にはもう1本だけ作って、使用している奴がいるけれど」
「それって長津田の恋人か何か? ひょっとして香緒里さん」
おいおい。
「じゃない。強いて言えば始末に負えない妹分。危なすぎるのでお守り代わりに持たせている」
「呼びましたですか」
いきなり横に、浴衣に羽織という姿の詩織ちゃんが登場する。
普通だったら周りが驚くところだが、ここは魔法特区。
多少の事では皆驚かない。
それでも特異な魔法ではあるので、まあ何人かはこっちをちらりと見たけれど。
「呼んでいない。それより何だその服」
浴衣と言っても、夏の花火大会に来ていくような作りが良くて華やかなものではない。
よく温泉旅館にあるような、白地に紺色の模様という奴だ。
ご丁寧に安っぽい羽織をはおって、イグサのスリッパまで履いていやがる。
「学生会恒例、金曜夜の行事用に作成したですよ。修先輩用のもあるので後でよろしくなのです」
ますます温泉旅館化してしまっているようだ。
まあいい。その話は後だ。
「今日はゼミの懇親会だから遅くなる。なので先に帰ってろ」
「了解なのです。では失礼するのです」
グレムリンは消えた。
「……何だったの、今の娘」
「田奈先生の末娘だね」
新地先生はある程度事情を知っているらしい。
「田奈先生の娘で魔法工学科3年で学生会の後輩で、マンションの隣の住民です。噂をすると時々本当に出現しますが無視して下さい。グレムリンみたいのものです」
「しかし今のは瞬間移動かい。始めて見たけどさあ」
高井戸が興味深げに聞いてくる。
「本人に言わせると、移動する空間と方法が違うだけで瞬間移動では無いらしい。より大きな次元で見ると微分可能な動きだから、出現時の衝突問題等も無いんだと」
31
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる