神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第2話 まずは自分の生活から

10 うどんの時間

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 今回のうどんは、天ぷらうどんにしようと思う。
 天ぷらの種は、今回採取した草でいいだろう。
 
 まずは菜種油を絞るところからだ。大量に取ったつもりの種は、重さにするとたった2kgだけ。
 ここから神のチート能力『全在』を使って、どれくらい取れるだろう。

 焙煎し、砕いて、蒸して、圧搾するなんて工程をイメージする。
 イメージだから、圧搾中も熱を加えて油が流れ出やすいようにもしてみる。

 結果、およそ720ml程度絞る事が出来た。この量でこれだけ採れたのは、悪くない気がする。
 しかし天ぷら用とすれば、何回分になるだろう。そう毎日出来ない事は確かだ。

 もちろん収納に入れておけば、古くなるということはない。
 それでも、そう何回も同じ油で揚げ物をするのはやめた方がいいだろう。

 待てよ、神なら、駄目な成分とましな成分をより分け、再利用することが出来るかもしれない。

『再利用するために分離すると、場合にもよりますが、2割程度の油は失われる事になります』

 なら次回は、天ぷら種を一通り揃えて、一気に大量に揚げきって、揚げたての天ぷらを時間停止状態で保存するようにしよう。
 あとは同時に魚のてんぷら、揚げ蒲鉾も同時に作ってしまいたい。

 ならキンビーラへの今日の要望で、材料になりそうな魚と、あと天ぷら用のエビをお願いしておこう。

 あと揚げ物としては、揚げぴっぴも作っておきたい。
 揚げぴっぴとは、簡単に言えばうどんの唐揚げだ。塩味でも甘い味でも、いい感じのスナックとして食べられる。

 そう考えると、やっぱりもっと油が必要だ。なら此処と似たような場所で、菜種が残っているか探してみよう。

 ◇◇◇

 更に菜種を2kg、そして食べられそうな草をもう少し採取して、讃岐富士っぽい山の頂上にある拠点へと戻ってきた。
 それでは夕食の調理を開始しよう。

 まずはうどんの生地を作る。
 昨日のも悪くはなかったけれど、今回はもう少し捏ねて、そして寝かしてみようと思う。
 塩分濃度と加水率はそのままにして。
 どっちが美味しいか、楽しみだ。

 うどんの汁は、ヒヨコマメを煮た汁と、いりこ出汁をあわせて、少し塩を加えたものにした。

 昨日のつゆよりは味薄め。でも温かいかけ汁なら、これが正解。
 多分天ぷらと食べても悪くない味だと思うけれど、何かが微妙に違う気がする。やっぱり醤油が欲しい。出来るだけ早く。

 天ぷらにするのは、次の3種類の草。
  ○ ウマゴヤシに似た品種の葉
  ○ スベリヒユに似た品種の葉
  ○ ハマボウフウに似た品種の葉

 Webで知った知識だけれど、埼玉県春日部市所在のあるスーパーでは『そこら辺の草天丼』という人気弁当があるそうだ。

 だから『そこら辺の草天ぷらうどん』もきっとありだろう。なんて私は勝手に考える。『そこら辺の草』の元となった漫画を読んだ事がない癖に。

 ただ次回の天ぷらその他に備え、後でキンビーラに材料になりそうな海鮮を貰っておこうと思う。
 エビとか、揚げ蒲鉾用の魚とか、タコとかイカもいいな。

 タコと考えた時点で、たこ判なんてのも思い出してしまった。
 大判焼きの筐体で作る、中身がお好み焼きとたこ焼きの折衷という、食べ応えがある代物だ。

 このたこ判は大学時代、仁尾にある発祥とされている店へ行って、食べた事がある。
 腹にしっかりたまるし、なかなか他にない味で美味しかった。
 注文して焼いて貰ったら、焼き上がるまでに30分かかったけれど。

 キンビーラがうどんに飽きたら、あれもいいかなと思う。
 しかしたこ判を作るなら、キャベツも必要だし、ソースとマヨネーズも欲しい。
 だからまだ、材料は集まらない。

 なんて事を考えつつ、天ぷらや揚げ蒲鉾てんぷらは無事揚げ終わった。
 少し天かすも作って、そして寝かしておいたうどんの作業もして。
 のんびりやっても、昨日よりは少し早い時間の完成。

 味見をする。悪くはない出来だとは思う。
 醤油がやっぱり欲しいとは感じるけれど。

 あと締めた状態で、昨日のうどんと食べ比べてみた。
 今日の方が少しだけいい出来、のような気がする。
 案外、ガンガンと捏ねて、生地を鍛えまくってもいいのかもしれない。
 明日はそれで試してみよう。

 さて、出来上がったので、うどんにそこら辺の草天ぷらをのせて、天かすも少しのせ、だし汁をかける。
 それでは海辺へと移動。
 昨日夕食を食べたのと同じ浜で、キンビーラを呼ぶ。

「キンビーラ、今日のうどんが出来たけれど、食べてみる?」

「ああ、いただこう」
 
 昨日同様、瞬時に出現。
 やっぱりイケメンは目の保養になるなと思いつつ、どんぶりと箸を渡す。

「今日は熱い汁だから、気を付けてね」

「大丈夫だ」

 昨日と同じ岩に並んで腰かけて、いただく。
 うん、天ぷらが入っただけで、結構違う。そしていりこ出汁がいい感じだ。
 これで醤油があれば……いや、他にもネギとか大根とかショウガとか、スダチもあるといいな。

「温かいのも、これはこれで美味しいな。あと草を揚げたものも、いい感じになっているし、汁も昨日のものよりこの麺にあっている気がする」

 嬉しいことを言ってくれるではないか。

「ありがとうございます。この汁は、昨日いただいた小魚で作った物です。ただ合わせる調味料がまだ出来ていないので、明後日くらいには、もう少しいいものになると思います」

 そう言って、そして思い出した。
 そうだ、お礼を言っておこうと思ったのだったと。

「あと私が来る前、此処の土地神の間で起こった出来事について、全知で知りました。本当にありがとうございました」

「ああ、ミョウドーのナハルの件か」

 キンビーラは、すぐに気づいたようだ

「あれはこの地に面した海の神として当然のことだ。何なら明日にでも、セキテツのアルツァーヤにも挨拶に行こう。ケカハの最西の海岸へ行けば、隣はセキテツだからアルツァーヤが出てくる。あれは親切だしそこそこ力もあるから、顔を出しておいた方がいい。トサハタのガシャールには、私から言伝しておこう」

「ありがとうございます」

 何というか、本当にありがたい。
 こういう人がいてくれれば、前世の私も少しは楽だったのかな。
 そんな事を思う。
 
※ そこら辺の草
  『翔んで埼玉』(著:魔夜峰央)に出てくる台詞、
「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
から出たフレーズ。

※ たこ判
  本文中にあるとおり、『大判焼』『今川焼』『回転焼』『ベイクドモチョチョ』等と呼ばれている食べ物を作る鉄板で、
  ① 片方にタコと天かす、もう片方にキャベツをたっぷり入れて焼いて
  ② 合わせたものに広島のお好み焼き用ソース、かつお節と青ノリかけた
食べ物。
  香川県三豊市仁尾町にある『小前』が発祥で、主人公が食べたのもこの店。なお家を作るときに参考にした、パゴダがある円明院と同じ町にある。
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