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第3話 開発作業を開始します
13 ため池から変更
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現代の香川県の平野部には、香川用水が端から端まで走っている。
この用水は、讃岐山脈を南にぶち抜いた先、徳島県の阿波池田を流れる吉野川から水を得ている。
元となる水は取水口のちょい下流にある池田ダムと、更に上流、高知県の山間部にある早明浦ダムで量を確保、調整しているという仕組みだ。
本当はこれくらい作らないと、香川県ならぬケカハの地の、水不足を解消することは出来ないのかもしれない。
しかし、いきなり他の神の領地から水を奪う訳にもいくまい。
まずは自助努力という訳だ。
そして満濃池をはじめとした大きなため池は、大体山と平野の境目にある。
谷の出口をふさいで、そこに水を貯める形式のものが多いのだ。
谷に集まってくる水を全て確保出来るし、谷の入口を塞ぐだけでそれなりの貯水面積を稼ぐ事が出来るし、平野より高い水位を確保出来るので配水もしやすい。
合理的で正しい方法という訳だ。
当然私も、そんな先例に従って、それらしい場所を探してみる。
『現在のコトーミには、巨大な構造物を自在に造れる程の神力はありません。それにまだ此処へ来て2日目です。最初はそれほど大きくない施設を造って、様子を見てみるのが正しいと思われます』
全知、知識だけでなく渋いアドバイスまでしてくれる。
確かにその通りだと感じたので、まずは手ごろに造れそうで、なおかつ作ると効果が高そうな場所を探してみる。
ある川筋が気になった。現在、水が流れていないけれど、自然堤防があって、間違いなく川とわかる地形になっている場所だ。
『この川は、洪水で運ばれてきた砂や礫によって、いわるゆ天井川状態となっています。乾季には表面から3m~5m程度地下を水が流れていますが、雨期には表面でも流しきれない水が自然堤防からあふれ出し、洪水となります』
伏流している癖に洪水被害を出すなんて、お前は土器川か!
元香川県人として、思わずそう突っ込んでしまう。
土器川とは、丸亀で瀬戸内海に注いでいる、香川県唯一の一級河川。
何故一級河川かというと、県ではなく国の管理にするべきという位に洪水被害が酷かったから。
中流部から下流にかけては、表面から水がなくなるくせに、ちょっと大雨が降ると洪水をおこすという、本当にどうしようもない川なのだ。
新川だって春日川だって香東川だって似たようなものだと言わないでくれ。
確かに似たようなものだけれど、国から一級河川の指定を受けるほど酷くはない!
というのはともかくとして、とりあえずはため池を作る前に、この川を作り直す方が先決だろう。
しっかり掘り下げて、出た土を堤防に使えば、雨期に洪水が起こることもなくなる。
水だって、普段から得ることが出来るようになるかもしれない。
よし、この川を(仮称)ドキ川として、整備事業を開始しよう。
頭の中に(仮称)ドキ川の地図を思い浮かべる。全知のおかげで、ほぼ21世紀日本の地図と同じような感じに表示された。
ここにメモして、計画案として取っておくことは可能だろうか。
『可能です。紙とインクに相当するものを準備すれば、出力することも可能となります』
残念ながら、まだその辺の製造までは手が回らない。
しかし思考をそうやって保存できるなら、今はそれで十分だろう。
神ってやっぱりチートだよなと思いつつ、脳内の地図に工事計画案を描いていく。
途中で堰を作って、他に取水できるようにとか、洪水時のバッファーとなり、渇水時には貯水池としても使える場所を造るとか。
本物の土器川も現在は満濃池へと水を供給しているし、お約束みたいなものだ。
我ながら大工事だなと思いつつ、普通に川の水がまだ残っている、谷間から平野部に川が出た場所から河口部まで、およそ30kmちょっとの大雑把な計画を考える。
真水を有効活用できるよう、河口部から少し上流に潮止堰が必要だろうとか。
いざという時に最大流量を確保すべく、流路は極力まっすぐにするとか。
そもそも現在の土器川の流路は、江戸時代の初期に大改修されたものだ。
現在は丸亀市の中央で海に出ているが、改修前はもっと東、坂出市の真ん中を流れて海に出ていた。
中讃の話だけれど、それくらいは高松出身の私でも知っている。
どうせこの(仮称)ドキ川、きっちり掘った流路を作っても、洪水時に山から来た土砂で、底は埋まってしまうだろう。
でも神様である私が、毎年メンテナンスをするならば、それなりの間は持つはずだ。
『その通りです。毎年確認し、底の土砂を取り去れば、問題はないものと思われます。この程度のメンテナンスなら、流路を作るよりは、遥かに神力を使わずに済む筈です』
全知がそう言ってくれるのだから、まず大丈夫。
理想の流路を描き込んだり、流路や潮止堰の構造を考えたり。
更に旧流路の部分に造る、水位調整池兼ため池2か所の構造を考えたり。
まあこんなものでしょ、という程度に考え付いた時には、もう周囲が暗くなり始めていた。
それでは夕食代わりに、明日食べるメニューを試作しておこう。
といっても天ぷらは大丈夫だろうから、まだやっていない骨付鳥だけ。
フライパンで皮側を下にして焼いて、出てきた油を随時上にかけながら、じわじわ、表面がカリカリとなるまで焼く。
まあ実際はフライパンすら使わず、ただそう焼くと念じるだけだけれど。
だいたいいい感じに出来たので、かぶりついてみる。
うん、この嚙み切れない弾力性と、それでも噛み締めると出てくる旨味。まさにおやどりの骨付鳥だ。
ニンニクや胡椒が無いのはちょっと寂しいが、決して悪い味ではない。
むしろ、美味しい。
ただ食べる時は、ハサミである程度の切れ目を入れた方がいいかもしれない。
皆がおやどりの固さに慣れているわけではないのだから。
ハサミはないので、例によってそうイメージするだけだけれども。
※ 土器川
讃岐山脈の竜王山から流れ出て、丸亀市の中心部で瀬戸内海に注ぐ川。全長33km位。かつて河口部に土器を専門に製造する人々が住んでいたことから、この名前が生まれたと言われている(河口部の東北側は香川県丸亀市土器町で、この土器町も同じ由来)。
中流部は夏になると、水の流れが途絶える部分(瀬切れ)が頻繁に現れるのは、本文中にある通り。
※ 新川だって春日川だって香東川だって
いずれも高松市内を流れる、そこそこ大きい二級河川。名前の順番は、単に彩花さんの自宅に近い順。
この用水は、讃岐山脈を南にぶち抜いた先、徳島県の阿波池田を流れる吉野川から水を得ている。
元となる水は取水口のちょい下流にある池田ダムと、更に上流、高知県の山間部にある早明浦ダムで量を確保、調整しているという仕組みだ。
本当はこれくらい作らないと、香川県ならぬケカハの地の、水不足を解消することは出来ないのかもしれない。
しかし、いきなり他の神の領地から水を奪う訳にもいくまい。
まずは自助努力という訳だ。
そして満濃池をはじめとした大きなため池は、大体山と平野の境目にある。
谷の出口をふさいで、そこに水を貯める形式のものが多いのだ。
谷に集まってくる水を全て確保出来るし、谷の入口を塞ぐだけでそれなりの貯水面積を稼ぐ事が出来るし、平野より高い水位を確保出来るので配水もしやすい。
合理的で正しい方法という訳だ。
当然私も、そんな先例に従って、それらしい場所を探してみる。
『現在のコトーミには、巨大な構造物を自在に造れる程の神力はありません。それにまだ此処へ来て2日目です。最初はそれほど大きくない施設を造って、様子を見てみるのが正しいと思われます』
全知、知識だけでなく渋いアドバイスまでしてくれる。
確かにその通りだと感じたので、まずは手ごろに造れそうで、なおかつ作ると効果が高そうな場所を探してみる。
ある川筋が気になった。現在、水が流れていないけれど、自然堤防があって、間違いなく川とわかる地形になっている場所だ。
『この川は、洪水で運ばれてきた砂や礫によって、いわるゆ天井川状態となっています。乾季には表面から3m~5m程度地下を水が流れていますが、雨期には表面でも流しきれない水が自然堤防からあふれ出し、洪水となります』
伏流している癖に洪水被害を出すなんて、お前は土器川か!
元香川県人として、思わずそう突っ込んでしまう。
土器川とは、丸亀で瀬戸内海に注いでいる、香川県唯一の一級河川。
何故一級河川かというと、県ではなく国の管理にするべきという位に洪水被害が酷かったから。
中流部から下流にかけては、表面から水がなくなるくせに、ちょっと大雨が降ると洪水をおこすという、本当にどうしようもない川なのだ。
新川だって春日川だって香東川だって似たようなものだと言わないでくれ。
確かに似たようなものだけれど、国から一級河川の指定を受けるほど酷くはない!
というのはともかくとして、とりあえずはため池を作る前に、この川を作り直す方が先決だろう。
しっかり掘り下げて、出た土を堤防に使えば、雨期に洪水が起こることもなくなる。
水だって、普段から得ることが出来るようになるかもしれない。
よし、この川を(仮称)ドキ川として、整備事業を開始しよう。
頭の中に(仮称)ドキ川の地図を思い浮かべる。全知のおかげで、ほぼ21世紀日本の地図と同じような感じに表示された。
ここにメモして、計画案として取っておくことは可能だろうか。
『可能です。紙とインクに相当するものを準備すれば、出力することも可能となります』
残念ながら、まだその辺の製造までは手が回らない。
しかし思考をそうやって保存できるなら、今はそれで十分だろう。
神ってやっぱりチートだよなと思いつつ、脳内の地図に工事計画案を描いていく。
途中で堰を作って、他に取水できるようにとか、洪水時のバッファーとなり、渇水時には貯水池としても使える場所を造るとか。
本物の土器川も現在は満濃池へと水を供給しているし、お約束みたいなものだ。
我ながら大工事だなと思いつつ、普通に川の水がまだ残っている、谷間から平野部に川が出た場所から河口部まで、およそ30kmちょっとの大雑把な計画を考える。
真水を有効活用できるよう、河口部から少し上流に潮止堰が必要だろうとか。
いざという時に最大流量を確保すべく、流路は極力まっすぐにするとか。
そもそも現在の土器川の流路は、江戸時代の初期に大改修されたものだ。
現在は丸亀市の中央で海に出ているが、改修前はもっと東、坂出市の真ん中を流れて海に出ていた。
中讃の話だけれど、それくらいは高松出身の私でも知っている。
どうせこの(仮称)ドキ川、きっちり掘った流路を作っても、洪水時に山から来た土砂で、底は埋まってしまうだろう。
でも神様である私が、毎年メンテナンスをするならば、それなりの間は持つはずだ。
『その通りです。毎年確認し、底の土砂を取り去れば、問題はないものと思われます。この程度のメンテナンスなら、流路を作るよりは、遥かに神力を使わずに済む筈です』
全知がそう言ってくれるのだから、まず大丈夫。
理想の流路を描き込んだり、流路や潮止堰の構造を考えたり。
更に旧流路の部分に造る、水位調整池兼ため池2か所の構造を考えたり。
まあこんなものでしょ、という程度に考え付いた時には、もう周囲が暗くなり始めていた。
それでは夕食代わりに、明日食べるメニューを試作しておこう。
といっても天ぷらは大丈夫だろうから、まだやっていない骨付鳥だけ。
フライパンで皮側を下にして焼いて、出てきた油を随時上にかけながら、じわじわ、表面がカリカリとなるまで焼く。
まあ実際はフライパンすら使わず、ただそう焼くと念じるだけだけれど。
だいたいいい感じに出来たので、かぶりついてみる。
うん、この嚙み切れない弾力性と、それでも噛み締めると出てくる旨味。まさにおやどりの骨付鳥だ。
ニンニクや胡椒が無いのはちょっと寂しいが、決して悪い味ではない。
むしろ、美味しい。
ただ食べる時は、ハサミである程度の切れ目を入れた方がいいかもしれない。
皆がおやどりの固さに慣れているわけではないのだから。
ハサミはないので、例によってそうイメージするだけだけれども。
※ 土器川
讃岐山脈の竜王山から流れ出て、丸亀市の中心部で瀬戸内海に注ぐ川。全長33km位。かつて河口部に土器を専門に製造する人々が住んでいたことから、この名前が生まれたと言われている(河口部の東北側は香川県丸亀市土器町で、この土器町も同じ由来)。
中流部は夏になると、水の流れが途絶える部分(瀬切れ)が頻繁に現れるのは、本文中にある通り。
※ 新川だって春日川だって香東川だって
いずれも高松市内を流れる、そこそこ大きい二級河川。名前の順番は、単に彩花さんの自宅に近い順。
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