神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第16話 ついに○○設立へ

66 ミリンの使い方……と、6月現在の村の状況

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 10日過ぎ、20日過ぎても、モ・トーは沈黙したままだ。
『次の侵攻は100日経過して、領地の名義が元の持ち主に戻ってから』というキンビーラの予想は当たっているようだ。

「領地が増えた日から100日後でしたら、8月18日にモ・トーが攻めてくる可能性が高い。そう思っていいですね」

 私の言葉にキンビーラは頷く。

「ああ。どう攻めてくるかはわからない。おそらくは大量に土を出して海を埋めるのだろうと思う。だが海側からは、そういった土や岩を大量に確保している状況は見えない。おそらくは海から見えない、山の中でやっているのだろう」

 キンビーラの言うとおりなら、私がモ・トーの動きを知る事は困難だ。
 それでもあと2ヶ月で、その日がやってくる。
 だが大量の薪で対抗する以上の方法を、まだ私は見つけられないままだ。

 なお薪をエネルギーとして使う方法は、キンビーラやアルツァーヤには使えなかった。

「おそらく神界においても規定外の方法であったのだろう。禁止となってはいなかったが故に、最初に思いついたコトーミは使用を認めた。しかし全ての神がこの方法を使った場合、世界のバランスが崩れてしまう。故にそれ以外の神には使用を認めなかっのだろう」

 神界か。以前にも出てきたが、ここが『問い合わせ』先なのだろうか。
 いつもなら全知の説明が入るところだが、何の反応もない。だから私はキンビーラとアルツァーヤに尋ねる。

「神界とは何なのでしょうか」

「神を管理する神がいらっしゃる場所だと言われていますわ。かつて創造神がこの世界を作る前にいらっしゃった場所だとも」

「あとは神としての規則を定め、その規則の解釈を行う場所ともされている。ただしあくまで噂で、その真偽を知る者は私の知っている限りいない」

 この世界がオンラインゲームなら運営会社といったところだろうか。我ながらしょうもない例えだと思うけれども。
 なお全知はやっぱり反応しない。

 あと、規則の制定とか解釈となると、関係ありそうな役職の神がいたような気がする。
 
『シナリスは維持神とされていますが、実際には神の採用、解雇、任命、罷免といった、人間の組織なら人事と呼ばれる業務しか行っていません』

 規則関係は、維持神シナリスの担当ではないという事か。

『その通りです』

 それ以外に規則関係等、世界維持を行っている神はいるのだろうか。

『今のところは知られていません』

 今のところは・・・・・・か。
 これも何かあるような気がする。
 ただ今のところ、こういった事が明らかに出来そうな方法を、私は思いつかないままだ。

 ◇◇◇

 麦の収穫に伴う作業は、新しい機械の導入もあってか順調だ。
 それはそれとして、私は微妙な不満というか、思い通りにいかない感じを抱えていた。
 それはミリンの使用状況についてだ。

 私がミリンを作ったのは、まずはうどんの為だ。
 讃岐うどんのつゆにはミリンが不可欠だから。 
 
 実は酒だってうどんの為に作ったのだ。
 ミリンを作るには、工程上アルコールが必要になるから。
 それを余分に作って度数を調整したのが今売っている酒で……
 というのは別として。

 しかしミリンが、うどんだけでなく、様々な料理に使われることもまた期待していたのだ。
 焼き豚、照り焼き、卵とじ、筑前煮……
 そういった由緒正しい? 日本風甘辛料理の数々が生み出されるのではないかと。

 しかし実際は違った。ケカハではミリンは飲み物として普及してしまったのだ。
 最初の頃、ミリンの手軽な利用方法として飲み物としての方法を教えてしまったのが、今となっては悔やまれる。

 誰も料理用に使わないのなら、私が使って広めるしかないだろう。
 幸い私には、家での料理以外にも独自料理を広める場がある。
 読書会と幹部会議だ。

 読書会は今では毎週3曜日の午後で、昼食を出している。
 午後になったのは、この村では午前中は仕事の時間となっている為、仕事の手伝いで忙しい子が多いから。

 エイダンの管理する倉庫や外部との商談、生産品の買い取り・販売担当は、イルとサレラがいないと仕事がなりたたない状態だ。
 ビブラムやイルザがやっている土地管理、人事管理、報酬管理、手渡し等の担当も、クエラやルリエがいないと大変らしい。

 ロシュとブルージュも、午前中は村内を荷車で巡回する仕事がある。
 今では2人1組では無く、それぞれ別の荷車で決まった時間に決まった順路を巡っている。荷物も載せられる乗り合いバス、といった感じに村人が使っている形だ。

 他の子供も、午前中は畑仕事の手伝いをしたり、自分より下の子供の面倒をみたり。
 更に言うとクエルチェも読書会に来るので、店が営業中の午前中は無理だ。
 
 だから仕事が終わった後、図書館に集まって、図書館の2階にある会議室でご飯を食べた後、本を読んだり本の感想を話したりすることになる。
 最近は私が描いた本の他、村に来る商人経由でも本が入ってくるようになった。
 なので読書会での感想や意見を聞いて、次の本を注文したりもしている。

 幹部会議は不定期だけれど概ね2週間に1回はやっている。
 村が急成長中なので、話し合わなければならない事が出来てしまうのだ。

 幹部は皆さん忙しいから、話が出来るのは午後も3時を回った後。
 そして会議は2時間では終わらないから、夕食も神社で食べて行けという事になる。
 なのでアルトラやイル、サレラも神社で夕食を食べる事になる訳だ。

 とりあえず、明日6月11日は読書会だ。
 メニューは何にしようか。ミリンを有効に活用できる料理となると……
 そうだ、照り焼きはどうだろう。

 鶏肉というかアヒル肉は、今のケカハには結構出回っている。

『地球ではマスコビー、またはバリケンと呼ばれている種類と、カーキキャンベルと呼ばれている種類です。マスコビーは主に肉用に、カーキキャンベルは主に卵用に飼われています』

 全知に言わせるとこんな感じで、どちらもアヒルの仲間らしい。
 しかし違いのわからない貧乏舌の私には、どちらも美味しい鶏肉としか感じない。
 これと醤油とミリンで、絶品の照り焼きをつくってやろう。

 なら肉の調達だ。
 昔なら野鳥を全在で狩っていたけれど、今はちゃんと村で扱っている。

「ロシュ、お願いがあるんだけれど、あとで交換所に行って、明日朝に鳥5羽分のお肉を注文しておいてくれる。明日の読書会のお昼ご飯に使いたいから」

 私が行く方が実は早いし楽だ。
 しかし世話役という名目があるので、ある程度は私個人の世話をしてもらう必要がある。
 外からの目に対しても、ロシュ達の気分に対しても。

「わかりました。5羽分のお肉ですね。時間はいつくらいがいいですか」

「明日の11の鐘までにあればいいかな」

「わかりました。それでは行って頼んできます」

 今から注文すれば、その注文がエイダンから更にアヒルを飼っているアリアさんかニールさんのところに今日中に行く。
 そうすると明日には朝絞めたばかりの鶏肉がエイダンのところに届き、ロシュかブルージュが持って帰ってくると言う仕組みだ。

 なお時間は、神社に設置した自動鳴鐘装置が鳴ることで、村人にもわかるようになっている。

 この装置はミョウドー経由で購入して、神社入口に設置した。
 海向こう、アキヅシマのセッシューで作られているもので、村や小さい街で使われているという普及品らしい。
 ただし普及品といっても、大金貨5枚と高価な代物だ。
 金貨を発行しているのは私なので、購入に支障は無かったけれど。

 週に1回ゼンマイを巻いて、その時に日時計で時間をあわせれば、毎朝5時から夕7時まで、鐘を鳴らして知らせてくれる。

 この日時計で時間をあわせるのも、神様か神様の付き人の役目。
 実際は私が全知で太陽時を確認して調整している。

 時間は表現は12時までで午前午後があるという、21世紀日本と同じ方式。
『12時』ではなく『12の鐘』という風に呼ぶところだけが違うという程度だ。

「コトーミ様、今度はどんな料理を作られるんですか?」

「お肉を焼いた甘くて美味しい料理だよ」

 さて、これでミリンを料理に使うという方法論は、市民権を得てくれるだろうか。
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