神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第17話 セート海域攻防戦

72 セート海域防衛戦 ⑷

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 このままではキンビーラの勝ち目は薄い。
 本神もそれをわかっていて、私を逃がす時間を稼ぐつもりという可能性はある。
 しかし此処で負けると、一気に島に侵攻されそうだ。

 何か無いだろうか。
 例えば今回、埋め立てを防止するため大量に土地を収納した。
 その土地に生えていた樹木は、薪として魔法のエネルギーに出来ないだろうか。

『可能です。32,854本の樹木が追加で収納されています。合計で33,366本の樹木から乾燥で必要となるエネルギーを引くと、820程度の魔力となります』

 全然足りない。なら石炭とかは無いだろうか。

『低質なものなら9t程確保出来ています。45,000程度の魔力として使用可能です』

 少しだけ希望が見えた。なら石炭よりもっと熱量が高いものは……
 ビシューとは、日本で言えば大体岡山県相当だ。その辺りにありそうなカロリーが高めの資源は……

 私は思い出した。岡山県と鳥取県の県境にかなりヤバ目の、しかし間違いなく高い熱量を生み出すものがある事を。

『人形石等のウランを含む鉱石は、ウラン125t分を採取出来ています。うちウラン235は87.5kgです』

 思った以上にあった。
 何でこんなにあるんだ、思わずそう言いたくなる。

『コトーミが埋め立て防止で収納した土砂や岩が、この鉱石が大量に存在するビシューとハクシュー境の山から採取したものだった為です』

 日本でいうところの人形峠付近の、まさに人形石埋蔵地帯をモ・トーが埋め立ての為に採取し、それを私が回収したという事か。
 しかしそんなの収納したら、放射能汚染とか発生しないだろうか。

『収納内にある限り問題はありません。臨界量以上を集めて爆発させた場合でも、熱や放射能が外部の通常世界に漏れる事はありませんし。コトーミ自身を害する事もありません』

 ならその爆発のエネルギーを、魔力として使えないだろうか。

『可能です。ただし熱や圧力と言ったエネルギーを散逸させない形で収納する事は不可能です。爆発で得たエネルギーは、およそ3日で散逸し消滅します』

 散逸するという事は、漏れているという事だよな……

『こちらの世界やコトーミ自身、および他の収納物に影響することはありません』

 なら広島市民に怒られそうだが、原爆方式でエネルギーを取り出して、魔力として使用する事は可能だろうか。

『可能です。ウラン235の臨界量は金属状態で22.8kg程度です。ただし原爆方式では反応するのは全体の数パーセント程度です。広島型原爆では、使用されたウラン235は60kg程度ですが、実際に核分裂反応を起こしたのは1kg程度と言われています。
 ただし収納内で発生した爆発の場合、残存物質を回収して分離し、再び使用する事は可能です』

 なら、広島型原爆と同量の爆発を収納内で発生させた場合、どれくらいの魔力を得られるのだろう。

『神力換算で16,666,666.7程度の魔力として使用可能です。ただしこのエネルギーは3日程度で散逸します。魔力という形で蓄積は出来ません』

 蓄積出来ない、というのは仕方ない。
 神力一千万以上が使用可能なら、モ・トーを倒すには問題ないどころか多すぎる位だ。

 出来る限り少なめの量で爆発を起こし、直後にモ・トーを倒すというのがベストだろう。
 あとのエネルギーは、荒らされた海と山を戻した後、使い切れなければ散逸させる方針で。

『了解しました。ウラン235を金属状態で小分けし、臨界量より少し多め程度で核爆発させる方針で行きます』

 よし、方針は立った。なら攻撃といこう。
 私は全知で戦闘場所を確認する。先程と同じ場所だ。 
 まあ神の思考は本気になれば超高速。だから私が此処に避難してから、また数秒程度しか経っていないのだけれど。

 収納内で巨大な熱が発生したのを感じた。

『ウラン235が23kgで臨界に達しました。発生エネルギー量は神力換算200万程度』

 私は全在による瞬間移動を実施する。
 海霧が立ちこめる中へ移動。

「キンビーラ、海霧を解除してください。奥の手を使って一気にモ・トーを仕留めます」

「わかった、無茶はするなよ」

「大丈夫です」

 すっと海霧が消えた。
 今いるのは、最初に埋め立てを阻止した、タケヒカタ島の北岸にある崖の上。
 50m程先、同じ崖の上にモ・トーが、そして左側海上にキンビーラの姿が見える。

 キンビーラが立っている海が埋め立ての影響で赤く濁っている。
 これでは海産物に相当な影響が出てしまうだろう。
 ただ沿海神であるキンビーラが早い内に対処すれば、元の状態に戻せる可能性は高い。
 モ・トーをさっさと撤退させる理由が、更に増えた。

「逃げたネズミが戻ってきたか」

 もう話すつもりはない。
 そしてモ・トーがいるのは、私の領域だ。だからその気になれば、その場にエネルギーを送り込むことも簡単。

 次の瞬間、モ・トーがいた場所に輝く光の柱が出現した。
 神力にして100万相当の魔力を、私がエネルギーとしてモ・トーがいる地点に放出させたのだ。
 そのエネルギーが光、そして熱として見えている。

 これで少なくとも目の前の顕現は消滅しただろう。
 そう私が思った時だった。

『ビシューの土地神、モ・トーは消滅しました』

 おい待てモ・トー!
 自領に顕現を残していなかったのか、お前は!
 だったら怒りにまかせて他領へ侵攻してくるんじゃない!

 そう思っても、もう遅い。
 言う相手は消滅してしまった。 
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