咎人といわれた令嬢は赦される

高福あさひ

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(空が・・・。赤い・・・?)
 猿轡の噛まされた状態では言葉にならない声しか出せず、普段静かな地下牢が騒がしくなっても鎖で繋がれている身では何もできない。ただ、石畳の上で足が痛くないように三角座りをして周囲の音に耳を澄ませるしかない。そうやって耳を澄ませていると、だんだんと外の状況がどうなっているのか、把握ができてきた。どうやらこの国は今、戦状態にあるらしい。クーデターで戦状態なのか、それともどこかの国に攻め込まれて戦状態なのかはさっぱりわからないけれど、ともかく、戦っているという現状なのは理解した。この国はそれなりに栄えているし、国民の不安も聞いたことがない、といっても、私自身が数年は外に出ていないからわからないだけかもしれないけれど。ぼんやりとしながら、ここに人が来れば私も死ぬのだろうと、うっすらと考える。誰にも必要とされないならば早く死んだほうがマシだった。そう思うくらいには、ひどい時間を私はここで過ごしたのだから。

「こいつはどうしますか」
 ガンっと音を立てて突如として開いた扉に驚いてしまい、ビクンっと身体が跳ねる。聞こえてきた言葉はこちらの国でも使われている言葉だ。ということはやはりクーデターか?なんて現実逃避をする。
(ああ、ようやく、ようやく死ねるのね・・・。天に、神様の御許へ行くことはできないけれど、それでも地獄でもいい、“今”から逃れられるのであれば)
細長い剣を持った男がこちらに近寄ってくる。その男は周囲の重装備な兵士と違って、鎧は纏っているが顔は見える状況だった。その男は綺麗な顔立ちをしていた。私を逝かせる死神のように、私は見えた。
(どうか、痛くありませんように)
近づく足音にそっと目を閉じる。しかしいつまで経っても痛みはやってこず、おそるおそる、目を開けるとその人は鎖に剣を突き立てた。甲高い音を立てて断ち切られる鎖、それと同時に私は立ち上がった彼に抱き上げられていた。
「っ!?」
「連れていく」
訳が分からず、どうしようとオロオロしている間に彼はすたすたと歩いて地下牢を出てしまった。私が自力で出られなかった地下牢。いともたやすく出てしまえた、それが私には理解できない。死ぬはずだったのに、どうして抱き上げられて移動している?
「動くなよ」
切れ長の目で私を見下ろし、そう言った。その直後、彼に口元をふさがれて、不思議なニオイを嗅いだ瞬間、意識がすーっと落ちていった。


「殿下、その方は」
「後で説明する。手厚く介抱を」
「はっ、かしこまりました」
そんな会話がされていたのも、私は知らない。
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