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「あ、つい・・・」
寒い季節、というのに身体は熱い。打撲痕から発熱しているようだと、冷静に分析はするがここに治療道具はほとんどない。もっと言えば臭いの出るような湿布薬なんかは従者として使用するのはできない。主に気付かれるようなものは一切使えないからだ。簡単な切り傷程度であればそのまま放置しておけばいいし、ガーゼなんかで覆っておいてもいいけれど、目立つので基本は血さえ出なければ放置。
「マズイ、かも・・・」
発熱は止まらず、どんどん汗をかくが着替えはあいにくと明日着るものしかない。朝、もう一度お風呂に入って汗を流して身体を温めるしかない。ぬるま湯しか出ないけど。
「なんとしても、戻さなきゃ」
痛み止めなんてものも置いてない。ただひたすら、耐えるしかなかった。
「主様、失礼いたします」
早朝まで結局のところ寝られなかったのでいつも通りに主様のもとへお迎えに上がる。身なりもきちんと整え、前を見据えて歩いた。
「おはよう、ノア。今日も頼む」
すでに準備の終わっている主様を馬車まで送り、一緒に乗り込んでからはいつもと同じ。だと思っていたけれど、私は少々目測を誤っていた。
「ノア、顔色が悪いぞ」
「そう、でしょうか・・・?いつも通り、だと思われますが・・・」
全く分からなかった。顔はいつも通り白いから、色が悪いのは普段通りだと思っていた。主様からするとそうではなかったようだ。
「ノア、今日は俺ではなくイザベル嬢についてほしい」
「それは、私が用無しということでしょうか・・・」
「違う!!あのご令嬢だ・・・。どうしてもノアに付いてもらいたい」
「申し訳ございません、出過ぎたことを申しました。主様の命とあらば」
完全に従者としてやってはいけないことをしてしまった。主様に口答えするなんて、ちょっと気が緩み過ぎている。気を引き締めなければ。
「任せた、ノア」
「はい」
深くお辞儀をして、主様を玄関でお見送りして私も移動する。そして今日はまっすぐにイザベル様のもとへ向かい事情を説明した。
「まぁ、ノア。ありがとう。今日はあの子がいないから一人だったの」
主様は今日、イザベル様の侍女さんがいないことを知っていたのだろうか?いつも一緒にいるはずの侍女の姿がなく、おひとりで立たれていた。
「今日一日、お側に。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくね。ノアがいてくれるならとても心強いわ」
淡く微笑むイザベル様はとてもお美しく、側にいるのが許されていいものかと思うほどに美しい。あのベインズ嬢も可愛らしいとは思うが、それは見た目だけの話。イザベル様は内面からの美しさが出ている。そこがあのご令嬢とイザベル様との違いだろう。
寒い季節、というのに身体は熱い。打撲痕から発熱しているようだと、冷静に分析はするがここに治療道具はほとんどない。もっと言えば臭いの出るような湿布薬なんかは従者として使用するのはできない。主に気付かれるようなものは一切使えないからだ。簡単な切り傷程度であればそのまま放置しておけばいいし、ガーゼなんかで覆っておいてもいいけれど、目立つので基本は血さえ出なければ放置。
「マズイ、かも・・・」
発熱は止まらず、どんどん汗をかくが着替えはあいにくと明日着るものしかない。朝、もう一度お風呂に入って汗を流して身体を温めるしかない。ぬるま湯しか出ないけど。
「なんとしても、戻さなきゃ」
痛み止めなんてものも置いてない。ただひたすら、耐えるしかなかった。
「主様、失礼いたします」
早朝まで結局のところ寝られなかったのでいつも通りに主様のもとへお迎えに上がる。身なりもきちんと整え、前を見据えて歩いた。
「おはよう、ノア。今日も頼む」
すでに準備の終わっている主様を馬車まで送り、一緒に乗り込んでからはいつもと同じ。だと思っていたけれど、私は少々目測を誤っていた。
「ノア、顔色が悪いぞ」
「そう、でしょうか・・・?いつも通り、だと思われますが・・・」
全く分からなかった。顔はいつも通り白いから、色が悪いのは普段通りだと思っていた。主様からするとそうではなかったようだ。
「ノア、今日は俺ではなくイザベル嬢についてほしい」
「それは、私が用無しということでしょうか・・・」
「違う!!あのご令嬢だ・・・。どうしてもノアに付いてもらいたい」
「申し訳ございません、出過ぎたことを申しました。主様の命とあらば」
完全に従者としてやってはいけないことをしてしまった。主様に口答えするなんて、ちょっと気が緩み過ぎている。気を引き締めなければ。
「任せた、ノア」
「はい」
深くお辞儀をして、主様を玄関でお見送りして私も移動する。そして今日はまっすぐにイザベル様のもとへ向かい事情を説明した。
「まぁ、ノア。ありがとう。今日はあの子がいないから一人だったの」
主様は今日、イザベル様の侍女さんがいないことを知っていたのだろうか?いつも一緒にいるはずの侍女の姿がなく、おひとりで立たれていた。
「今日一日、お側に。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくね。ノアがいてくれるならとても心強いわ」
淡く微笑むイザベル様はとてもお美しく、側にいるのが許されていいものかと思うほどに美しい。あのベインズ嬢も可愛らしいとは思うが、それは見た目だけの話。イザベル様は内面からの美しさが出ている。そこがあのご令嬢とイザベル様との違いだろう。
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