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「申し訳ありませんでした、私がいながらイザベル様を危険に晒してしまい・・・」
「ノア、君はイザベルを庇ってくれたと聞いている。謝るべきは君でもイザベルでもない。彼女や君を危険に晒した者だ」
「ノア、怪我がないか一応見てもらえ」
「・・・・・・・・・かしこまりました。後ほど、確認をしていただきます」
「ああ」
静かに怒っているランドルフ王子殿下の気持ちは正直わかる。大切な人を危険に晒されたのだ、その怒りはもっとも。主様やカーティス様の怒りも、ご学友であるイザベル様の心配から来るのもわかる。だけど、どうして主様は私のことを辛そうに見るのだろうか。
「じゃあ、オルブライト君もこっちで見ましょうか」
「先生、こちらにイザベル嬢の昼食を持ってきてもいいでしょうか?」
「構いませんよ」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
カーティス様が、眉間にしわを寄せて動かない主様とランドルフ王子殿下を連れて保健室を出ていかれた。その間に、と思ったのか、カーテンの引かれた場所で服を脱ぐように先生に言われて渋々、脱いだ。さすがに学校に対して女であることは言っていないし、胸もさらしを巻いて潰しているけど、この時ばかりは先生が女性でよかったと思ってしまった。
「オルブライト、君・・・?」
「申し訳ありません、事情が、ありまして・・・」
「そう、だったの・・・。でもこれは最近のものよね?」
「その、我が一門は教育が厳しいので・・・」
「それでもこれは、ちょっといきすぎなんじゃ・・・」
「我が一門を背負う一人として、当然のものです」
思っていることを悟らせないように、毅然と言い放てば先生は諦めたのか、湿布薬だけ塗布してくれた。今回の階段から落ちた衝撃の分を塗るついでだと言って優しくしてくれる。主様にも今回の怪我ならば湿布薬を塗られても問題はない。他のがあると知られることはないから。
「先生、どうか主様には内密に・・・」
「わかったわ、オルブライト君」
二つほど離れたベッドで眠っていらっしゃるイザベル様に聞こえないようにコソコソと話をする。女であることがバレれば私はすぐに主様から引き離されて、良くて追放、悪くて殺されてしまう。できれば自分から離れていきたい。それが主様にとっても私にとっても一番いい方法だ。
「何かあったら、言ってちょうだいね。力になるわ」
「ありがとうございます、先生」
最後にふんわりと笑ってくれた先生に曖昧に笑みを返して、その場を離れる。そして食事ができるようにした後、外に出てドアの前で待機をする。食事を持ってくるのは本来であれば私の役目だったのにそれを果たせないのなら軽く部屋を整えてドアを開けるくらいはやらなくちゃ、従者として意味がない。
「あ、ノア。怪我は?」
「ご心配をおかけいたしました。怪我はありませんでした、どうぞこちらへ」
ズキズキする痛みを耐えて、背筋をしっかりと伸ばし、なんてことないように振舞い、主様方を案内する。あとからドアを閉めて入れば、すでにイザベル様はご自分で席につかれていた。
「ノア、君はイザベルを庇ってくれたと聞いている。謝るべきは君でもイザベルでもない。彼女や君を危険に晒した者だ」
「ノア、怪我がないか一応見てもらえ」
「・・・・・・・・・かしこまりました。後ほど、確認をしていただきます」
「ああ」
静かに怒っているランドルフ王子殿下の気持ちは正直わかる。大切な人を危険に晒されたのだ、その怒りはもっとも。主様やカーティス様の怒りも、ご学友であるイザベル様の心配から来るのもわかる。だけど、どうして主様は私のことを辛そうに見るのだろうか。
「じゃあ、オルブライト君もこっちで見ましょうか」
「先生、こちらにイザベル嬢の昼食を持ってきてもいいでしょうか?」
「構いませんよ」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
カーティス様が、眉間にしわを寄せて動かない主様とランドルフ王子殿下を連れて保健室を出ていかれた。その間に、と思ったのか、カーテンの引かれた場所で服を脱ぐように先生に言われて渋々、脱いだ。さすがに学校に対して女であることは言っていないし、胸もさらしを巻いて潰しているけど、この時ばかりは先生が女性でよかったと思ってしまった。
「オルブライト、君・・・?」
「申し訳ありません、事情が、ありまして・・・」
「そう、だったの・・・。でもこれは最近のものよね?」
「その、我が一門は教育が厳しいので・・・」
「それでもこれは、ちょっといきすぎなんじゃ・・・」
「我が一門を背負う一人として、当然のものです」
思っていることを悟らせないように、毅然と言い放てば先生は諦めたのか、湿布薬だけ塗布してくれた。今回の階段から落ちた衝撃の分を塗るついでだと言って優しくしてくれる。主様にも今回の怪我ならば湿布薬を塗られても問題はない。他のがあると知られることはないから。
「先生、どうか主様には内密に・・・」
「わかったわ、オルブライト君」
二つほど離れたベッドで眠っていらっしゃるイザベル様に聞こえないようにコソコソと話をする。女であることがバレれば私はすぐに主様から引き離されて、良くて追放、悪くて殺されてしまう。できれば自分から離れていきたい。それが主様にとっても私にとっても一番いい方法だ。
「何かあったら、言ってちょうだいね。力になるわ」
「ありがとうございます、先生」
最後にふんわりと笑ってくれた先生に曖昧に笑みを返して、その場を離れる。そして食事ができるようにした後、外に出てドアの前で待機をする。食事を持ってくるのは本来であれば私の役目だったのにそれを果たせないのなら軽く部屋を整えてドアを開けるくらいはやらなくちゃ、従者として意味がない。
「あ、ノア。怪我は?」
「ご心配をおかけいたしました。怪我はありませんでした、どうぞこちらへ」
ズキズキする痛みを耐えて、背筋をしっかりと伸ばし、なんてことないように振舞い、主様方を案内する。あとからドアを閉めて入れば、すでにイザベル様はご自分で席につかれていた。
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