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「ユーニス……レイフには言ったのか?」
「……いえ……言ったとしても、レイフ様はウェイン公爵という立場。離れるのは厳しいかと思います。それに、私は身分を隠して行きたいのです」
「なるほどね……我が妹はなかなかに強いな」
「イアン兄さま。私は皇女となって日が浅いです、それでもそのことは言い訳にはなりません。皇女であるならば、皇族の一員であるならば、私にも義務が発生します。その義務は、日が浅いなどという理由で、放棄していいものではありません」
タイミングよく、レイフ様はいない状態でイアン兄さまと話をする機会が訪れた。結局、彼には何も相談していないが、彼にも仕事がある。私のことで手を煩わせるのはよろしくない。
「言いたいことはわかる、しかし……さすがに心配だ。無理をしているようにしか見えない」
「イアン兄さま……私は、無理など……」
「焦りを感じるのもわかる。でも、だからと言って無理を通していい理由にはならないよ。たしかに、ユーニスの言う通り、皇族の義務がある。その身分があるのであれば、放棄してはならないということもね。だが、俺は心配だよ、それでも」
「……兄さま……」
悔しいけれど、イアン兄さまの言っていることは正しい。無理を通してまで視察に行けたとしても、それが必ずしもいい結果へとつながるわけではない。焦りを感じているのも、事実だし。
「ユーニス、全日程をこのスケジュールで組むのは反対だ。その代わり、長期的にこのスケジュールを組み直すのはどうだ?」
「長期で、ですか……?」
「ああ、どちらにせよ、視察は重要な案件だ。タイトなスケジュールでは見抜かることもあるかもしれない。それなら、じっくり一つひとつを大切に見ていけるように、期間を長く取るんだ。いきなり、たくさんの結果を出さなくても、少しずつ出していけばいろいろな面が見えてくると、俺は思うよ」
「わかりました、長期で組み直します。イアン兄さまにお任せしてもいいですか?」
「構わないよ。護衛に関しては今度、実際に顔合わせをしながら決めようと思う」
「はい、お願いします」
自分の中で折り合いをつけた私は、イアン兄さまの言葉にうなずき、スケジュール調整などを含めてお願いした。護衛や他の視察員の任命、各地域の気候状況、どれもまだ帝国に来て日が浅い私ではできないものだ。
「そういえば、この視察の件、最終的にレイフには言うのかい?」
「……正直に言うと、迷っています。言ったところで、仕事の都合があるでしょうし。着いてきてもらうつもりが、私にはないですから」
「レイフの立場なら、言ってもらいたいだろうけど……まあ、ユーニスの気持ちもわかるからなぁ……難しいところだね」
「はい……」
イアン兄さまは、私に何かをしなさい、と強制することはないし、自分の意見を押し付けることもしない。あくまでも主体は私だから、私の意見を優先する。その中でさっきのように、無理があるとわかるなら妥協案を一緒に出してくれる。味方がいることの心強さが、兄さまのおかげでよくわかった。
「ユーニスの案、最大限に活かせるようにはするよ。不安になることはない、大丈夫。身分を隠すのは大事なことだ、皇女の身分は武器であると同時に弱みでもある。身を守る術をきっちりと身に着けてからでないと、有事の際に困る。自分で身を守れるかどうかは、護衛の選出にもかかわってくるし、ユーニスはどうしたい?」
「護衛の件に関しては……私では判断ができませんから……身を守る力を、つけたいとは思いますが」
「いい答えだね。護身術も覚えられるように手配しておこうか。すぐに身に着くものではないから、実戦まで持っていけなくとも、何もできないよりはいいだろう」
「ありがとうございます、イアン兄さま」
「でも、レイフには言っておくこと。護身術の練習となると、怪我をすることもあるから、アイツも心配する」
「……はい」
「そんなに不安にならなくても大丈夫。アイツはそんな心の狭いやつじゃないよ」
「兄さまが、そういうならきっと、大丈夫ですね。私も、レイフ様の心の広さは良く知っていますし」
彼が心の狭い人だとは思わないけれど、それでも心配なものは心配だった。もしかしたら、ダメだといわれるかもしれない、なんて。
「……いえ……言ったとしても、レイフ様はウェイン公爵という立場。離れるのは厳しいかと思います。それに、私は身分を隠して行きたいのです」
「なるほどね……我が妹はなかなかに強いな」
「イアン兄さま。私は皇女となって日が浅いです、それでもそのことは言い訳にはなりません。皇女であるならば、皇族の一員であるならば、私にも義務が発生します。その義務は、日が浅いなどという理由で、放棄していいものではありません」
タイミングよく、レイフ様はいない状態でイアン兄さまと話をする機会が訪れた。結局、彼には何も相談していないが、彼にも仕事がある。私のことで手を煩わせるのはよろしくない。
「言いたいことはわかる、しかし……さすがに心配だ。無理をしているようにしか見えない」
「イアン兄さま……私は、無理など……」
「焦りを感じるのもわかる。でも、だからと言って無理を通していい理由にはならないよ。たしかに、ユーニスの言う通り、皇族の義務がある。その身分があるのであれば、放棄してはならないということもね。だが、俺は心配だよ、それでも」
「……兄さま……」
悔しいけれど、イアン兄さまの言っていることは正しい。無理を通してまで視察に行けたとしても、それが必ずしもいい結果へとつながるわけではない。焦りを感じているのも、事実だし。
「ユーニス、全日程をこのスケジュールで組むのは反対だ。その代わり、長期的にこのスケジュールを組み直すのはどうだ?」
「長期で、ですか……?」
「ああ、どちらにせよ、視察は重要な案件だ。タイトなスケジュールでは見抜かることもあるかもしれない。それなら、じっくり一つひとつを大切に見ていけるように、期間を長く取るんだ。いきなり、たくさんの結果を出さなくても、少しずつ出していけばいろいろな面が見えてくると、俺は思うよ」
「わかりました、長期で組み直します。イアン兄さまにお任せしてもいいですか?」
「構わないよ。護衛に関しては今度、実際に顔合わせをしながら決めようと思う」
「はい、お願いします」
自分の中で折り合いをつけた私は、イアン兄さまの言葉にうなずき、スケジュール調整などを含めてお願いした。護衛や他の視察員の任命、各地域の気候状況、どれもまだ帝国に来て日が浅い私ではできないものだ。
「そういえば、この視察の件、最終的にレイフには言うのかい?」
「……正直に言うと、迷っています。言ったところで、仕事の都合があるでしょうし。着いてきてもらうつもりが、私にはないですから」
「レイフの立場なら、言ってもらいたいだろうけど……まあ、ユーニスの気持ちもわかるからなぁ……難しいところだね」
「はい……」
イアン兄さまは、私に何かをしなさい、と強制することはないし、自分の意見を押し付けることもしない。あくまでも主体は私だから、私の意見を優先する。その中でさっきのように、無理があるとわかるなら妥協案を一緒に出してくれる。味方がいることの心強さが、兄さまのおかげでよくわかった。
「ユーニスの案、最大限に活かせるようにはするよ。不安になることはない、大丈夫。身分を隠すのは大事なことだ、皇女の身分は武器であると同時に弱みでもある。身を守る術をきっちりと身に着けてからでないと、有事の際に困る。自分で身を守れるかどうかは、護衛の選出にもかかわってくるし、ユーニスはどうしたい?」
「護衛の件に関しては……私では判断ができませんから……身を守る力を、つけたいとは思いますが」
「いい答えだね。護身術も覚えられるように手配しておこうか。すぐに身に着くものではないから、実戦まで持っていけなくとも、何もできないよりはいいだろう」
「ありがとうございます、イアン兄さま」
「でも、レイフには言っておくこと。護身術の練習となると、怪我をすることもあるから、アイツも心配する」
「……はい」
「そんなに不安にならなくても大丈夫。アイツはそんな心の狭いやつじゃないよ」
「兄さまが、そういうならきっと、大丈夫ですね。私も、レイフ様の心の広さは良く知っていますし」
彼が心の狭い人だとは思わないけれど、それでも心配なものは心配だった。もしかしたら、ダメだといわれるかもしれない、なんて。
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