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「レイフ様、今お時間よろしいでしょうか?」
「どうしたんだ、そんなにかしこまって。時間は大丈夫だが……」
「あ、あの……ご相談が、あり、ます」
「うん」
イアン兄さまに相談してすぐに、レイフ様に相談はできなかった。どうしても言えなくて、自分なりに考えをまとめてから、ようやく言える覚悟が決まった今日。
「実は、地方へ視察に行きたいと思っています。イアン兄さまに相談して、長期的にスケジュールを組むことで、一回の視察をしっかりと行えるように計画をしていて……」
「視察か。最近、護身術の練習をしていたのはそういうことだったか」
「はい……地方視察にはきちんと目的もあります。私はレイフ様のこ、婚約者として発表されていますが、一応その、皇女という身分をいただいております。その身分に恥じない働きをしたいです。やるべきことは、たくさんありますから」
「……急ぐ必要はないと思っていたが……ユーニスが望むのならば、俺は応援する」
「ありがとうございます、レイフ様」
眉根を寄せてはいるものの、イアン兄さまの言っていた通り、私の考えていることを否定することはなくて。それどころか、応援するとまで言ってくれた。その表情は、大手を振って賛成という感じではないが、私の意思を尊重するという、彼の気持ちを感じられる。
「視察に一緒に行けたらよかったんだがな、俺は帝都を離れられないだろう。その分、俺もやれることがあったらサポートできるようにするから、何でも相談してほしい」
レイフ様の温かな言葉に、少しだけ自信が出てきた。始まる前から、まだ何もしていないのに不安になっていた。何かあるかもしれない、と自信がなかった。決まってすらいないことに、そんなに頭を悩ませる必要はない、だって私は一人じゃないのだから。
「どこからまわっていく、とかも決まっていないので、気候状況などを含めて決定していくつもりです。アルムテアの気候状況も、今は勉強中です」
「アルムテアの北部はエインズワース領よりも厳しい積雪になるし、南部に行けば夏の気温が非常に高くなる。どちらも特徴のある気候だが、年によって南部は雨量が極端に多いん場合もあるしな。逆に北部は積雪量が多くなることもあるから、勉強することは重要だな」
「やはり、年によって変わりますよね……相手は自然ですし、エインズワース領も似たような感じでした。リリム王国内の他の領地がどういう感じだったかまでは、把握できていないですが……」
「それは仕方がないことだ。これから、頑張って行けばいい」
「はい、頑張ります」
もしや険悪ムードになるかも、なんて思っていたが、そんなことにはならずにレイフ様との話が進んでいく。彼自身もウェイン公爵領を治める立場だから、自分の領地を視察することはあるのだろう。気候に注意が必要だというのは、彼がよく感じたことの一つだったと考えられる。
エインズワース領も、年によっては積雪量の多さが全然違ってくるので、当然ながら作物の収穫量も変わる。そこは領地に住まう民たちの状況を正確に把握していなければ、対処できない状況に繋がっていくこともある。
実際に、あの領地では経営者が何も見ていなかったがゆえに、民たちが苦しんだ。通常であれば、収穫量に合わせて納める税金を一律どころか増額させ続けて徴収。その収入はあの一家の贅沢へ消えた。
私はあの場所では無力で、何かをすることはできなかった。少しでも止めることができる力があれば、変わっていたかもしれないと言うのに。発言どころか、存在さえも許されなかった私にできることなど、もう今では外からどうにかする以外にはない。
「レイフ様、私は……みんなが平等とは言いません。でも、みんなが幸せを感じられる場所を守ることは、大事なことだと思っているんです」
レイフ様には言えなかった言葉を、部屋に戻ってきたときにつぶやく。今はアルも窓から外へ出ていったために、本当に一人だ。心の中に秘めたものは、なかなかに言い難い。感情を抑えるため、ということもあるが、言いづらいことはそれなりにある。
「その幸せも、感じられる状況にするのが私たちの仕事だけどね……」
後悔ばかりが募っているけれど、それに囚われたままでは何もできない。私は、過去を悔いるのを辞めて前を向かなければならないのだ。
「どうしたんだ、そんなにかしこまって。時間は大丈夫だが……」
「あ、あの……ご相談が、あり、ます」
「うん」
イアン兄さまに相談してすぐに、レイフ様に相談はできなかった。どうしても言えなくて、自分なりに考えをまとめてから、ようやく言える覚悟が決まった今日。
「実は、地方へ視察に行きたいと思っています。イアン兄さまに相談して、長期的にスケジュールを組むことで、一回の視察をしっかりと行えるように計画をしていて……」
「視察か。最近、護身術の練習をしていたのはそういうことだったか」
「はい……地方視察にはきちんと目的もあります。私はレイフ様のこ、婚約者として発表されていますが、一応その、皇女という身分をいただいております。その身分に恥じない働きをしたいです。やるべきことは、たくさんありますから」
「……急ぐ必要はないと思っていたが……ユーニスが望むのならば、俺は応援する」
「ありがとうございます、レイフ様」
眉根を寄せてはいるものの、イアン兄さまの言っていた通り、私の考えていることを否定することはなくて。それどころか、応援するとまで言ってくれた。その表情は、大手を振って賛成という感じではないが、私の意思を尊重するという、彼の気持ちを感じられる。
「視察に一緒に行けたらよかったんだがな、俺は帝都を離れられないだろう。その分、俺もやれることがあったらサポートできるようにするから、何でも相談してほしい」
レイフ様の温かな言葉に、少しだけ自信が出てきた。始まる前から、まだ何もしていないのに不安になっていた。何かあるかもしれない、と自信がなかった。決まってすらいないことに、そんなに頭を悩ませる必要はない、だって私は一人じゃないのだから。
「どこからまわっていく、とかも決まっていないので、気候状況などを含めて決定していくつもりです。アルムテアの気候状況も、今は勉強中です」
「アルムテアの北部はエインズワース領よりも厳しい積雪になるし、南部に行けば夏の気温が非常に高くなる。どちらも特徴のある気候だが、年によって南部は雨量が極端に多いん場合もあるしな。逆に北部は積雪量が多くなることもあるから、勉強することは重要だな」
「やはり、年によって変わりますよね……相手は自然ですし、エインズワース領も似たような感じでした。リリム王国内の他の領地がどういう感じだったかまでは、把握できていないですが……」
「それは仕方がないことだ。これから、頑張って行けばいい」
「はい、頑張ります」
もしや険悪ムードになるかも、なんて思っていたが、そんなことにはならずにレイフ様との話が進んでいく。彼自身もウェイン公爵領を治める立場だから、自分の領地を視察することはあるのだろう。気候に注意が必要だというのは、彼がよく感じたことの一つだったと考えられる。
エインズワース領も、年によっては積雪量の多さが全然違ってくるので、当然ながら作物の収穫量も変わる。そこは領地に住まう民たちの状況を正確に把握していなければ、対処できない状況に繋がっていくこともある。
実際に、あの領地では経営者が何も見ていなかったがゆえに、民たちが苦しんだ。通常であれば、収穫量に合わせて納める税金を一律どころか増額させ続けて徴収。その収入はあの一家の贅沢へ消えた。
私はあの場所では無力で、何かをすることはできなかった。少しでも止めることができる力があれば、変わっていたかもしれないと言うのに。発言どころか、存在さえも許されなかった私にできることなど、もう今では外からどうにかする以外にはない。
「レイフ様、私は……みんなが平等とは言いません。でも、みんなが幸せを感じられる場所を守ることは、大事なことだと思っているんです」
レイフ様には言えなかった言葉を、部屋に戻ってきたときにつぶやく。今はアルも窓から外へ出ていったために、本当に一人だ。心の中に秘めたものは、なかなかに言い難い。感情を抑えるため、ということもあるが、言いづらいことはそれなりにある。
「その幸せも、感じられる状況にするのが私たちの仕事だけどね……」
後悔ばかりが募っているけれど、それに囚われたままでは何もできない。私は、過去を悔いるのを辞めて前を向かなければならないのだ。
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