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2話 捕食者を喰らう者
結成! 新米パーティー
しおりを挟む「で、どうしてこうなるんでしょうねえ……」
翌早朝。
街の中央広場にて、私は天を仰ぎました。
本日の空は良く晴れていて、湿っぽい風がどこか気持ちが良く、流れる雲を追ってどこまでも駆けだしていきたい気持ちでいっぱいです。
今日の私は、色が地味目のワンピースに防水性に富んだズボンを身に着け、腰にウエストバッグ。
背中にギルドより贈呈されたお掃除兵器クリーナーを背負い、冒険準備満タンの装いです。
場所は、街の広場の噴水の前。
ギルド直々に依頼された地下水道の調査のため、ここから水路へ降りていきます。
そして、派遣された調査隊は私一人きりではありませんでした。
「どうしてまた? いつものようにソロで良いでしょう?」
前日のこと。
私はリオンさんに喰ってかかりました。
リオンさんは、こちらのご機嫌を伺うような困り笑顔で、
「今回はある意味アルルさんからの持ち込み案件だから、つまりね?」
「私が調べて報告したのでは報告書の信頼に欠ける、と? 期待の新人としての威厳はいずこへ?」
「それはそれというか」
ごまかし切れないと悟ったのか、リンネさんは強引に打って出ます。
「聞いて、アルルさん。これは君の安全のためでもあるの!」
曰く、
「そもそも地下水道全域の調査を一人でやるわけにはいかないし、増えているというスライムも可能な限り掃討してもらいたい。そうなるとこれは、討伐依頼を兼ねているということになるの。二つ名を冠するアルルさんにとってスライム退治はお手の物かも知れないけれど、しかし油断は禁物と言うか、そのぅ……」
「……半分くらい世辞がはいっていやしませんか?」
「……えっと、うふふ?」
笑ってごまかそうとする程度の信頼しか勝ち取れていないようでした。
「二つ名って、ここまで価値のない称号だったとは……」
証書を丸めて投げ捨ててやりたくなります。
「ごめんなさい。ただ、心配しているのは本当なんだよ?」
「むむう……」
そんな風に返されては無下に断るわけもいかず。
最終的には折れて、パーティーを組むことを承諾したのでした。
リオンさんの言うことももっともでして。
何より、これまで散々アドバイスして助けてもらっておいて、今更わがまま言うわけにもいきますまい。
「だからといって、何もこのメンバーでなくても良いのに……」
殊勝な気持ちでいられたのは、中央広場に集められたパーティーメンバーを見るまででした。
「めんどくせえ……」
剣士の少年が欠伸し、
「こら、そういうこと言わない」
耳長の娘が窘め、
「でも地下水道なんて、なんか嫌だ、私……」
尻尾を持つ少女が愚痴を言い、
「……」
眼鏡の魔術師が無言でこちらを睨んでくる、
といった有様で……。
あろうことか、クランさんご一行でした。
三者三様(四人いますが)仏頂面並べて大層ご機嫌斜めです。
報酬の低い調査依頼、まだ新人だからと押し付けられたに違いありません。
加えて、今回のパーティーリーダーが私というのも彼らの神経を逆撫でしているのでしょう。
何せまだ見習いですからね、私。
リオンさん、正式な登録するの完全に忘れてますよね……。
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