花言葉に想いをのせて

皇 晴樹

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花言葉に想いをのせて

花言葉

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***

『カランカラン』

「こんにちは」

いつもお店に来るときはスーツ姿の彼が、珍しく私服だった。

「今日はお花を買いに来たわけではなくて、これを渡しに来ました」

「これは…?」

「今まで僕が買った花の写真です。それぞれの花の花言葉を考えていただければ、貴女の抱いていた疑問が解決すると思います」

「……疑問、ですか」

「僕がどうしてその花を買っていたのか。紫のパンジーやピンクのコチョウラン。そして、ワスレナグサ……全てがわかりますよ」

「はい。じっくり考えてみますね」

「ぜひ、よろしくお願いします。それでは失礼します」

「またのご来店をお待ちしております」

私が言い終える前に、彼は走って店を出ていった。


☆☆☆

その日の夜、彼に貰った写真を見ながら
花言葉を思い出していた。

1番最初に買った ピンクのチューリップは…
『愛の芽生え』

アザレア『恋の喜び』

ナズナ『あなたに私の全てを捧げます』

ペンステモン『あなたに見惚れています』

ひまわり『あなただけを見つめる』

紫色のパンジー
『あなたのことで頭がいっぱい』

ポインセチア『幸運を祈る』

ピンク色のコチョウラン
『あなたを愛しています』

そして、ワスレナグサ
『真実の愛、私を忘れないで』


恋愛に関することばかりだ。

もしかして、私への想い……?

あの日のペンダントも?

「私を忘れないで」って……

もう、お店には来れないってことなの?

どうして? 楽しみにしてたのに。

自然と涙が溢れてきて、私の頬を濡らしていく。

名前すらわからないけど、それでも彼がお店に来てくれるだけですごく嬉しくて、ドキドキして……少しの時間でも幸せだった。

私はいつの間にか、あの人に惹かれていたんだ。

この胸のときめきは「好き」って意味だったんだね……
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